日記 『新藤兼人監督 裸の島に感動』
昨夜新藤兼人監督の「裸の島」のDVDを観ました。 モスクワ映画祭でグランプリを取った新藤兼人監督の最高傑作。 先日、知り合いから聞いた「新藤兼人伝」小野民樹 著 白水社を買って、新藤監督が今年99歳の現役映画監督で、8月に上映の作品「一枚のハガキ」大竹しのぶ、豊川悦司主演の映画も公開を控えていることを知り、是非、新藤監督の映画を観てみたいと想ったからなのです。 この「裸の島」、本当に心打たれました! 瀬戸内の小さな島に一組の中年夫婦と幼い二人の男の子の四人暮らしをしています。交通は手漕ぎの船です。 ほとんどを、この小さな島の斜面に野菜を作るため、大きな樽を二つ肩にかけ崖を登り、水やりの為に作物を育てる農作業の情景が全体を占めています。 白黒で、夫婦二人の労働の姿が波音のような効果音にのせて延々と美しく語りかけます。映像が語りかける・・・そんな感じ・・・この二人の農作業の様子はとても美しく、大変で・・・日本という農耕民族の原点を感じさせるものでした。 セリフは一つもありません。なのに・・・少しも他に目が行かないほど、物語に集中させ、完成された映像美と究極の物語と、人間の”働き生きる”という原点がそこにある・・・それが、人間の飾りの無い素の姿であり、何の為に人間は生きているのか? という問いを語りかけます。 最後には、心を打つ悲しみ・・・感動・・・ 観る価値のある最高傑作だと想ったのでした。 こちらに、映像も紹介されています。http://homepage2.nifty.com/e-tedukuri/hadakanosima.html 久しぶりにケヤキ坂のTSUTAYAに行ったのですが、あることにびっくりしました。この新藤監督のDVDを探したのですが、日本映画の名作を中々見つけることが出来ませんでした。何しろ、韓流映画が物凄い勢力で棚を占めているからです。びっくりでした。 韓国は映画やTVドラマ作りを国策として、10年くらい前からやっています。 数年前から日本では韓流ドラマのチャンネルまであります。 日本で韓国のアイドルも凄い勢いですが、私は好きではありません。 ヨン様とチェ・ジウさんの「冬ソナ」は余りに何度もTVでやるので遂には観て、悪くはないと魅力があると想いましたが、TVをひねると、韓国ドラマが必ずあって、無理やり押し付けられている感じがずっとありました。 中には良いものもあること想うし、韓国に偏見はないのですが、そのような無理やり感と、その情報に乗せられて夢中になっている人達に水を差すつもりは無いのですが、案外、そのことを嫌っている人たちもいるのです。何故、チャンネルを占めるの? 整形美人で皆顔が似ている?という・・・アイドルは皆人工的な顔で、いかにも造られたって・・・いう不自然さを感じます。 日本人が、自分たちの優れた文化的遺産を忘れ、いかにも商業的なものに乗せられて、夢中になっていて、日本の良き文化遺産を忘れているのではないか? とわたしは、ビデオレンタルの棚を観て感じたのでした。 韓国では、日本のアニメなど子どのもころから観ていたと聞きますが、日本の作品・・・だとは知らなかった! と・・・知らされていないで放映されていたということですが、ここにも戦略的なものを感じます。 韓国は日本を追いつけ追い越せでやってきて、今は追い越して来た感がありますが、電化製品や、自動車、オリンピックなど。 嘗て、文化的な戦略はアメリカが日本をコントロールする為にやってきたことです。 勿論、世界はグローバル化しているし、どこの国でも良いものは評価するべきですが、韓国の文化的侵入には、以前から危機感を感じます。 ドラマなど観てもわざとらしいし、不自然さを私などは感じてしまいます。 けれども時代劇だとかは、案外良さそうです。良い作品もあると想うのですが日本人は、日本の古き良き文化遺産に目を向けるべきなのでは?なんて、今回は特に強く感じたのでした。 日本には、黒沢明監督、溝口健二監督、小津安二郎監督、成瀬巳喜男監督鈴木清順監督、大島渚監督、他、優れた監督の名作があって、若手の監督も優れた監督がいますね・・。 ハリー・ポッターなどは世界を制覇していますが、魔術に掛らないように、冷静な見方が必要なんだろうなぁと感じた次第です。 私自身も、黒沢明監督の映画はほとんど観ているのですが、後は小津安二郎監督、溝口健二監督の作品を少し観ただけで、大掛りな宣伝も無いと、中々手に取るまではいかなかったのです。 皆さん、是非、「裸の島」のDVDを観てくださいね。 そして、8月には、新藤監督の新作映画「一枚のハガキ」これも99歳という年齢で作られたという・・これも楽しみです。 また、上の本、ちょっと高い(2800円)のですが、新藤監督を親しく知る著者のシナリオ・映画作りからの足跡を追っているので、お好きな方にはお勧めします。 尚、韓国の人には偏見はありませんということを誤解のないようにお伝えしておきます。 <裸の島の画像はネットからお借りしました>