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♪アトリエえんどうまめ 今季洋の日記。

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2018.10.23
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レオナルド ダ ヴィンチ(およびその工房の人々)によるキリストの肖像、『サルバトール ムンディ』です。

サルバトールは「救う者」、ムンディは「世界」という意味とのこと。なので、サルバトール ムンディは、「世界を救うもの」という意味だそうです。





この絵は、2017年にニューヨークで行われたオークションで、美術作品として史上最高価格となる、およそ508億円で落札されたことでも話題ともなりました。

ダ ヴィンチの死後500年が経とうとしている中で再発見されたこの絵は、なぜ、これほど長い間人々の目に触れられることがなかったのか?

また、この絵画が本物のダ・ヴィンチ作品だとすれば、新たに何がわかり、何の根拠でダ・ヴィンチの真筆とされたのか?

このあたりのことを取り上げた《テレビ番組》もあり、とても興味深い内容になっています。

ダ ヴィンチのようなデリケートで、突き抜けていて、けっして他のものが真似できない絵は、そうだからこそ、最後に誰が手を入れたのかによって、全く違うものになって行ってしまうのですね。

こちらの番組サイトでは、修復の際に、後世の加筆をすべて落とした状態がどのようなものなのか、その映像も出ています。

わたし個人的には、この絵は、現在、最終的に、ダ ヴィンチと、アメリカ人女性の修復家との合作になっていると感じます。それは、やむを得ないことだと思いますが。そして、望みうる最高の修復がなされたのだと思うのですが。

でも、もし、この絵がもっとダ ヴィンチのオリジナルな状態で残っていたとしたら、描いている本人が絵の中の想像上の人物の中からは染み出るものだから、もっと素直じゃあないようすや、複雑さや、誰にも決して追い付けない謎な部分や、頭がすっごく良い感じや、それでいてあんがいしっかりした感じや、やっぱり男っぽい感じが、もっと織り込まれていたように思えています。






右手は、意思を表します。この右手の形(指のポーズ)は、キリスト教における祝福を表しています。

左手は、受け取るものをあらわします。左手には、大きな水晶珠が描かれていますが、球体が世界を象徴すると当時に、その透明さが、澄んだ心や浄化力を象徴しています。そしてまた、この画面全体に漂っている神秘性をも、さらに強めてもいると思います。


この描かれたキリストが身にまとっている衣服のデザインにも、深い象徴性を見いだすことができます。

ここではキリストは、胸の前で、ヘリ飾りが大きなXを表している服を着ています。Xは、「バツ」でもあり、「かける」のマークでもあるわけです。


子どもの絵の心理分析を手掛けた浅利篤氏とそのグループの人々の本によると、「バツ」は「死」を意味するとして、それが典型的に表れている例として、第二次世界大戦の学徒出陣の写真があげてありました。たくさんの男子学生の胸のところには、「白たすき」がバツを描いていました。

ここでは、このキリストの衣服のデザインのバツは、十字架にかけられて死んだキリストの生涯を、暗示していることになります。


十字架の+は、「縦の意味するもの」と「横の意味するもの」の統合をあらわします。縦とはつまり、天と地のつながりを、横とは、地上での広がりを象徴しています。

ご存知のように、キリストは十字架にかけられて亡くなるわけですが、斎場に向かうキリストは、自らの十字架を背負って歩いたとされていて、そのとき、十字架の+は、担がれることによって×の形になりました。


このように、×には「死」という意味合いが含まれていますが、もっと広い意味合いにおいては、つまり、キャンセルやリセットの意味合いを持っていることになります。


そしてまた、×という象徴図形は、「バツ」だけでなくて「かける」という意味合いでも使われている形です。この「かける」においては、物事と物事が関わることで、そのありようが倍増して激変することがあらわされているシンボルです。

救世主としてのキリストの教えも、人が生きるということの意味合いが、激変して倍増して行く(現実世界のみならず、別次元にもつながる)ようなものであるのだろうと思います。


「バツ」という意味合いにおいても「かける」という意味合いにおいても、キリストという存在は「×」という象徴図形と密接な関わりのあるものであることに気が付かされる、そんな絵だと思いました。

そして、キリストこそは、救世(人類・わたしたち)に全身全霊の愛を注いだ存在であるのだと、あらためて気付かせられました。





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Last updated  2018.10.24 22:40:45
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