コモディティーバブル
NY原油先物価格は140ドル寸前まで上昇した後、130ドル台で乱高下している。何時140ドルを越えるのか、さらに150ドルにもなってしまうのかが注目されている。ジムおじさんもピークは150ドル前後と見ているんじゃあないのかな?コモディティー価格もピークではないのかも知れないが、それに近いところまできていると思っている。その理由は安値の5倍にもなった価格と、石油価格高騰が深刻な問題だとして世界中が認識しだしたことである。ここまで石油価格が上がれば事情は変わる。環境問題ではなく、これを経済問題と実感するようになったのである。例えばGDPの2%程度であった日本の原油輸入代が5%に迫ろうとしている。ここ数年、原油の需給がタイトに推移してきたことは事実である。中国などの人口の大きい新興国の経済が本格的に成長路線に乗り、これらの国の石油製品の需要が増えている。また今後もこれらの国の石油消費が伸びることが確実視されている。ただここまで価格が高騰すれば、当然需要の伸びは相当鈍るものと思われる。また世界全体の総需要の伸びには省エネ技術の浸透と代替エネルギーの開発(後ほど取上げる代替資源を除く)がカギを握ると思われるが、この結果には時間がかかるものと考えられる。10年前の98年には原油価格は一時的にバーレル当たり9ドルまで下落した(NY原油先物価格の98年の平均は14.4ドル)。これは油田における採掘技術の進歩により、既存の油田の可採掘量が飛躍的に増えたためである。実に原油採掘の限界コストがバーレル当り7ドルまで低下したのである。この10年前に始まったの原油価格の下落が、今日の原油価格の高騰に繋がっていると考えている。翌99年も19.3ドルと、総じて03年まで原油価格の低迷はかなり長く続いた。このため新規の油田の開発意欲が一気に萎んだのである。逆に安い石油に依存する形のまま経済発展が続けられた。130ドル台の原油先物価格が高すぎることは、誰もが認識している。しかし何時、どこまでこれが下落(暴落)するのか予想することは難しい。ただ価格予想の落着く先としては、不思議と60ドルから70ドル程度に集中している。(これを超える部分がバブルということになる)しかしこの根拠が薄弱である。テレビに登場したある商社の専門家は、60ドルが原油価格のファンダメンタルだからと説明していた。しかしファンダメンタルの意味が不明である。価格決定方式の一つに、コストに一定比率の利益を上乗せしたマークアップ方式というものがある。世間の多くは米ドルの価値の変動がない限り、原油価格の落ち落着き先を60ドルから70ドルと想定している。オイルサンドとオイルシェールの採算ラインはともに70ドルから80ドル程度ということである。やはり4年の間の物価上昇と米ドルの下落が影響しているようである。価格の高値と安値は欲望と幻想によって決まっているから、ボキにはさっぱりわからん。ただ常識的な価格で長期投資をしておけばショートであろうがロングであろうが、時間は味方してくれると思っている。ココが重要だ。投機には常識が大切なのに常識を持って市場に入るカモがあまりにも少なすぎる。『じゃあ常識ってなんなの?』って聞かれると困るのだが、『自分で考えて自分のケツは自分で持つ。』って事かな。04年時点では、日本はカナダのサンドオイルから抽出した油分を、2009年末から40万bpd(日本の石油消費の8%)輸入することになっていた。つまりあと一年半ほどで、原油の代替品が市場に出回る可能性がある。130ドル台というバカ高値が続けば、サンドオイルなどの石油の代替資源の開発が加速される。注目するのは、新油田の開発コストが上がるのに対して、サンドオイルからの抽出油のコストは逓減する可能性があることである。サンドオイル開発の場合、当初は輸送設備などのインフラの整備にコストが掛かる。しかし一旦生産が軌道に乗れば、追加コストはそんなに掛からないものと考えられる。さらに技術進歩や生産規模の拡大で限界コストがどんどん下がることが予想される。サウジアラビアなどにとって、今回の原油高騰劇は迷惑な話だと見ている。