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ケルトの夢

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2008年12月10日
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重松清原作、阿部寛主演、中西健二監督。



なんとなく観てみたくなりました。
それほど好みなジャンルではないので、映画館で観ておかないともう観ないかも?とも思って。


静かな、多くを語ろうとしない、いい映画でした。

大きな事件も起こらない。
事件はすでに起こった後。

病休の担任の代わりに赴任して来た村内(阿部)。
もの静かで、やや猫背に、とぼとぼと歩く。
初めての朝、きれいに揃った席順の図と、一人も欠けていないクラスを見渡す。

「卑怯だな…」

そして、ある生徒の机を日直に戻すよう促して…


ファンタジーかも知れない。
何しろ村内は、しゃべりが商売ともいえる教師、国語の教師なのに吃音があるという異色の設定。

毎朝、もう転校してしまった生徒の机に向かって、声をかける。

「これは罰ですか?!」

生徒たちは動揺し、戸惑い、また村内の吃音をあざ笑ったり。

でも村内が意図しているのは、罰でも嫌がらせでもなかった。



こんなにも言葉少なく、多くを問いかけて、静かで見事な作品だと思いました。



<追記 少しネタばれ注意>

事件というのは、いじめによる自殺未遂。
事件後、クラス全員が何枚もの反省文を書き、すでに被害者は転校しています。
学校は、「再生」に向けて「一丸となって」努力中。
この努力の方向が疑問なのは、現実によく見かけることです。

「終わったこと」を蒸し返すような村内の行動に、苛立った「主犯格」の生徒たちが殴り合いをする場面があります。

「俺だけが悪いのか?」

また、
「そんなひどいことをしたんだろうか?」
「あいつは笑っていたじゃん…」

加害者となった生徒たちの間に、その時に話されておくべきことだったものが、置き去りにされていることがわかります。
加害者はひたすら反省を求められるので、よほど力量のある指導が入らないと、起こりがちなことの気がします。

事実に向かい合うこと。
とても大変で、辛い、そのことだけが、再生と、再び歩き出す一歩を生むのかもしれません。









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最終更新日  2008年12月11日 23時31分43秒
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