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テーマ:「婚姻」について(20)
カテゴリ:婚姻
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Q5.夫婦生活が破綻している時にも婚姻費用分担義務はあるのでしょうか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 一.婚姻費用の分担 1.民法760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定めています。 2.婚姻費用とは、夫婦が通常の社会生活を維持するのに必要な生活費をいい、衣食住の費用・交際費・医療費・子供の養育費・教育費等をいいます。 3.婚姻費用分担義務は、夫婦がうまくいっている時ではなく、破綻に瀕した時、特に別居した時に問題になります。 4.つまり、「婚姻から生ずる費用」というのは、婚姻の実体が存在している時にのみありうるのであって、破綻して、別居している時は、婚姻から生ずる費用はないのではないかという疑問があるからです。 二.破綻している場合 〈事例〉 A男とB女の夫婦は、協力してある小売業を経営していた。経営は順調で、賃貸ビルを所有するまでになった。 子供はなかったが、内縁時代から数えて30年近く夫婦は円満であった。 しかし、A男はC女と乳飲み子Dの写真を隠し持っていたので、A男とB女の仲に亀裂が入り、9年後に別居する事となった。 還暦を迎えたB女には自活能力はなく、まもなく生活保護を受ける事となった。 他方、A男は安定した高収入を得ていたので、B女は、A男に対し、離婚訴訟を提起すると共に、婚姻費用の分担の請求を求める審判を申し立てた。 離婚訴訟まで起こしているB女からの婚姻費用分担請求は認められるでしょうか? 〈考え方〉 社会的事実としての結婚と、法的婚姻の違いがここにあります。 ひとたび法的な婚姻関係に入ると、それが、法的に継続している限り、法律的な義務として、760条の義務が生じます。 たとえ、別居していようが、破綻していようがこの義務は免れる事は出来ません。(通説・判例) (判例)東京高決昭和53年12月14日(判時921-90) 設例の事案において、裁判所は、法律上の婚姻が継続している以上婚姻費用の分担義務があるとして、収入のある夫から別居して生活保護を受けている妻に対し、「双方が同一程度の生活を維持するに足りる」額の給付を命じました。 次回は有責者からの請求について ・・・つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.10.21 11:27:11
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