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テーマ:「婚姻」について(20)
カテゴリ:婚姻
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Q4.婚姻破綻後の不貞行為は相手方に対して不法行為となりますか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ A4. 一.婚姻破綻後の不貞行為 ・婚姻が破綻してしまったあとで、婚姻外の性的関係を持った場合、配偶者との関係で不法行為が成立するでしょうか。 〔判例〕最判平成8年3月26日(民集50-4-993〔百選10〕) (結論) ・不法行為の成立を否定 (理由) ・不貞行為が配偶者との関係で不法行為になるのは「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為」だからであって婚姻が破綻するとこのような権利又は利益はもはやない、という理由でした。 二.相手方からの慰謝料請求 この慰謝料請求と、ちょうど逆方向の請求が、不貞行為の相手方からの請求です。 〔事例〕 A女は、職場の上司Bから、妻と別れて結婚するからと誘われて情交関係を結んだ。 しかし、Bには離婚の意思はなく、Aが妊娠した事がわかると、分娩費用の一部を払ったのみで、会うのを避けるようになった。 そこで、AからBに対し慰謝料を請求した。 これに対し、Bは、不法原因給付に関する民法708条の精神からしてこのような慰謝料請求は認められないと主張している。 Bの請求は認められるか。 〔参考〕民法708条 ・不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。 〔判例〕大判昭和15年7月6日 (民集19-14-1142) ・慰謝料請求は708条の精神から許されない。 〔理由〕 ・自ら不法行為を犯したものはそれによる損害の救済を求める事はできない。 ・つまり、みずから不倫という不法な事をしておきながら、不倫相手に慰謝料を請求する権利はない、という事です。 しかし、この判例は後に変更されました。 〔判例〕最判昭和44年9月26日 ・「情交関係を誘起した責任が主として男性にあり、女性の側におけるその動機に内在する不法の程度に比し、男性の側における違法性が著しく大きいものと評価できる時」は、慰謝料請求を認めても708条の精神に反するものではない。 ・この判例の事例は、男性側が圧倒的に悪いケースであって、必ずしもすべての不倫行為について相手方に対する慰謝料が認められる事になった訳ではありません。 次回は夫婦の財産について ・・・つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.10.20 08:47:27
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