カテゴリ:ゴハン
クジラを初めて食べたのはいつのころだったか、
それは定かではない。 しかし、クジラについて鮮明に覚えていることがある。 まだ小学校に上がる前、多分3歳か4歳くらいのころだ。 ある時、祖母の家に行くとクジラが食卓に上がっていた。 しかも、普通の赤身の刺身ではなくて、 丸い内側に花が咲いたようなスライスしたそれは、 何とも不思議な感じがした。 眺めていると、 「これはね、ひゃくひろっていうんだよ」と祖母が教えてくれて 本当はお酒のおつまみなのだけれど少し食べていいよと言ってくれた。 ほんの少しおそるおそるかじったそれは 塩味がしてそして何とも言われないおいしさが口に広がった。 私には1枚の半分しかもらえなかったが、 その味は今でも懐かしくいつかまた食べたいと思うくらいには印象に残った。 ひゃくひろって変な名前だねというと、 ひろ、というのは長さの単位でこれはね、すごく長いんだよと祖母が教えてくれた。 そして後からクジラにはいろいろな部位があって、それぞれ素敵な名前がついていて、 それらにはちゃんと物語があるのだと教えてくれた。 そんなこんなで私もクジラはそこそこ好きなのだけれど、 うちの親の世代は赤身の刺身が大好きだ。 先日、たまたま冷凍ものだったけど、ミンククジラの 赤身の塊が売っていたので、親にあげようと思って早速購入した。 ところが、うちの親ったら「冷凍?んー、お父さんは生が好きだから食べないと思う」。 さて、どうしよう。 刺身にしても私しか食べないのだ。 私より年上なのにうちの主人はクジラは食べない。 子供たちも嫌いだといって食べようとしない。 仕方がないのでクジラの大和煮を作ることにした。 ショウガと砂糖と醤油と酒さえあれば作れるからだ。 筋はできるだけとって、赤身のところだけにして 一口大にカットしてあとはしっかりと煮るだけ。 久しぶりにできたそれは懐かしい昭和の味がした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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