カテゴリ:名画のアート リーディング
フランツ マイヤーハムという画家が、1858年に20歳で描いた『新しい鎧(よろい)』という絵画です。
マイヤーハムは、1838年ドイツのベルリンの画家一家の家に生まれました。父や弟、そして父方の叔父二人も画家だったそうです。 そして、マイヤーハムは1880年に42歳の若さで亡くなりましたが、彼が描いた絵画は、専門家や評論家からだけでなく、一般の人々からも、その繊細さや優雅さが高く評価され、賞賛されていたとのことです。 年若き騎士が、はじめて自分の甲冑を手にする時の様子が描かれています。甲冑は、年上の男性から受け渡されていますが、男性は少年に何かを語りかけています。 甲冑は、ただの物として与えられるのではなくて、脈々と続いている精神性や愛情とともに、次の世代の者たちに引き継がれて行くようすが、この絵を見た人たちにも伝わって来るようです。 一枚の絵画の中の過去と未来は、文化によって異なりますが、欧米の世界のほとんどでは、絵の右側が過去、絵の左側が未来になります。つまりここでは、過去をあらわす側に年長の男性が、未来をあらわす側に少年が描かれていることがわかります。 次に、ここに描かれた人物二人の、服装の色彩に目を向けてみましょう。 少年の服は、上質なベルベットを思わせれような生地でできており、胸元に下がっている金色の細いチェーンや手首の白い袖口も合わさって、血筋や家柄の良さが感じられます。 履いているタイツの色も紫色なので、高貴さや特別感がより強調される表現となっています。 いっぽうで、年上の男性の服装は、渋めの緑色の服と渋めの赤色のタイツの組み合わせで描かれています。 緑色は、教師にふさわしい色彩で、相手に合わせておだやかにわかりやすく伝えて行く性質を表しています。足に履かれたタイツの赤色は、この人物が、情熱的な行動力やパワーを持っていることを表しています。 その両方が、渋めの色彩に描かれているということは、もちろんこの人物の年齢的な落ち着きも表していますが、それに加えて、汚れに強いタフさや経験の多さをも物語っています。 少年の背後には一本の柱が描かれ、手に持った細い剣と相まって、この場が、ひとつの理念に貫かれていることが、わかります。 そして、この写真では切れてしまっているのですが、もともとの絵では、絵の上方の土星位置に、グレー色の大きな丸い盾が描かれていますので、これらの甲冑は、守りを主目的としたものであることが、強調されています。 命がけで守ることを引き継いでゆくことの中に流れる、緊張感がここにはありますが、それと同時に、騎士としての誇りの強さや、人と人との結びつきの温かさがとても良く伝わってくる絵だと思います。 ☆アトリエえんどうまめのHPは、《こちら》です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.09.21 12:21:53
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