真くんの長い日曜日 [3/3]
真くんの長い日曜日 [3/3][承前]* * * * *「世の中、悪いことばっかり起きてるねるね」どくうり新聞を読みながらセドリックが嘆いた。「しょうがないよ。ボクや君はまだ小さすぎてお外を変える力なんかないんだからね。君やボクが立派な大人になってからお外を良くしていけばいいんだ。それまではバカな大人がしたいようにさせておくしかないよ」ボクは力なく答えた。「そうかなあなあ? 何かぼくたちにもできることはないのかなあなあ?」「いいよ、君がそんなに言うんなら、ボクがママとパパに聞いてみてあげるよ。ボクたちにも何かできることがあるかどうか」セドリックのいい子ぶりっ子にはあきれちゃうよね、まったく。「うん、頼むよむよ。あんまりにもこの世の中って不公平すぎるからねからね。真面目に生きれば生きるほど、バカを見る世の中なんてなんて。絶対おかしいよしいよ」「ボクにはよく分らないけど、必ずママとパパに相談してみるよ。約束するよ。指切りゲンマン」「ありがとう、真くんくん」 指切りしたセドリックのアンテナはとっても温かかった。「うぅん……」ママがまた寝返りを打った。「真くんどうもありがとう。とっても楽しかったよ。でも、そろそろ帰らなくちゃいけない時間になっちゃったみたいだ」「えぇっ! ボクのお家の子になるって言ったじゃない」「うん、その予定だったけど、この家には君というすばらしい男の子がいるから、ぼくはもっと助けを必要としている子の家へ行くことにしたんだ」「だってボク、セドリック持ってないのに……」「だいじょうぶ、ママやパパがお誕生日にプレゼントしてくれるセットにぼくがいるからね。その時にまた会おうね」「セドリック、これから――」♪ ♯ ♭ √ ∞ 〒 ママがカーテンをさっと開けると、光の洪水が部屋中を洗い流した。「真、こんな所でねんねしたら風邪ひいちゃうじゃない。お布団に戻って!」 うわぁ、ママったらビックリさせないでよ。子供の心臓って小さくって弱々しいんだからね。気がつくと、ソファの横のカーペットの上でトミカ・パーキングに左手を載せたまま、ボクはまた寝ちゃったみたいだ。セドリックはどこ? 黒のセドリック75年型は、そこにいた!「ママ、きのうサダくんセドリック忘れてっちゃったんだよ」左手にしっかりと握った黒のセドリックをママに見せる。やっぱ、カッコいいな。「あら、そうなの。サダくん心配しているわね。後で電話して安心させてあげようね。あした幼稚園で返してあげようね」「うん、そうする」 真くんの長い日曜日はまだ始まったばかりです。だって、まだ朝の6時半なんですから。 暁とパパは? まだまだ夢の中です。[了]