新春を言祝ぎ、安寧を祈念申し上げます
- 頌春 -「ことほぐ」は一文字で書くと「寿ぐ」ですね。語源である「言祝ぐ」の方が意味が伝わり易いかな。響きが好きな日本語って沢山ありますが、「ことほぐ」もその一つです。平素は使う機会がありませんが、新年は大いに言祝いで宜しかろう。おめでとうございます。皆様に幸多からんことを。毎度の癖で検索。「言祝ぐ」で発見した詩。祝賀ムードとはかけ離れておりますが、気に入ったので転載させて頂きます。誰かの心に響く詩を書くのは難しいですよね。それだけに琴線に触れる詩というのは、いつまでも心に残ります。「朝の祝祭」 作・森永かず子(詩誌「子午線」九十五号より)目覚めるとすでに鳥は鳴いている犬もそうだ彼らの言葉は永遠に彼らを裏切らないがわたしの言葉は明後日のわたしを敵にする眠りのあいだ閉じこめられていた言葉が飛び立とうとする朝最初の声はかならず後ずさりして喉にはりついているグレープフルーツに切り込みを入れチーズを切り声を切り取る「おはよう」清潔な朝にたじろいで声がうつむくまるで借り物のように眠りのあとは貞淑な罪人になる罪を帳消しにする罰はやさしい怖ろしいのは永遠に罰されない罪だ罪の数だけ秘密の石室を重ねるそこでは湿った言葉があるじ不在のままいつまでも生臭くくり返されている今日も目覚めると光りは満ちすでに鳥も犬も鳴いているわたしは影を伸ばす石の塔を隠して朝を言祝ぐ