高田崇史『試験に出るパズル 千葉千波の事件日記』
高田崇史『試験に出るパズル 千葉千波の事件日記』~講談社ノベルス、2001年~ 「QED」シリーズなどで有名な高田崇史さんの初の短編集です。もはや10年以上も前の刊行となるのですね…。というんで、14年ぶりくらいの再読です。 高校生の千葉千波くん、いとこで浪人生の「ぴいくん」、その友人の饗庭慎之介さんの3人が主人公で、パズルを解きながら、ときに本当に起こった事件を解決していきます。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。―――「《四月》9番ボールをコーナーへ」饗庭の知り合いの刑事が、覚醒剤の取引現場を押さえようとしていた。犯人は、取引前に必ず喫茶店に立ち寄り、そこから取引先へ向かうが、いつも逃がしてしまう。喫茶店で、取引場所を確認しているようなのだが、はたしてその方法とは…。「《五月》My Fair Rainy Day」バイキングに食事に行った千葉たちは、にぎやかな団体と隣になってしまう。そして、団体客の一人が、真珠をレストランの中で落としたと言って、大変な騒ぎに…。「《六月》クリスマスは特別な日」一月から、毎月月末頃に、爆破事件が起こるようになっていた。連続爆破事件の犯人は、なにかの規則で犯行日を決めているようなのだが…。「《七月》誰かがカレーを焦がした」豪邸の千葉の家に、集まった「ぴいくん」たち。メンバーで順番に、カレーに1時間ごとに火を入れるようにしていたのだが、いざ食事となると、カレーは焦げてしまっていた。「《八月》夏休み、または避暑地の怪」旅館にとまり、釣りに出かけた千葉たちは、行きがかり上奇妙なお寺に行くことになる。スイカを持って走っていった少年を、寺の小僧は目撃していたのか…?――― パズルが小説になっています。解説の森博嗣さんも書いていますが、特にそれが感じられるのが《八月》の話。嘘しか言わない小僧、嘘と本当のことを必ず交互に言う小僧って…。なんともシュールなことになっています。 個人的には、《四月》の解決が一番ほっとしました。