わかっていても泣けてしまう!
今、話題になっているのかなぁ。 その辺はよくわかりませんが、1000円の鑑賞券を知人より売りつけられ(?)たのがきっかけで、、山田洋次監督、吉永小百合主演、淺野忠信らも出演する映画「母べえ」を夫婦で見てきました(子どもが二人とも幼稚園に行っている隙にです)。 午前9時50分開演ということでしたが、半分ぐらいの席が埋まっていました。この映画館でこれだけ人が入っているのにあったのは、久しぶりです(いつも、マイナーな映画しか見ていない...)。 原作は、野上照代という映画スクリプターの『父へのレクイエム』ということですが、治安維持法で捕らえられたドイツ文学者・思想家(?)の父親と、その父の留守に家族を守る母親と、それを支える周囲の人たちを描いていました。 戦争下における社会の様子を描いたものとして関心を持たれるものですが、山田洋次監督の映画の手法に、分かっていてもはまってしまいました。 吉永小百合さんっていったい何歳?とか、子役の女の子たちが賠償美津子や戸田恵子になってしまうのは...とに内心つっこみながら、「山ちゃん」こと山崎徹に扮する淺野忠信さんに、つい感激してしまいました。すごいいい役者ですね。ああ、次は絶対こうなる、って分かっていても、つい笑ってしまったり、泣いてしまったり。40歳すぎると涙腺が弱くなるっていうけど、そんなもんでしょうかね。 古い町並みが結構緻密に再現され、人々の感情が豊かに表現されていて、そして、悲しみ深く考えさせられる良い映画でした。最後の「母べえ」の言葉も印象的でした。 ベルリン音楽祭でも結構評価されたんじゃないでしょうか。 それにしても、あの戦争が正しかったという人は、おそらく、こうしたことがあったことに目を向けても、犯罪者やその家族には何をしてもよい、という考えなのでしょうかね。それとも、そうした出来事そのものがなかったと主張されるのか...。映画『ミリキタニの猫』でも感じましたが、戦争体制に入る社会の中でどれだけの人が苦しむか、そのことを考えさせられると、簡単に戦争の準備ができる社会にしてはならない、戦争をしないで外交努力によって解決しなくてはならない、という思いを強くさせられました。 音楽の点では、冨田勲が担当といいつつ、スペーシーなシンセサウンドではなく淡々とバックを支えるものでなかなかよかったです。特に、父 滋の死の際に流れ、またエンディングでもながれたバッハのオルガン曲"Ich ruf zu dir,Herr Jesu Christ BWV639"を佐藤しのぶのボーカルで演っていたのは、う~ん、なかなか個性的でした。