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ケルトの夢

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2008年10月25日
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ちょっと英国オタな私は、楽しみにしていました。
なんといっても、英国史上最もスキャンダラスなのは、イングランド国王ヘンリー8世と6人の后ですからね!

中でも、キャサリン王妃を離婚するためにローマ・カソリック教会から離脱してイングランド国教会を打ち立てるきっかけとなったアン・ブーリンは、稀代の悪女のような感じで歴史に燦然と輝いています。

そしてヘンリー8世は、次々と奥方を処刑しては6人もの后を娶ったので、とんだ好色の代表に思われていますが、大変な識者とも言われ、とにかくイングランドの絶対王政の基礎を作った人です。

ローマ・カソリック教会からの離脱は、離婚のためというよりは、政治的な意味合いが大きいのです。
また、チューダー朝の王である彼は、後継者のいないことで薔薇戦争のような内乱の再来を恐れ、王子を渇望したこともあると思います。
血なまぐさいことは確かですが。
トーマス・モアが処刑されたのも、王の離婚に反対したからです(!)



それで、本作ですが―

虚実ないまぜで、大変おもしろい作品に仕上がっています。
なんといっても、コスチューム・プレイ(時代劇)は楽しいですね!


原題は、The Other Boleyn Girl で、歴史上超有名なアンのほかに、もう一人のブーリン家の娘、メアリーが王の愛人だったことに着眼しています。

姉のアン(ナタリー・ポートマン)は才気煥発な娘。妹のメアリー(スカーレット・ヨハンソン)は気立てのよい優しく控えめな娘。

妹は王の愛人としてひっそりとした存在に甘んじ、姉は王妃の座を要求した。

この姉妹の対比が本当におもしろく描かれています。

史実では、メアリーの兄弟順なども不祥のようです。

また、映画に使われている、贈り物を断るなどのアンの逸話には、3番目の后となるジェーン・シーモアの逸話が使われているようで、また、メアリーの優しく控えめな設定も、ジェーン・シーモアから借りているみたいです。


実際のアンは、野心家のブーリンが貴族と結婚させるために手塩にかけて育て、貴婦人としての最上の教育をフランスで受けています。
王妃の侍女として宮廷に上がり、称号を持った伴侶を見つけるはずが、王妃の座を望んだことが悲劇になるのですが、それはブーリン家の望みだったのか、アン自身の野心だったのか。

栄華もつかの間、王子に恵まれることなく反逆と不義の罪を着せられ、ロンドン塔で処刑されます。

あまりにも強烈な人生。
ジェーン・シーモアが男の子を生んだ後、産褥で亡くなったのは、アン・ブーリンのたたりだと噂されたのもムリありません。


そして、アンの生んだ娘が、イングランドに大変な繁栄をもたらす女王になるとは、歴史の皮肉というか不思議というか。

でも父王の跡継ぎの憂慮はあながち杞憂ではなくて、エリザベスも一時は私生児扱いされ、ロンドン塔に幽閉されるという数奇な運命なのですよね。



この作品の前に、『宮廷画家ゴヤは見た』と『私がクマにきれた理由(わけ)』で、ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンを楽しみましたが、二人の競演、見ごたえありました。


ヘンリー8世と6人の王妃については、 こちらのサイト が面白いかもしれません。





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最終更新日  2008年10月29日 11時21分18秒
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