カテゴリ:本
長尾和宏著 ブックマン社 2013年 近藤誠医師の、「多くの情報を集めて自分で理解して判断するように」 に従って、がん関連の本を読んでいる。これが3冊目。 著者は開業医(いわゆる町医者)の長尾和宏さん。 医大を出て、10年ほどで開業している。 開業している親の医院を継いだとしても早すぎる、と思ったら、 大学病院時代に、末期の胃がん患者に「もう抗がん剤治療をしたくない」と言われ、 それを上司に相談したら、抗がん剤続行を指示され、 (アホな私は)それをそのまま患者に伝えたところ、 その夜、患者は屋上から飛び降り自死した、 数時間前までその腕に抗がん剤を打っていた患者の遺体を検死した、 怒りとやりきれなさ、己の無力さに歯ぎしりしながら亡骸を拭いた、 と書いている。 そんな経験から、町医者になり、患者に寄り添った治療をするようになり、 色々な経験から、ノンフィクションのようなフィクションで、 一人の患者のガン発見から、臨終までを描写している。 私は、このフィクションを読んで、3回、涙を流した。 あまりにも切なく、あまりにも現実的で、その描写が目に浮かぶのだ。 著者は小説家としての才能も持っている。 著者は町医者で、患者はがんセンターと呼ばれる病院で治療を受けている、という設定で、 このフィクションの段階段階で、抗がん剤を止めるタイミングがあるとして、 フィクションの途中途中でその時の医学的解説が入る。 町医者は、抗がん剤を止めて楽になった方が良いと言うのだが、 患者本人は職場復帰したいと言い、家族も、治療をすれば治ることを信じ、 期待しているのだが、病状は悪化し、抗がん剤に苦しむ。 最後の場面にも泣かされた。 臨終の後、口の中に抗がん剤の溶け残りがあったのを発見したのだ。 止めたはずの抗がん剤を、やはり、その時まで飲んでいた患者がいたという、 実際の経験から書いている。 私も、抗がん剤を止めることを考えてもいいのかも・・・と思う。 が・・・抗がん剤治療を止めると、通院しなくてもいい、 つまり、来なくていいと病院から見放されるのも怖い・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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