悪霊物語ノンフィクションその2-2
午後3時ごろ、50キロ先の懇親会のホテルをめざし、車で出発した。 数日前、思い出したことは、この前日、ATMでお金を引き出したときのこと。その時も、男の悪霊がついていた。財布には、2万円弱しか入っていなかったが、1泊で、近場なので、2万円下したと思う。すると、悪霊が、2回以上、「それだけでいいんですか」と聞いてきた。 「大丈夫」と答えて相手にしなかった記憶がある。 出発して高速に乗る。隣の高齢の悪霊Aが話しかける。最初はたわいもない話だったが、30分くらい経つと、道がいろいろあるから、教えましょうとのこと。 「出たっ」と思った。まだ書いてない悪霊物語その1 の経験上、「悪霊の傾向と対策」をいくらか学んでいた。 多分、道の行き方などは1分前くらいに指示し、こちらが焦っているうちに丸め込もうとする算段ではないのか? 前回は運転ではないことで、時間を45分以内に決断をとせまられ、パニックに陥った覚えが2度以上、ある。 その手には乗らない!分かれ道に来る30分以上前に、教えてください、と4回以上釘を刺した。そうこうするうちに、桃源峰がこれまで見たこともないほど、美しくそびえているのに気づく。空は青く、澄みきっていて、峰に少し雲がかかっていた。「『桃源峰』がこんなによく見えたのははじめてです。きれいですね。」と言いながら、こんな方角から桃源峰を見た覚えがない、何かおかしいと気づいた。 標識を見ると、いくつだろう、降りる予定のICのいくつか先を走っていた。 「しまった!」 次のICで降りてU-タウンして高速を引き返した。しばらく時間がありそうなので「あなたはどなたでしょうか」と聞く。 「ああ、あんたのじいちゃんの下に住んでいる兄弟の子どもたち、そのさらに下に住んでいる兄弟子どもたちのいとこってところだな」わたしの知る限りの親戚の話が出てほっとする。 「この辺りでは地権争いがちょっと起こっていて、たいへんだけど、わしの嫁にくる気はないかな」 書きながら、わたしはよっぽど結婚に飢えているのだろうか、と思ってしまう。ドライブの途中で隣のおじいさんが、悪霊で姿は見えない上にヤクザであるということを耳にしたので聞いてみた。 「もし、結婚したら、普通の露天風呂に行けますか?」 「それは、だめだな。家の風呂とかくらい。でも、庭に面してるから露天風呂と同じようなものだな。いいお風呂だよ」と言われて、一瞬、庭付きのお風呂に女人が入るイメージを想像してしまった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーそう言えば、この町の近くの町々が数十年の間に町名が替わっているらしい。そんなお役所の都合が、ヤクザにも関わってくるのだろうか?