カテゴリ:名画のアート リーディング
これはギュスターヴ・カイユボットが描いた絵画です。カイユボットという画家は、日本ではあまり知られていませんが、モネやルノワールとともに印象派を代表する画家のひとりとされているそうです。
題名は『オスマン大通りのバルコニーの男』。「オスマン大通り」とは、パリの8番街と9番街を横切る道のことだそうで、この絵は、1880年に描かれました。 さわやかな気持ちの良い風が吹き込んでくるのが感じられる絵画です。バルコニーが描かれていること、大きく開かれた窓、明るく風になびく日よけの布などから、それは伝わってきます。 描かれている男性は、社会的なステータスの高さをあらわす正装をして、バルコニーから外を見ていますが、この男性の視線は、この絵画を見ている私たちと、同じ方向を向いています。 通常の絵画リーディングでは、絵の中に穿かれた人物が、この絵のように、わたしたちに背を向けている場合には、その描かれた人物の心が内向していると解釈されますが、この絵の場合は、バルコニーから外を見ているという設定で描かれていますので、この絵の男性は、絵を見ている私たちの視線を、自分自身が見ている光景へと誘います。 つまり、「自分が見ている、このすばらしい景色を一緒に見て」と言っています。 その誘われる視線の先にある光景は、パリの街並みですが、延々と続く立派な建物やあふれんばかりの街路樹の緑、そこに赤色と白色の配色の日よけ布とのコントラストも相まって、社会がどんどん勢いを増して発展して行く、若々しさと栄光に満ち満ちています。 それをとても誇らしく感じているようすは、この男性の左手のポーズにも、とてもよく表れていると思います。明るい勢いが感じられる社会と、この絵の人物の人生や生活は、みごとにコミットしているようです。 この絵を描いたカイユボットという人は、画家であると同時にコレクターでもあった人だそうで、印象派の画家たちへの資金援助もしていた人なのだそうです。くわしいことはわかりませんが、この絵からは、実家が裕福だったのかな? という要素が見受けられると思います。 そして、この絵が描かれた1880年は、日本では明治13年。フランスでは、1871年にナポレオンの失脚があって、その後、第一次世界大戦がはじまるのが1914年ですので、その間の安定期にあたり、この絵が描かれた7年後の1887年に、エッフェル塔の建設が始まりました。 ここに描かれているのは、自身もぴったりとコミットしている、成長期にある社会への愛ということができると思います。 ☆アトリエえんどうまめのHPは、《こちら》です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.08.05 15:14:28
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