シーティングの流派?
学校に通うようになって、困っていることが一つ。それは、椅子シーティングの考え方が今までと違うのです。何がどう違うのか。大まかにまとめると、療育センターは・・・椅子の座面を出来るだけ起こし骨盤は立てて座り、自分で首を支える。学校は・・・椅子の座面を倒しリクライニングさせ、骨盤を少し緩めて寝かせ、シートにもたれさせて座る。たったそれだけの事なんですが(他にも色々関連してあるけど)これが弦人にとっては、ものすごい違いなんです。それによって、何が困るのか。ただの素人の、一人の脳性麻痺児の母目線で感じた事、聞いたことをまとめてみます。今までは、療育センターのリハビリを中心に行っていました。リハビリは1歳になる前から始めているので、かれこれ6年くらい。弦人を育てる上で、発達に関する医学的な考え方は、このリハビリで教えて貰った様なものでした。首が座っていない弦人の取り組みとしては、 ・出来るだけ体を起こす機会を作り、首を自分でコントロールする。 ・うつ伏せで背中を伸ばし、バランスを取る。 ・あぐらやうつ伏せで股関節、肩関節を伸ばし、硬直を防ぐ。胡坐で股関節を伸ばし、バランスを取っているところ。うつ伏せで背中を起こし、肩周り・股関節を伸ばしているところ。立たせて、膝を伸ばしているところ。食事に関しても、体を起こしうつむき加減にする事で口腔内の成長を促してきました。摂食は首の座っていない弦人にとって、難しいものでした。体を起こすと首が安定しないので、下顎と下唇を支えながら介助する。口に触れる事を嫌がる弦ちゃんは、顎を閉じようとせず、なかなか根気のいるものでした。長い頑張りもあって、ここ一年位で、ようやく口を閉じてすぼめる様に食べられる様になって来ました。つまり、弦ちゃんにとって、体を起こして食べる事はようやく獲得したものであり、これから更にステップアップしようとしている時でした。姿勢は、疲れると首がだらーんと落ちてしまうが、自分でも首を持ち上げる様になり、かなり真っ直ぐ向ける程になっていました。起こすと視界も良くなり、自分で首を動かしてキョロキョロする様になりました。ところが学校は、それでは首に負担がかかり、頑張る事で首の筋が硬直しやすい。背中も丸まり円背になる、と言って、あまり良くないと言う。少し倒した方が、本人も楽で変形も少ないそうだ。骨盤を立たせず少し寝かせ(健常な人も、ずっといい姿勢は疲れるでしょ、と)背もたれを倒し、少し上前方を見る感じで座る。そうすると、胸が広がり、呼吸が楽になり、飲み込みも良くなるのだそうだ。今までと全く真逆な意見を言われ、私は何が弦ちゃんにとっていいのだか、分からなくなって来た。学校側もその道ではプロで、スペシャリストの意識も高いのでこのやり方のいい事を理解して貰おうと、色々事例も含めて説得してくる。それで、何が起こったかと言いますとまず、弦ちゃんの体の突っ張りが強くなりました。倒すことで、反り返る緊張が強く出たのです。本人は、倒すと好きに頭を動かせなくなり視野も狭くなるので、その不満もあったのかもしれない。本人のテンションが高い時には、倒すことがマイナスになる事も分かった。給食では、45°位までは倒して食べた方が、重力で飲み込みが良くなる、と言う歯科口腔外科の先生の話。背もたれは倒して、首だけを持ち上げる様に食べるといいとか。体を起こしうつむき加減で食べると、舌を沢山動かさなくてはならないので本人にとっては非常に疲れる、もっと楽に食べれる様にした方が量が取れる。などなど・・・・(こちらもプロなので、説得力があります)唇を閉じて飲み込まないと、陰圧がかからず誤嚥する、や口を閉じないと舌が前後運動から上下運動にならない・・・など基本的な医学的口腔内の考え方は同じだった。だが、正常な発達を促すためにどうするのか、の方法になると、意見が分かれる。今まで取り組んできた、ラップ巻きのかじり取り(一口サイズをかじる練習)レンゲを使っての啜り飲み(コップで飲む前の練習)も学校では行わないそうで・・・う~ん。両方に「方針が違うので混乱している」と訴えたがお互いが自分の考え方は正しいと、熱を帯びて説明をしてくる。そして、最終的には「ま、その場その場に合ったやり方で変えればいいのではないですか?」と上手くまとめられてしまいました。何だか一人、納得できず~私と、当事者の弦ちゃんが一番混乱しているかも。学校と療育センターと方針が違う。こんな考え方の違いは、人生であれば幾度となくぶつかると思う。育児の仕方、勉強の仕方、塾の先生との方針の違い・・・ただ、自分で動けない弦ちゃんにとってのシーティングは生命線とも言える。発達、成長、首のコントロール、嚥下、手の動き・・・全てに繋がっているから。お互いの向かう目的は同じでも、やり方、そこに関連する考え方が違う。どうすればいいんだべな~何だか久々に悩んでまする。