食は死と生に結びつく
『食べる西洋美術史』というのがあるというのを日曜日の新聞で知った。本書は、キリストの最後の晩餐など西洋美術に現れる食べ物と食事をテーマに絵を見ていくというものらしい。食はコミュニケーションの場であるとともに、死としっかり結びついているのだということである(近代以前であるが)。その中で、自殺してしまった東京オリンピックのマラソン三位入賞の円谷幸吉の遺書が紹介されているとのこと。彼が人生の最後に思い起こしたのは、父や母、兄弟たちと一緒に食べた食事のことだったのである。死の直前に、美味しい思い出と共に人々のやさしさと交わりが思い出されるというせつなさと喜びがあるというのである。イエスが常に、人々と食事をしたということが聖書を通して知ることができるが、単なる交わりという以上に、人々と生と死を共にしているということが考えられるのか、興味深く感じさせられた。 さらに『インドカレー伝』という本に興味が惹かれた。料理から見た印欧の交流史ということだが、歴史だけでなくレシピもあるとのことで、余裕があったら欲しいな、と思っている。