※いろいろ勝手に作った設定があるので、先に前の日記のγ獄妄想のネタを読んでから、SSを読むことをオススメします。捏造・キャラ崩れが酷いかもなので、心の広い方で、γ獄に興味ある方だけどうぞ(苦笑)
叶うならば、もう一度目の前で笑って。その身体で、そっと優しく包み込んで――――そう、あの頃のように。
しかし…それは不可能なのだと悟った瞬間から、この世界は色を変えてしまった。
どこまでも続く漆黒の闇。 それが晴れることは、もうないだろう。
* * *
「……ん……、…ガ、ンマ……?」
自分の名を呼ぶその掠れた声に振り返れば、重たい瞼を擦りながら身体を起こし、どこか心配そうに彼を見上げる一人の美少年が目に映る―――― γ の、お気に入りだ。
「あぁ…起きたか、隼人…」
二人で入ってもまだスペースが余るくらいの大きなベッド。そこに二人は身を寄せるように横たわっていた。
下着も着用せず、素肌に直接シャツを羽織り色っぽい姿を見せる少年。ピンク色の綺麗な唇が、物欲しそうに蠢く。それを合図とするように唇にそっと指を這わせると、少年は静かに目を閉じて、「ん…」と声を漏らした。その声に誘われるように、同じ場所に自らの唇を重ねる。
――――何度こんな甘い朝を迎えただろう。
今はこんなにも綺麗な隼人の唇…最初は切れた痕が残り、とても痛々しかった。まるで玩具のように扱い、嫌だ嫌だと首を振る彼を、ボロボロに壊れるまで抱き続けた数日間。その時に付けた傷は、身体中にもまだ残っている。
抱く度にその傷が痛々しく悲鳴を上げるが、γ は罪悪感も何も感じていなかった。むしろ、隼人を傷つけた証が残っていることに喜びすら感じている。
ボンゴレファミリーと敵対するミルフィオーレの一人・γ は、戦闘の末、圧倒的な強さで隼人達を負かした。その後、新しい遊びを見つけたかのように楽しそうに、隼人の恋人の前で彼自身を犯す。それが隼人との初めての出逢いで、初めての交わり。
戦闘で弱った彼を強姦まがいに犯すことは、蟻を指で潰す程に簡単な行為だった。屈辱に震える姿と、羞恥心に染める頬。全てが彼を興奮させた。
思いの他その身体を気に入ったγ は、気を失った隼人をアジトに連れ帰り、毎晩の性欲処理の相手としてその場に監禁し始める。まだ幼い少年を、大人の経験と技量で快楽に溺れさせてやることは簡単で、すぐに隼人は大人の身体に溺れ、γ を求めるようになった。初めのうちは“コレは自分のもの”だという印を付けるように彼の身体を傷つけ、もともと太股の間に散っていた赤い花弁に気付いた時には、それさえも自分のものへと変えるように、股の間に顔を埋めそこを吸い付き続けた。その度に隼人は苦しげに呻く。
涙を流し…ある男の名を呼びながら…。
『…やま…、…も…と……っ』
そう、身体の傷よりも大きいのは、心の傷。身体の傷はいつか消えてなくなるが、心の傷は一生消えないだろう。
それすらも快感に思う己は、あまりに残酷な人間だろう。
γ は一度溜息を吐くと、目の前で黙り込んでいる隼人を見つめ返した。
「………なぁ…ガンマ…?」
しばらくして、先に声をかけたのは隼人の方だった。寝起きの為か目を潤ませながら擦り寄ってくる隼人。こんな風に蕩けるような瞳を躊躇なく自分に見せるようになったのもつい最近で。…毎晩の躾は順調に進んでいるようだ、とγ は口端を上げた。
しかし、本当の意味でこの少年を手に入れることはできない。γ は隼人の諦めにも似たその表情と声を聞き、そう感じていた。
隼人を縛っているのはγ の用意したこの部屋の鎖ではなく、山本という恋人の存在、そのもの。
薬で身体を従わせても、何度掻き抱いても、それだけは変わることはなかった。
γ のこの空虚感は…いつまでも消えることはなかった。
「……んで…、そんな顔してんだよ…?」
怪訝そうな顔をこちらに向け、隼人は首を傾げた。すると、みるみるうちにムスッと口を尖らせ、折角オレが抱かれてやってんのに、と拗ねたように言ってそっぽを向いてしまう。
そんな隼人が…何故だろう。今はとても可愛くて愛おしい。
「オレのことが心配か?」
「……っ、んなわけねーだろ!」
悪戯心で意地悪く言うと、顔を少し火照らせてキャンキャンと喚いた。
(認めたくないのか…恥ずかしいのか、本当に“そんなわけない”のか――――)
身体だけの関係というものは、いつしか心にも変化を与えていくものだということを彼を抱き続けて初めて知る。今まで抱いてきた適当な相手は、毎度使い捨てのように扱ってきた為、こんな感情を抱くのは初めてなのである。
隼人にはいつまで経っても飽きる時が来ず、いつまでもこのアジトの一室に置いている。そうすると、自然と愛着が沸いてくるのだ。手放したくない、誰にも触れさせたくない――――そんな独占欲が広がってゆくばかり。
少しの沈黙の後、隼人…、と甘い声で呼ぶと、γ はつい最近口にしたばかりの質問をもう一度呟いた。
「山本に……逢いたいか?」
突然山本の名を出すと、隼人の眉がピクリと揺れた。
「またそれか。逢いたい…つったって逢わせてくれんのかよ?ちげーだろ。オレはこうしていつまでもお前の奴隷になってなきゃなんねーんだろ」
「…ハハ、よく分かってるじゃないか」
ご褒美のように頭を撫でてやると、隼人は甘える猫のようにγ の膝の上に頭を乗せて寝転がった。
「そもそもアイツは……山本はこんな世界にいるべき人間じゃねーんだよ… それなのに、オレが巻き込んじまった。マフィアなんて世界、あいつは知らなくて良かったのに。オレが…」
γ の膝に顔を埋め、唇を噛んで、隼人は後悔の念を曝すように、苦しそうに溜息を吐いた。すると身体をごろんと翻し、耐え切れず額を右手で仰ぐようにしてそのまま彼は言葉を続けた。
「…それにこの先、こんな身体でアイツに逢ったって何つったらいいのか分かんねー。アイツのことだから、自分のせいだ、って泣くかも知んねぇ」
アイツさ、いい奴なんだよ、と泣きそうな顔でフッと笑う。
「ほんと…バカなくらい……」
そう呟く隼人を見て、同時に彼女の顔が鮮明に浮かび上がる。彼女がこの世からいなくなって何年か経った今でも、こんなにもはっきりと。
――――『あの人、あぁ見えて凄くいい人なんですよ』
仲間に自分を、γ を認めさせる為に言った台詞。作りものではない、これ以上のものなど見たことがない、それ程綺麗な眩しい笑顔。その女性をγ が自分の嫁として迎え入れることを決めたのも、今思えばこの時だった。
「オレのことなんて忘れて、10年前に戻って…それで、ただの普通の中学生の野球少年に戻ってりゃいいんだけどな」
(……本当に、そうだな)
γ は隼人の言葉と彼女の言葉と重ねるように、その台詞に対して心の中で返答した。
でも…忘れることなんて出来る訳がないんだ。自分に幸せを与えてくれた彼女の笑顔を。ぬくもりを。
彼女でなければ意味がなかった。キスも、それ以上の行為も。“愛してる”という一言さえ――――それを、その大切な存在を奪ったマフィアが憎い。だがそれ以上に、彼女を巻き込んだ自分が何よりも許せなかった。
あの山本という男も、既に怪我を治し、隼人を助ける為に動いていることは、部下からの報告で知っている。
さぁ、彼はどこまで隼人を追ってくるのだろう。そして、辿り着いた時、どういった反応をするのだろうか。
γ はそんな山本の行動への興味と、隼人への執着心の間で心揺らしていた。
その感情を隼人には気付かれぬよう、平常心を装って彼の顔に自分の顔を近づける。
「そろそろお喋りは終わりの時間だ」
全てを誤魔化すように笑い、そのお喋りな唇を、勢いよく塞いだ。
「…ん…っ……ぅ……」
「……、あまりそんな顔をするな。妬けるだろう…?」
「…っお、前が、アイツの話題、振ってきたんだろっ」
「そうだが………あぁ、そうだな……」
「……?」
もう何をしても戻ってくることはない彼女。そして、恋人には逢えずここに囚われたままの隼人。その影と影が、今、ぶつかり一つになる。
やっと見つけた、可愛い可愛い蝶。……今度こそ、逃がさない。
「今ここには…オレと隼人、二人しかいないんだ。なら…もっと楽しいことをしようか……」
γ のその掛け声で、二人はベッドのシーツになだれ込んだ。
出逢いは必然。隼人はこの必然を呪っただろう。
(でもオレは…)
――――君に出逢えたこの奇跡に感謝しよう。
「愛してるよ、隼人…」
そして今また二人、禁断の快楽の海へと…堕ちてゆく。
***
かなり説明不足で意味不明な文章を、ここまで読んで下さった方に感謝。
γさんは奥さんと隼人を重ねて見て、だんだんと隼人を愛するようになり…
その愛を受けて、ごっきゅんにとってもγさんは気になる存在になっていく、みたいな。
もちろん、山本への未練をいつまでも残しながら…
ま、妄想を勝手に膨らましながら読んで下さると幸いです(笑)
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