学校VSフリースクール1
不登校への支援機関として「フリースクール」というものがあります。フリースクールというのは、民間施設ですから、いろいろなタイプがあり、その方針も、そのスクール、スクールにより千差万別です。あるスクールでは「わたしの子どもが不登校になったのは、学校が悪いからだ」という論理であったり「いまの学校教育では、不登校になる方が正しいのだ」という姿勢のところもあります。どうもね、その人たちの主張を観察していると学校VSフリースクールとか不登校の児童生徒は、学校に行くかフリースクールに行くか、二者選択しかない。といった雰囲気すらあります。フリースクールというのは、不登校支援の場として、大変に有用な場所であると思うのですけど、そういったオール・オア・ナッシング的な思考はどうなんでしょう?と、いうのはね。少し前に、そういったタイプのフリースクールの連盟が、●文部科学省は、学校に適応指導教室を増やす場合、フリースクールをこれに当てるべき。●公立学校在学者1人当たりの国と地方自治体の教育支出は、高校生112万円、中学102万円、小学生90万円であり、不登校の親は、子どもが学校に行っていないのに、その税金を払い、またフリースクールは公的支援を受けていないため、親は「二重負担」となっている。フリースクールは実質的には不登校の子どものセーフティネット機能をもっており、公的な教育予算を配分すべきであるといった意見書を文部科学省に提出したとか、あるいはこれから提出するとかいう話を聞いたことがあります。う~ん……これ、どうなんでしょう?適応指導教室というのは、言ってみれば不登校児童生徒にとっての【公的フリースクール】というようなものです。学校の教室ですから、その目的が「学校復帰」となっていることは、仕方がないこと。どうも、そこが「反学校」姿勢のフリースクールには気に入らないらしいんですけどね。さっきの意見書をフリースクール関係者がいうと「ライバル企業である公立の適応指導教室は、いりません。そのかわり、我々のフリースクール連盟にお金をください」という風に聞こえてしまいます。税金とフリースクールの会費の【二重負担】というのも、ちょっと違うような気もしますし……それになんといっても、公的な適応指導教室の授業料は無料であり、さして裕福ではない家庭にとって、ありがたい存在であると思うのです。本当に不登校児童生徒のことを思うのなら、「適応指導学級を増やすと同時に、フリースクールにも助成金を」くらいでいいのではと、思ったのですよ。平成18年度の東京都を例にして見てみますと、不登校の相談や指導を受けた機関として、適応指導教室が1,218人。民間の施設や団体は120人と、文字通り10倍の差があるという現実もありますしね。フリースクールは経営が大変であり、いつ潰れてもおかしくないフリースクールがあるのかも知れませんが、同じことを言うにしても、もう少に上手にアピールしてほしいと思ったりします。公的機関ではなく、民間ならではの良さもたくさんあると思いますし。そして不登校児を抱える家庭には、シングルマザーや、裕福ではない家庭も多く、業者にとって商売の対象ではない場合が増えているのも事実です。そういった家庭の人たちを、ぜび我がフリースクールにという思いがあるのかも知れませんが、なんだかこの意見書では、いま話題の「モンスター・ペアレント」を連想してしまいます。まあ、実際にはいろいろな教育方針があっていいわけですから、別に「反学校」の教育機関があってもいいんです。でも、あまりに攻撃的なところや視野の狭い団体を見ていると、やっぱり「なんだかなあ……」と思ってしまいますね。(つづく)