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テーマ:「婚姻」について(20)
カテゴリ:婚姻
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Q3.夫婦の扶助義務・貞操義務とは何ですか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ A3. 一.扶助義務 1.扶助義務は、夫婦の共同関係の財産的側面の原則を定めたものです。 2.つまり、相手方に自己と同一程度の生活を保障する義務です。 3.この義務は生活保持義務と呼ばれ、一定の親族間で認められている扶養義務(生活扶助義務)よりも水準が高い義務を定めています。 4.すなわち、一般の扶養義務は、自分の資産・労力で生活できないものに経済的援助を与える制度であり、夫婦の扶助義務のように自分と同一程度の生活を保障する事までは、求められてはいません。 二.貞操義務 1.夫婦は互いに貞操義務を負う、と考えられています。 2.この点については、明文の規定はありませんが、民法770条1項1号が、不貞行為は離婚原因になると定めていることから間接的に導き出されます。 3.法的効果としては、不貞行為は離婚原因になるほか、不貞行為の相手方に配偶者から慰謝料を請求できます。 4.これは、貞操義務の履行を配偶者に請求できる権利を侵害した不法行為という構成になります。 三.判例 〈事例〉 ・妻A女の夫B男が、家庭を顧みずC女と同棲している。そのため妻A女及び未成年の子DからC女に対し、家庭を崩壊させた不法行為を理由に、慰謝料の請求がなされた。 認められるでしょうか? ・最判昭和54年3月30日(民集33―2―303) 〈結論〉 妻A女からの請求は認めましたが、子Dからの請求は認めませんでした。 ・配偶者からの慰謝料請求を認めることについては、大審院以来の一貫した判例ですが、子からの慰謝料請求は、最上級審の判例はなく、この判決が初めて、否定する事を明らかにしました。 〈理由〉 ・「父親がその未成年の子に対し愛情を注ぎ、看護、教育を行う事は、他の女性と同棲するかどうかに拘わりなく、父親自らの意思によって行う事が出来る」から、相手の女性の行為と損害との間に相当因果関係がない、ことを理由にしています。 ・なお、最高裁は同一日付で、設例とは逆に 「妻が夫と子を捨てて、小中学校の同級生でメキシコに赴任した一流商社マンのところに走った」という事案でも、同じ趣旨の判決をしています。(判時922-8) 次回は、婚姻破綻後の不貞行為について ・・・つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.10.19 13:02:46
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