除夜の鐘を遠くに聞きながら
一年を振り返る
寒かったこと 暑かったこと
眩しかったこと 心地よかったこと
愛する季節たちは空の色にも似て
緊張のなか 初めて会う人たち
旧知の人 笑顔 泣き顔 驚く顔
いろんな色
それはみな愛すべき者たちで
子供がはじめて作った 不思議な料理
飛行機で飲んだコーヒー
初めて乗った助手席の煙草の煙
ありがとうしかでなかった言葉
少し涙の塩味がして
いろんな思い出を
それぞれすべて
ひとすじの繊維になるまで
細かくほぐしたら
新しい年の空気の中に
まんべんなく散らそう
きれいに混ざったらその場でしずかに
澱がすべて降りるのを待つ
百八の鐘の音でふるえながら
一年の思い出が少しずつ集まりながら重なって
日々の思いが織り成して作る
昨年という名の一枚の和紙
ひとつとして同じ色はない
感謝を編んだ紐でとじた
大切な三六五日が素材の
世界にたった1枚の和紙でできた
心の中にある一綴りの和紙帳
今年もまた一枚
新しい色が増える
「ありがとう」という紐がとおって
去年が幕を下ろし
「よろしく」と
澱ひとつない
新しい年の新しい空気で
心をいっぱいに膨らませて
今年もまた
未だ顔も知らない
周囲の人たちにも
よい年でありますように
あけましておめでとう
皆さんに心から
新しい一年が
すばらしい年でありますように
****
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします
=== 藍音ななを ===
2009.12・末~2010.新年
ネット詩誌 MY DEAR
新作紹介掲載作品
主催者・島様に感謝