司凍季『湯布院の奇妙な下宿屋』
司凍季『湯布院の奇妙な下宿屋』~講談社ノベルス、1995年~ 一尺屋遙シリーズの長編です。 それでは、内容紹介と感想を。ーーー 小説家の八追順平にかわり、ぼく―八木司郎―は一尺屋遙とともに湯布院の狭霧荘を訪れた。狭霧荘の主人、狭霧木綿(ゆう)が、一尺屋に依頼をもちかけていたのだった。彼女によれば、伯父で狭霧荘の元オーナーである吉宗が3ヶ月前に亡くなった後、住人たちのあいだで事件が続発しているという。占い師の長峰は、部屋をめちゃくちゃにされお気に入りの帽子を盗まれた。画家の奈良岡は、部屋にかけた絵が切られていた。ガラス工芸家の宮谷はその作品であるグラスを割られ、医師にして小説家の小金沢は、書きかけの小説を盗まれたのだった。 一尺屋遙たちが狭霧荘を訪れたその日、絵を切るのに使われたナイフがキッチンで発見され、そしてその後奈良岡が殺された。犯人はさらに犯行を繰り返し、一尺屋たちはいくつもの奇妙な情報を集めていく。外部犯が疑いにくい状況のなか、はたして犯人は誰なのか…。ーーー 前回読んだ『蛇遣い座の殺人』がちょっとあれだったので不安でしたが、こちらは面白かったです。 特に大きな謎の提示やトリックが使われているわけではありませんが、奇妙な出来事がいくつも提示されればそれでも十分に魅力的な謎の提示だと思いました。 真相の提示の仕方も魅力的で、良かったです。(2009/07/25読了)