ビルを殺れ/タランティーノ病
ここのところ、タランティーノ病が再発している。もうすでに観ているタランティーノの映画を再度レンタルしてくるという病だ。今回はレンタルにとどまらず、DVDやCDのサウンドトラックの購入へと発展している。(うつ病患者の養生というものは、なんでもいいから興味がわくことをしてそれがあとでココロの負担にならないようにすることなのである。)始まりは『キル・ビル』であった。ウェブ上の皆さんの評価はあまり芳しくない作品である。その特徴として『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』での独特のセリフ回しやどんでんがえし・ループするストーリー等の魅力がないと。ストーリーも荒く、中途半端にハリウッドなエンターテーメントな映画。と評されても仕方ないかな、とも思う。しかしです。『キル・ビルVOL.2』を観なければキル・ビルについては語れないのである。私の場合、『VOL.1』での冒頭の♪BANG,BANG~のうたが流れた瞬間より、これからただならぬ何かの気配を察知したのである。あとはユマ・サーマンの動きをひたすら追っかけてみればいいのだ。千葉真一のすし屋のシチュエーションは笑っていればよし。クライマックスの青葉屋のシーンは反復が効く。あれだけ人を斬って刃こぼれひとつしない服部半蔵の刀は名刀だ。ルーシー・リューの「ヤッチマイナ!」のセリフはなんとなくほのぼのしていて好きだ。ユマとリューが互いに日本語で啖呵を切っているシーンは耳をすましてもセリフがよくわからない。それもよし。キル・ビルの脚本は200ページあって、VOL.1は57ページで終わったのだそうだ。なので、1作目だけ観て懲りてしまった皆さん、ぜひ後編もごらんになってください。2作目でようやく全体がみえてくるのです。○しかしながら、タラ映画は音楽がカッコイイよなあ。ファンクあり、マカロニウェスタンあり、マリアッチあり、いろいろあるよ、いろいろね。キル・ビルの最後は、「恨み節」が流れて終わるのだよな、梶芽衣子の。買いましたよ、梶芽衣子の全曲集を。(サウンドトラックに「恨み節」は入っているんですが)寝る前に流すとよく眠れるのだ。興味は、ネタ元の梶芽衣子と移っていき、『女囚701号さそり』のDVDをアマゾンで注文。この世界に足を踏み入れるとなんだか抜け出せなくなるような気もしてくる。とにかく不幸を背負った梶芽衣子。男にだまされ、復讐する梶芽衣子。ロングヘアで幽霊みたいな梶。こりゃ、たまらん。VOL.2は、マカロニウェスタンやカンフーそして不思議なラブストーリーだ。梶芽衣子の映画をほぼ観尽したであろうタランティーノならではの展開なのだ。女同士の格闘も昭和40年代の東映だ。つづきは、また。