プロ市民のトラップにかかった特養ホームについて/心変わり
◎朝日新聞の記事にこんなニュースが載っていた特養入居者に性的暴言 東京・東大和2006年08月06日03時03分 東京都東大和市の特別養護老人ホーム「さくら苑(えん)」(入居定員80人)で、男性職員が認知症の女性入居者に性的な虐待発言をしていたことが、女性の家族による録音テープで明らかになった。施設側は家族に謝罪するとともに職員らを処分。東京都は、虐待が繰り返されていた可能性もあるとして近く立ち入り調査する。介護施設での高齢者への虐待は表面化しづらいため実態がわかっておらず、具体的な証拠で裏付けられるのは珍しい。 東大和市の特別養護老人ホームで、ふたりの男性が90歳の認知症の女性に性的暴言をはいたという事件が報道されている。『特養ホームをよくする会』というNPO法人が部屋を盗聴して明らかとなった。東京都が立ち入り、職員は謹慎処分となっている。性的暴言の内容については「このまえはやってくれたよな」とか「これ、盗聴されていたら、やばいっすよ」といった会話が公表されているが詳細はわからない。私自身、元特養ホーム介護職員である。直感で、「これはいわゆるプロ市民にはめられたな」という印象をもった。まず、利用者が施設に盗聴器をしかけるということ。これはアンフェアだ。そこまでしないと明らかにならないので仕方ないという見方もあろう。だが、施設と利用者の間で盗聴をしたりされたりする関係はおかしい。盗聴に至るまでに何か怪しい出来事がいろいろあったのだろうか。>被害にあった女性(90)は要介護5の寝たきりで、言葉も不自由。長女(58)によ>ると、オムツに排泄(はいせつ)物がたまっていたり、手にアザが残っていたりするこ>とが重なり、介護内容に不審を抱いた。数年前から施設側に訴えてきたが「思い過ごし」>と相手にされなかった。認知症が進み本人に確かめることもできないため、小型のテー>プレコーダーをベッド近くに隠したという。便意がない人の場合はナースコールをすることもできないから、定時におむつ交換をすることになる。たまたま面会時におむつを開けてみたら排便していたということは、もちろんあろう。ドモホルンリンクルのようにじっと眺めているわけにはとてもではないかできないものだ。手にアザも高齢者にはありがち、ちょっと何かに接触すると簡単に内出血したりペロリと皮向けすることはよくある。高齢者の皮膚はたいへん脆いものだ。>この直前には、オムツ交換中のにおいを「毒」「サリン」などと話す2人の会>話も録音されていた。女性の声はテープでは聞き取れなかった。これはおふざけが過ぎた。もちろん、利用者が理解できないことをわかっているからふざけたこと。仕事のストレスを解消するための言動だったのだろう。 本人は90歳の認知症の女性である。「うちのお婆ちゃんは、馬鹿にされた処遇を受けているのではないか。」そう疑心暗鬼に駆られる家族がいてもおかしくない。でも利用者とサービス提供者との間は、結局は信頼関係を築けるかどうかにある。暴論かもしれないが、信頼できないなら退所させるほかなかろう。私が施設長なら盗聴行為を批難するところだ。これはネットに例えるとハッキングに等しい行為だから。録音されていた音声についてだが、あのような会話は施設職員と利用者のとの間ではよくあることだ。まず、職員は冗談(軽口)で話しているのだろうということ。推測だが。こんな話をして盗聴でもされてたら、たいへんなことになるよな、ということを職員は話している。「やってくれた」という言葉についてセックスを連想する人が多いと思うが、そこが『特養ホームをよくする会』のトラップである。痴呆の利用者にある働きかけをすると決まって返ってくる行為が何かあって、職員と利用者との関係において2者においてのみ成立しているコミュニケーションというものがある。痴呆だけに外部の者がみると誤解を招く行動なのかもしれない。家族には見せられない行為かもしれない。しかし、職員とその利用者との間においてはなじみの間柄ならではのコミュニケーションということがあるのだ。このリレーションシップは外部の方の誤解を招きやすいことも多い。問題の本質はそのやりとりが利用者にとっても快行動なのか不快なのかということに尽きる。そのコミュニケーションはセクシャリティに関することなのかもしれない。そんな秘密は家族に知らせるべきことではない。家族だって知りたくないだろう。私は性的逸脱行為をする痴呆の利用者の行為を夜勤中にみることがあったが、特に問題になることはないので、特記しなかった。その人が心臓発作を起こさないかというバイタル面での観察は怠らないが。ふたりの男性職員の言動には一般の社会規範としてはNGなのかもしれない。が、それが実際に性的な暴言なのかはケースバイケースだ。十分に精査する必要があろうし、管理者にはトカゲの尻尾きりのように彼らを解雇して終わりにするのではなくて、事実関係について徹底的に調べてほしいと私は願う。※追記 「くさい、くさい、毒だよ」 「くさいですよ、“サリン”が」(公開されたテープ) 男性2人の会話が録音されたテープ。排泄物を「サリン」と称し、しきりに「臭い」と繰り返します。 この会話は今年1月、東京・東大和市の特別養護老人ホーム「さくら苑」で、男性職員2人が 認知症の女性入所者(90)のおむつ交換をする際に交わしたものです。 「この前やってくれたんだよ。絶対、見たら訴えられるみたいな」(30歳の男性職員) 「それこそ“ピー”ですよ。盗聴しても“ピー”ですよ」(21歳の男性職員) 「訴えられても負けるよ、これ」(30歳の男性職員) 職員は女性入所者に性的行為を求める虐待発言を繰り返していました。この問題、以前から 介護に疑問を持っていた家族がベッドのそばにテープレコーダーを置いたことで発覚しました。 施設において酷い虐待などあってはならない、そんなことはないだろうという希望的な観測で書いたが、テープの内容を知るにつけて、言い逃れができないほど、酷いことをしたみたいだと、考えが変わった。今回、日記の内容を変更することはなしに、追記することで心境の変化をそのまま記録することにした。