カテゴリ:本
知人から、面白いから、と紹介のあった、 竹倉史人著「土偶を読む」(晶文社)を読んだ。 著者は人類学者であって、考古学者ではないが、 土偶イコール女性像ではない、というところからスタートしている。 そして、妊婦だとか宇宙人とか、「俺の土偶論」が展開されているが、 客観的な根拠に乏しく、話が抽象的すぎて、 土偶の具体的な造形から乖離(かいり)していて、 統一的な見解が形成されていないという。 特に多いのが、「土偶は女性をかたどっている」というもので、 中学校や高校の教科書にも記載されているとある。 ならば、土偶は何なのか、食物と土偶を対比したカラー写真が何枚もあり、 土偶は食物をモチーフにしていると明確に示している。 しかし、それをここに載せるのは著作権上よろしくないと思われるので、 本の表紙の画像で記しておこう。 左側が土偶の頭の部分。右側が(食べる)栗。 口の下の「ブチブチ」と頭の突起が、栗をモチーフにした証拠という。 表紙の画像は小さいので分かりづらいが、なるほどと納得できる。 単なる対比だけではなく、栗の栽培地など色々なデータから、 裏付けをしている。 この他、8様式の土偶についても、クルミや牡蠣、 里芋など、食物をモチーフにしているとの解説があり、 いずれも納得合点がいく。 私自身も、土偶は女性、と思っていた(教えられた)一人だが、 「土偶を読む」を読むと、古代人が食物を大切にし頼りにしたが故の 土偶であることがよく分かった。 タイトルの「土偶を読む」の「読む」とは、 土偶からその時代背景を読み取れ、ということ。 久しぶりに「ガッテン」の本を読んだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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