活字と植物メンテ、クラシックの日々

[ボツ原稿放出キャンペーン] カテゴリの記事

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• 更新、大変お騒がせいたしました。。。

  またやってしまった“ボツ原稿放出キャンペーン”♪更新を繰り返し、皆様にはほんま、ご迷惑をおかけいたしました。。。おかげさまで、通信員の時に書いた記事の多くを読み返すことができ、“ボツ原稿放出キャンペーン”の名のもと、ブログに放出することができました。それらは、オホーツクほい、取材に走る！？のフリーページからもアクセスできるようにしましたが、楽天日記内にいろいろと入れ込んでみたので、お時間ある時にゆっくりご覧いただければ、と思います。記事を読み返してみて、あらためて・・・「私、オホーツクでもけっこうマジで生きてたじゃん！」と、思いました。あ、それは言い過ぎ（恥！！！）(-_-;)いや、あっちではあんなふうに考えていたから、今の自分がこうなんだなぁ、なんて再確認できました。。。オホーツクでいろいろと経験したことを、今、ここで、この年齢で生かさなきゃなぁ。。。ああ、それにしても今日はパソコンを見過ぎました。もう、ハラヘレホロです。。。

  2006/04/16

• 台風１８号通過後の野菜市

  （２００４．９．１２執筆）恒例の野菜市が１２日朝に文化センター前で行われ、開始時間よりもかなり前から３０名以上の客が押しかけ、農家の人たちの苦労をねぎらいながら、笑顔あふれる新鮮野菜の売り買いとなった。８日に大きな被害をもたらした台風１８号。野菜市で毎回販売している農家でも、被害はかなり大きい模様。ビニールハウスが倒壊したり、作物が雨風にひどくあたってしまったり、収穫期をむかえた作物は大きな打撃を受けている。しかし、忙しい最中、野菜市のためにより新鮮な野菜を選んできたり、料理に使いやすいように細かく切って持ってきたり、野菜の料理法を伝授したり。お客さんに会える楽しみがあるから、と、客のことを考え工夫をこらしている農家が多かった。次回は１０月１０日朝８時から９時、文化センター前。今年最後である。

  2006/04/16

• まちづくり講演会

  （２００４．８．８執筆）私たちの暮しと安心して住める地域のあり方とは・・・。８日、文化センターにて、『まちづくり講演会』が開かれ、高齢者など１００名以上がおとずれ、講師の話に熱心に耳を傾けていた。講師は、本州で知的障害者や重症心身障害児の施設に携わった後、昭和６１年に札幌市に移住。医療福祉施設、配食サービス事業、社会福祉協議会など福祉分野で活躍してきたという。これまでの経験にもとづいた高齢社会に関する著書や新聞コラムが多数ある。この町の今年３月末の人口は３，５６１名。うち、約３分の１の１，２１４名が６５歳以上。ところが、１５歳未満は３７０名と、全体の約１割である。これが、平成３２年の予測では、人口は２，０２０名でうち４割強が高齢者となるという。こういった『逆ピラミッド型』になりつつある社会で、介護保険をとりまく財政状況は厳しく、これからは要介護１の段階ではヘルパーは派遣されなくなる恐れがある。そして、地方交付税があきらかに減少している地域財政も厳しく、充分な福祉サービスが受けられるかどうか心配。さらに、子どもなどに自分の面倒を見てもらえるかどうかもあてにできない。人口の割合が非常に大きい昭和２２～２４年の“団塊の世代”。この世代が定年退職、そして年金受給者となる時代が近づいてきている。「子どもには依存しない」「役場には依存しない」「在宅で生き続ける」・・・これらができるように、今われわれがやるべきことは何か。講師は、「これまでは“縦つながり”の社会だったが、これからは“横つながり”の社会。高齢者はそれぞれ対等な立場でよりよい人間関係を作り、町内会など地域活動を大切にすべきだ」と訴え、ご自身がおこなっているＮＰＯの活動を一例として紹介した。さらに「“横つながり”が得意なのは女性。札幌の街を歩いていると、高齢者の女性が集団で歩き、喫茶店で長時間おしゃべりする姿をよく見かけます。逆に、高齢者の男性は横型の付き合い方がよくわからず、街をひとりでさまよう人が多い。そういった老人は『さすらい老人』と言います」と講師が述べると、元気な女性たちの笑い声が会場に響き渡った。

  2006/04/15

• のど自慢まで秒読みです

  （２００４．７．２５執筆）紋別市では『第５０回もんべつ観光港まつり』が始まった。５０回めという節目でイベントが多く、遠くから多くの人々がやってきて、同時に夏らしい暑さもやってきて、例年以上に盛り上がっているようである。近隣の市町村でも、夏まつりが目白押しである。みんなみんな、「うちのまつりは世界一」の意気込みでハリキッテいる。ところで…今年は、これ以外にもみんな、気にしていることがある。「水面下で」と言った方が良いかもしれない。それは、『ＮＨＫのど自慢』だ。１０年ぶりに紋別市で開催されることになった。すでに出場の〆切は過ぎているが、本番の８月８日まではもう半月もない。日頃の練習の成果を発揮したい方、日頃のうっぷんをはらしたい方、とにかくテレビに映りたい方、いろいろだが、申し込んだ方々は今、予選案内の返信ハガキを待っているようだ。予選日は前日、７日の土曜日である。数週間前、あるスポーツ新聞で、『のど自慢』の長野県での予選日の様子を伝えていた。予選の通知が来た方々は土曜日の午前１０時過ぎに会場に集合し、係員の指示でひとりひとりステージに上がり、数十秒歌う。全員が歌い終わり、本番の出場メンバーが決まると、その方々だけ残り、打ち合わせやリハーサルがある。土曜日の終了までいると午後１０時頃になり、翌日は朝７時半に会場集合。予選は約２５０組。ハガキ抽選で選ばれた方々だが、その２５０組の中からまた選別され、翌日の本番には２０組しか残れない。大きな目標を目指してひとりひとりステージに上がる。予選だが衣装を工夫している方、大勢の応援団を引き連れてきている方などいろいろだ。それぞれが最高のものを予選で出し切ろうとする中で、悲喜こもごものドラマ。予選の方がはるかに面白いのでは、という記事だった。予選を控えたこの地区のある方々は趣味のカラオケの仲間どうしで応募したそうで、「どうせダメだよぉ～。本番２０組しか取らないんだよ～」とおっしゃっている。でも、心のどこかで「もしかしたら、私♪」という気持ちがみんなにあり、「本番、どんな服を着よう♪」とあれこれ悩んでいらっしゃる。そう。どんなことになるのかわからない。「だめだよ～私なんか」と言っても、人間だからみな、どこかで期待している。『のど自慢』の番組を見ていると、「カンカン」と「カンカンカンカンカン～」の基準がよくわからない場合が多い（と私は思う）。鐘を鳴らす人が責められることがあるらしいが、鐘を鳴らす人の耳には、しっかりとイヤホンが入っている。審査員の方々は別室にいらっしゃるのだ。そういえば最近、「カン」という１つ鐘が無くなったようだ。基準がゆるやかになったのだろうか？とりあえず、２０組に選ばれたとしても、優勝など望まない。あとになって「のど自慢に出たことがあるんだよ～」と、思い出話ができれば良い。しかし…やっぱり「もしかして」だ。チャンピオン大会まで進んで、ＣＤデビュー？そんなこと、あるんだろうか。本番を迎える時まで、応募ハガキを出した方々の落ち着かない日々は続く。気がつけば、耳の奥で「カンカンカン～」で始まるのど自慢のテーマソングと拍手が聞こえてくる…。

  2006/04/14

• 参院選投票始まる

  （２００４．７．１１執筆）参議院議員選挙の投票が１１日に各地でおこなわれ、町内でも朝７時から町民が続々と投票所を訪れ、大切な１票を投じていた。町内の投票所のひとつである文化センターには、小雨がぱらつく肌寒い朝にもかかわらず、投票開始時間にはすでに１０名ほどの町民が徒歩、自家用車、自転車でかけつけた。投票会場となったロビー内はとても厳かな雰囲気で、町民、そして係員たちは緊張した様子。一番に到着した作業服の男性が、まず北海道地方区の投票用紙をたずさえて投票箱の前へ。係員に「投票箱の中に何もないことを確認してください」と確認を促された。確認を終えた投票箱は係員によってふたを閉じられ、投票が始まった。比例区の方の投票で、政党名または候補者名を書くことを係員に再確認する人々もいたが、それほど混乱する様子はなかった。すべての投票を終えて会場の外に出た人々はほっとした様子で、旅行へ、仕事へ、あるいは帰宅していった。

  2006/04/13

• 木を植え、未来を育てる

  （２００４．６．６執筆）「今度の日曜は植樹祭があるから、宿題いらないよ。」先日、塾の子どもたち数人からこんなことを言われた。なんじゃそりゃ。植樹祭ったって、午前中だけじゃないの？私は呆れた。今年はオホーツクＤＯいなか博が開催中のため、北海道植樹祭がこの町でおこなわれることになった。道内外から１０００人もの皆さんが訪れ、植樹をするという。そんな場所に、町の小中学生、２００人余りが加わるなんて。パニック状態になるのではと心配になった。本番当日は快晴。しかし、風が強かった。会場には日差しをよけるための帽子をかぶった軽装の人々が次々集まってきた。駐車場はいつのまにか満杯となり、遠くの駐車場から歩いて来る人々もいた。私は、『北海道植樹祭』は毎年恒例のただの行事だとずっと思い込んでいた。今年は、３年後の全国植樹祭のプレイベントという意味合いもあったが、やはり、ただの行事にしては雰囲気が違っていたのだった。ステージの前は遠方からの人々でびっしり。そして、来賓はそうそうたるメンバー。こんな山奥にわざわざ足を運んでくださったなんて。あきらかに、集まる人々のエネルギーが違っていた。その前日、立松和平氏の講演があった。氏の出身地は栃木県の足尾銅山の近くだという。１００年以上も昔だが、戦争前にそこで多くの木々が伐採され、それが原因で雨が降ると鉄砲水となり、土地がすっかりやせてしまったそうだ。そして、その土地が今もなお元に戻らないという現実に私は驚いた。人間が手を加えてしまった結果が悲惨であることを、初めて思い知らされた。氏は毎年そこで、植樹のボランティアを続けているという。全国から集まってくる人々とともに、「心に木を植えましょう。自分の木を植えましょう」と“貧者の一灯”を捧げている。そのご本人も、今回の北海道植樹祭に参加されていた。ステージでの式がひととおり終了し、植樹となった。小中学生、来賓の方々、一般、それぞれ植樹の場所が決められた。マイクで指示があり、指示に従い大勢が大移動。しかし、誰も調和を乱すことがない。軍手やスコップを手にした人々が整然と歩いていった。木を植えるぞ、命を育てるぞ。こんな強い気持ちが参加者ひとりひとりにあったのではないか。まだ若く細い木を手に、人々は土を掘り、木を立て、その木が倒れないようゆっくりと土をかけてゆく。風のせいで乾燥した土だったがしっかりと踏み固め、１本１本の植樹が完了していった。子どもたちは、少し丈が短いシラカバやトドマツなどを受け取り、大人の説明を聞きながらおどおどと木を植えていた。土をかけているうちに木が傾いてしまい、慌てる子がいる。少し直しながら、土をかけて固定、大人がやるように木の周りを踏み固める。やった。木を植えたぞ。それぞれの顔に満足感があった。自分の植えた木の目印を探す子もいた。自分が植えた木がこれから何十年かけて成長するのか、期待でいっぱい。やはり、今回の植樹祭は子どもたちにとって貴重な体験だったのだ。それから、私はこの会場で懐かしい人々と再会した。それは、近隣の町の方たちで、ひとつの丸太にチェンソーで切込みを入れたり形を変えたり、チェンソーアートの試みを披露していた。実は、私は昔、そちらの町の山林で林業体験をしていた。私はまったく初めてで、「へぇーこんな仕事もあるんだ」と、めずらしがりながら間伐作業をおこなった。しかし、その作業が木々が成長しやすくなる大切なものだったことを、いまさらながら思い出した。数年前、この町にやって来た。何のために？日本人の多くは森林のことを『国民の財産』と考えているという。国土の４分の３が森林である日本。そして、この町は総面積の９割が森林だ。日本人本来の生き方を求めて、多くの若者たちとともに遠くからやってきたのではなかったか。ここで生きてゆくかぎりは、森林を守り育て、あるいは森林から経済活動を営んでゆくことになるのだろう。森林とともに未来がある。森林とともに生きる方法を、子どもたちへ、そして後世へしっかりと伝えてゆこう。

  2006/04/12

• すべては港からはじまった

  （２００４．４．２７執筆）私のふるさとが、すごいことになっている。『室蘭港立市民大学』というのが開校となり、開校式の基調講演を、『ニュース２３』の筑紫哲也氏が行うということを知った。私は「なんでまたそんなたいそうな」と思い、当日、いそいそと帰った。会場は、室蘭中央埠頭第３倉庫。ＪＲの駅から歩いて３０分ほどかかる場所だ。ときおり小雨が降る中、行ってみると、会場にはパイプイスがずらっと並べられ、だだっ広い倉庫はやはり寒かった。しかし、開校式がこの場所でなければならない理由があった。明治五年の港の開港以降、室蘭市は港と技術でまちづくりをおこない、北海道有数の工業都市に成長したが、現在は大きな企業が縮小され、かつての活気はどこかに消えうせたようだ。そこで、「今までは港をはじめ大きな企業から、私たち市民は多くのエネルギーをもらっていたが、これからは私たち自身が少し元気のなくなったこの『まち』に、市民パワーのエネルギーをお返しする番ではないか」と、この市民大学が作られたそうだ。大学のテーマは『みなとから始まる２１世紀の室蘭づくり』。これまで漁業、産業、歴史、文化、生活など、さまざまな側面から港と共に生きてきたまち。これからは“工業都市”ということに偏らず、自然環境など、室蘭の魅力を幅広く知り、まちの魅力を再発見し、まちを愛し、次世代のまちづくりを担う人材を育て上げる。そして、『人間のスピードで考え、暮らせるまち』を目指すという。これまでの室蘭のイメージとはまったく違うものだ。講座は１年で７回あるが、エコツアー、産業イベント、文学鑑賞、ワークショップなど、とても多彩だ。これらを通して仲間づくり、人材づくりがおこなわれ、“室蘭大好き人間”が増える仕組みらしい。開校式を、港の、今は使われていない埠頭の倉庫にしたのは、“すべては港から始まる”ことの決意表明だったのだ。集まった８００人の参加者たちが、その歴史の一瞬を目にした。そして、倉庫内を響き渡る拍手で迎えられた筑紫氏は、ご自身の出身地、大分県日田市での市民大学や、日本国内のいくつかの市民大学にかかわりをもち、その関連で様々な場所での講演を続けていらっしゃるとのことだった。日田市は、残念ながら発展に乗り遅れてしまった地域だったが、それを逆手に取り、皆が地域のことをいっしょに学ぶことにより、地域のことを知り、地域のためにできることを探す市民大学を始めたそうだ。今では九州一円や山口県の方からも参加者がいるそうである。“港町”ということでいえば、アメリカのシアトルは、かつて軍需産業で栄え、ひとやま越えてさびれてしまったまちだった。しかし、これまでと違うものをどのように取り入れたら良いかを考え、港を見事に生き返らせたそうだ。野球チームのシアトルマリナーズ、コーヒーショップのスターバックスなど、いまや世界中で名の知れたものたちだ。それから、日本国内で、これまでは“開発”という名で古いものを壊し、新しいものを作っていったが、今はあちこちで“修復開発”がされるようになったという。岡山県の倉敷は、武家屋敷の石畳を復元。日田市や京都の花見小路では、今も残る古い町並みから電信柱を無くしてしまったそうだ。このように、今まで蓄積されてきた財産を有効に利用しようとする市町村が増えつつあるらしい。私が本州に進学する頃、室蘭は“鉄冷え”といわれて久しかった。製鉄工場は規模の縮小を繰りかえし、市の人口は徐々に減少、商店街ではシャッターが下ろす店舗が増えていた。「こんなさびれたまちにいないほうがいい」と親は言い、私自身もこのまちにはいたくなかった。それから約２０年。人口は今年、５７年ぶりに１０万人を割ろうとしている。すっかり意気消沈してしまったふるさとだが、今、大いなる『敗者復活戦』に挑もうとしているのだ。私の兄弟や知人の多くは、近隣の市町村に転居してしまった。私の母は室蘭で健在だが、いずれはいなくなってしまうだろう。やがて、私とふるさとを結びつけるものは実家の墓地と我が母校だけになってしまう。「マチから出て損した。」マチは私に、こう思わせる魂胆なのか。しかし、私のことだから、数年後、何くわぬ顔でふるさと自慢をするのかもしれない。いまさら“室蘭大好き人間”を気取るのは照れくさいが。考えてみると、『人間のスピードで考え、暮らせるまち』は、北海道のどこの市町村でも実現可能なのではないか。「自分のまちは遅れているし、人口は減る一方だ」と思うと気持ちが沈んでしまう。それでも、古くから残されているものの歴史を知り、それを大事にし、よみがえらせてみる。人間のスピードに合った生活、衣食住を重視し、あくせくせずにものごとに時間をかけてみる。そういったことで、『来てみたいまち』を作ってゆけるのかもしれない。幸い、観光地としての北海道のイメージは現在も変わらない。さあ、あなたの身近で、古臭くて昔から変わらないものはありませんか。歴史が積み重ねられたそれは、ひょっとすると宝の山かもしれませんよ。それをもとに、何かやってみましょうや。

  2006/04/11

• ３０代からの“責任”

  （２００４．３．９執筆）先日、精神科医の講演会『心の教育』が行われ、とても興味深い話をうかがうことができた。これまでの時代を分析し、精神科医ならではの専門的な内容も交えながら、現代についてのわかりやすい解説だったが、特に、私の心にいちばん大きく刻まれたのは「３０代からが悪い！」ということばだった。会場の観客の多くは年配の方々で、残念ながら“３０代”はわずかしかいなかったようだが…。ちなみに、この意味合いは３０代から“下”ということである。講演会の資料として、『あなたと家族が生きてきた時代　－あなたはどのような人か－』というものがあった。１９４５年からほぼ毎年、その年のできごとがおおまかに並べられ、２００４年の鳥インフルエンザ、イラク派遣まで続いていた。私の生まれた年は「海外旅行大衆化」「オロナミンＣ発売」などである。戦後約２０年、日本がようやく豊かになってきた頃。そのあたりから、人間が成長してゆく上での何かが変化してきたという。当時生まれた赤ん坊が現在、３０代になっているのだ。豊かになった結果、おそらく、日本人はいろいろな余興を求めるようになったのだろう。家庭では子どもを少なめに産んで育てる少子化が始まり、１９７０年代あたりからは２人兄弟が普通になった。兄弟が多かった時代は、兄弟の中で葛藤する経験を家庭でできたが、２人兄弟などはそれがあまりできず、そのまま成長した。だから、家庭の外で葛藤などがあってもうまく処理してゆくことができない。それから、もともと母性社会である日本は子どもを大切にするところがあり、子どもが何か悪いことをしても、家庭のせいではなく、学校のせい、地域のせい、社会のせいとされる。子どもは素直が良いんだ、無邪気、純真無垢、おおいにけっこう。その結果、子どもはますます、「自分の思うとおりに行動して良いんだ」と思うようになる。今は成長したこの世代が家庭を作り、自分の子どもを育てる時代だ。「人間として自然だから子どもが欲しい」と思う割合よりも「かわいいから子どもが欲しい」と思う割合の方が高いため（参考資料：平成十三年度「国民生活白書」）、かわいくなくなったら親から子どもへの虐待が始まるのだという。なおかつ、最近の子どもたちが起こす事件の多くは理由がわからず、自分勝手としかいいようのないものである。時代の流れで説明され、私は病んでいる現代社会についての疑問が解けたような気がした。しかし、私たちは時期を選んで生まれてくることなどできず、たまたま今“３０代”世代なのだ。そして、われわれの親の世代も苦労して時代を作ってきたのだから、親たちの世代が悪いとあからさまに言うことはできない。ただ、ここで救いがある。彼の話を聞いていた時、私が首を横に振った部分があった。それは彼が「学齢前の子どもたちが、地域で近所のお兄ちゃんお姉ちゃんと遊ぶ経験がない」とおっしゃったところである。「この町でも、そうでしょ？」とたしかおっしゃった気がする。しかし…はっきり言えばこれは違う。小さな町のせいか、さまざまな年齢と交わる機会はけっこう多く、子ども向けの行事も多彩なのではないか。昔はもっと多かったのかもしれないが。少なくなった子どもたちを大切にしなければ、という考えで、町や、町内の団体などが子どもたちが出会う場を作るのに努力しているのだ。毎日のように報道される悲惨なニュース。大きく取り上げられるから自分の身近のように錯覚しがちだが、この町ではまだまだ無縁なのかもしれない。「人は人の中で生きてゆく。」これができる子どもが育ってゆくように、これからも地域での取り組みに参加してゆこうと思う。

  2006/04/10

• 新年書き初め交流会

  （２００４．１．１３執筆）久しぶりに穏やかな天候となった１３日、文化センターで新年書き初め交流会が開かれ、町内の６５名が参加し、慎重な面持ちで半紙に向かっていた。この書き初めの催しは、１月の恒例行事。毎年参加している児童・生徒も多い。学年ごとに課題は決められているが、高校生は書体は自由。一般は書体も自由で、自由題でも可である。ロビー全体に新聞紙が敷きつめられ、ひとりひとりの手元には下敷きや墨、そして筆。立てひざになり、親御さんや学校の先生の指示を受けながら、ゆっくりゆっくりと筆に墨をつけ、慎重に書き上げていた。おおぜいで取り組んでいるがまったくおしゃべりをする様子もなく、みな真剣そのもの。清書は半紙３枚だけ、と決められているので、新聞紙にじゅうぶん練習をしてからいざ本番、という児童が多かった。学校ではほとんど書く機会がない半紙約２枚分の大きさ（高校生以上は半紙約４枚分）で、書き上げるのは一苦労だったが、なんとか書き上げた児童は自分の作品を提出し、参加賞の半紙と墨汁をもらってうれしそう。「いろいろと先生に指示されたけれど、来年もぜひやってみたい。」参加者たちにはすがすがしい達成感が残った。一方、大人の参加者は児童・生徒たちに遠慮して端の方で取り組んでいたが、『万物生光輝』（ばんぶつこうきをしょうず）という、年頭にふさわしい作品を書き上げる者もいた。

  2006/04/09

• 絵本の講座『子どもが本に出会うとき』

  （２００３．１２．１３執筆）１２日の午後、町立幼稚園で恒例の絵本の講座が開かれ、日頃絵本に感心を持っている親子連れなどの町民が訪れ、講師の話や朗読に熱心に聞き入っていた。今回の講師は、旭川の子ども向け書店店長。いよいよ冬本番をむかえ、「外は雪ですが、自然に目を見開きながらの子育てができますよ」と、『とらたのおおゆき』『ゆきのひ』など、雪とたわむれている絵本を紹介。また、子どもは人のあたたかい手が出てくる絵本、食べ物が出てくる絵本が大好きで、自分でも同じようにやってみたくなるものだと『くだもの』『ぷくちゃんのたくさんだっこ』『ぐりとぐら』などを示された。その他、今話題の絵本『だめよ、ディビッド』（ディビッド・シャノン著）にも触れた。服をどろだらけにしたり、花びんを割ったり、いろいろなわるさをするディビッドだが、母親は全身でディビッドを抱きしめ、「それでもだいすきよ」とささやく。この絵本のように子どもときちんと向き合うことの大切さを伝えていた。なにかと刺激が多い時代。しかし、子どもにとっては単純な生活が大事であり、絵本をとおして子どもの世界を信じ、子どもを守り育てる大切さを訴えた。毎日読み聞かせができなくても、週１回などと決めてやったら良い。子どもはそっぽを向いていても、読み聞かせの言葉を耳で聞いているものだ、とのこと。話の最中に、子どもたちから「これ！」とリクエストされる本が次々とあり、講師はそれらをひとつひとつ朗読し、子どもたちの目や耳をくぎづけにしていた。「お店でもこうやってリクエストされたら読んでいるのですよ」ということだったが、朗読される豊かな世界に母親たちも感激。参加者たちはみな、充実したひとときを過ごした。

  2006/04/08

• 生ゴミ堆肥化講習会

  （２００３．１１．２２執筆）「来春には自分の作った堆肥で良い作物、良い花を。」町内で２１日、自宅で簡単にできる『ダンボールコンポスト』を使った生ゴミ堆肥化講習会が行われ、主婦をはじめ、３０名近くの町民らが参加し、熱心に学んでいた。講師は町内在住の主婦。もともとダンボールコンポストは、循環（くるくる）ネットワーク北海道（札幌市）が平成１３年４月に始め、札幌市内で多くの市民が取り組んできた。彼女の所にそのマニュアルが届いたのは昨年１０月。近隣都市の仲間と話し合いながら、今年の２月からご自宅でダンボールコンポストを始めたという。ダンボールにピートモス、もみがらくんたんを６対４の割合で入れたところに、毎日３００～５００ｇの生ゴミを入れ、かくはんする。彼女ははじめの頃、１日に１、２回しかかくはんしなかったが、それだと温度が２０度くらいにしか上がらず、なかなかバクテリアの活動が進まなかったらしい。そこで、１日３～５回“孫を可愛がるように”かくはんするようにし、温度や入れたものなどについてノートに記入していたら、ダンボール内の温度も４０～５０度までになり、うまくいったという。てんぷらの廃油２００～３００ｃｃ、あるいはきなこ１００ｇ、米ぬか２～３つかみを入れて温度上昇を促したこともあったという。町では一般ゴミは有料となっているが、彼女の家庭では、一般ゴミは５０円の小さい袋でも余裕が出るほどゴミの量が減ったそうである。会場では大まかな実演がおこなわれ、実際に取り組んで３ヶ月になる幼稚園職員の作ったダンボール内を披露。参加者たちはダンボールに近づき、目を皿のようにしてのぞきこんでいた。「私もやってみようかな」と興味を示した人が多かった。「地球環境問題は、子どもや孫の代になると本当に大変になります。ダンボールコンポストを始めて、ひとりひとりゴミの問題をなくしてゆきましょう。ぜひ、みんなで情報交換してゆきましょう」と講師はみんなに呼びかけていた。

  2006/04/07

• 町内出身作家特別講演『私が思う教育のあり方』

  （２００３．１１．１６執筆）私は現在、教育の仕事に携わっている。といっても、学習の補助的役割の学習塾である。最近、文科省の新学習指導要領の改訂で学習内容が約３割削減されたが、このことへの賛否両論が世の中で沸き起こった。しかも、新しく『総合学習』という時間ができたりして、小中学校の現場ではさまざまな混乱がうまれたと聞く。それと同時に、我々“教育産業”の人間も「これからは個々に学習に取り組まなければならない。学校に頼ってはいられない。塾に通う子どもは増加するだろう」という情報に踊らされ続けた。しかし、“学校”でなければできないことがあるのだ。このたびそれをはっきり教えてもらい、やはり“学校”にはかなわないと感じたのだ。１５日に、町内出身の作家による特別講演『私が思う教育のあり方』が行われた。彼は５８年前の日本と今の日本を比較し、日本のありようが変わってしまったことを嘆いていらした。日本は５８年の間、利潤の追求だけを求めて突っ走ってきたため、経済や科学文明は大いに発展した。しかし、残念ながら教育が取り残されたとおっしゃる。日本はあの戦争で大きなダメージを受け、あんなひどい焼け野原になった。私の親や祖父母はもちろん、日本国民すべて一から頑張ってきた時代があった。その結果“勤勉な日本人”が生まれ、高度成長経済、その後の発展のエネルギーは素晴らしいものだったと私は思う。しかし、その日本の５８年間を否定しなければならないなんて。特に年配者たちにとってはやりきれないだろう。日本はどこへ向かっていたというのか。彼は、東京六大学を含めた大学生１６０名にアンケートを取ったという。「あなたにとって一番大切なものは何ですか？」出てきた答えが１．金　２．家族　３．恋人となったそうだ。『夢』『希望』はかなり下である。やはり、５８年の年月は重大な間違いをおかしてしまったのか。気がつけば、凶悪な少年犯罪など歯止めがきかない状態だ。アンケートでは、彼が期待していた『自分をかえりみること』という答えは１人もなかったそうであるが、学校は本来、「自分をかえりみる場」なのだそうだ。知識を得る勉強、問題集などを反復する勉強なら１人で（あるいは塾で）できるのだろう。わざわざ学校に行くのは、クラスの人間たちに会っていろいろな話をし、それによってあらたな価値観を見つけることができるからだ。クラスに４０人いれば、自分とは違う３９の価値観がある。さまざまな価値観に触れ、自分なりに考えることができるように訓練する唯一の場が学校なのだ。教育というのは本来、そうやって人間が“感じる”ことで成長してゆくものだと彼は強調する。残念ながら、過疎化が進み小規模校が増えてしまった昨今。やむなく学校の合併もあるが、学校でなければできないことを学ぶために必要なことだろう。先日グランプリをとったこの町の小学生たちの『オホーツクの詩』づくりは、百年後の『ふるさと』がどうなっていてほしいかを想像することから始まったそうである。そして、オホーツクの１２市町村のことを丹念に調べ、詩にする言葉や文章を考える時にいろいろと意見をぶつけ合い、最終的にあのような素晴らしい詩に完成したのだという。少なくとも、この町の子どもたちは、学校という場で自分自分を成長させる術を知っているのではないだろうか。そして、未来がどうあってほしいか、と想像する心も。

  2006/04/06

• 図書館まつりのご案内

  （２００３．１０．１９執筆）町立図書館で、２５日午前１０時より午後３時まで『図書館まつり』が行われる。今回のテーマは『めざせ！地球にやさしい地球人』。例年おなじみの「ブックリサイクル」（１０円～１００円）のほかに、環境にやさしい水素で燃料電池車を走らせる「エコ科学実験」、どんぐりやまつぼっくりを使ってやじろべえや独楽を作る「手づくりあそびの会」が催されるが、中高生も参加した実行委員会が特に力を入れているのは「エコｄｅカフェ」である。「普段捨ててしまうような食材を無駄なく使っておいしいゴハンを提供する」という趣旨のカフェは、メニューを聞くだけで「味わいたい」と思ってしまう。おにぎり（かつお節＋ごま、大根葉＋しらす、鮭）、パンの耳かりんとう、おからクッキー、かぼちゃのポタージュ、お菓子付紅茶。おにぎりの鮭は“あら”を使う予定。さっそく町内で鮭の提供を申し出てくれた方がいて、実行委員一同感激している。その他、捨てずに活用する食材がどのように生まれ変わるのか。前もって買出しもあるし、店内のディスプレイなどは中高生がアイディアあふれる計画中。当日は朝７時半から準備にとりかかるそうである。その他、忘れてならないのは、図書館司書がおすすめの『センスオブワンダー』上映会（午後１時～３時）である。『センスオブワンダー』は、環境問題の古典『沈黙の春』の著者であるレイチェル・カーソン（１９０７～１９６４）が、姪の息子のロジャーとの自然体験をもとに書いたエッセイが原作である。実際にレイチェルがロジャーと過ごしたアメリカ・メイン州の別荘や森、海辺を舞台に、２０００年～２００１年にかけて映画化された。翻訳家の上遠恵子さんの朗読を聞きながらレイチェルの世界を追体験できる朗読ドキュメンタリーとなっている。上遠さんはある雑誌の取材でこのようにおっしゃっている。「かなり前、子どもたちとアフリカ難民の写真を見ていた時のこと。栄養失調で立ち上がれないような子どもの写真を見て『こういうのって、自然淘汰っていうんだよね』と言うのを聞き、自分は悲しみとも怒りともつかない気持ちになった。人間がつくり出した争いのために、子どもが死に直面しているのを見て『自然淘汰』と言ってしまうセンスの恐ろしさ！いのちの教育をしなくては、と強く感じた。」かつて、人間が生み出した化学物質による環境破壊の恐ろしさを『沈黙の春』で訴えたレイチェルは、晩年の『センスオブワンダー』で自然の神秘さや不思議さに目を見はる感性の大切さを伝えたかったようだ。上遠さんはレイチェルに強く共感した。人間が便利さを追い求めてきた結果、文明は発達したが、その反面、化学物質、環境ホルモン、そして生物兵器、核兵器など、人間をおびやかすものを生み出してしまった。これから人間はどのように生きてゆかなければならないのか。自然と共生してうまくやってゆけるのだろうか。図書館では、「町内の人ばかりではなく、町外からもおおぜい見にいらしてほしいです」と案内している。この映画を見る見ないは、『地球にやさしい地球人』になれるかどうかの分岐点になるかもしれない、と私は思った。お子さんにも来ていただき、映画の中での自然との触れ合いを楽しんでほしい。託児もあり。ちなみに、図書館では図書館まつりに向け、環境問題に関する書籍を展示中。併せてご覧いただきたい。

  2006/04/05

• 料理研究家の講演会に参加して

  （２００３．１０．１２執筆）本州に１５年住み、数年前に北海道に戻ってきた。道内に住む母が「夕方のテレビの『奥様ここでもう一品』はためになるから見なさい」としきりに言ってきたが、料理がろくすぽできない娘に対するただの番組紹介だろう、と私はそれほど気にとめなかった。しかし、この番組担当の料理研究家の先生はただものではなかったのだ。あるテレビ番組内のコーナー『奥様ここでもう一品』は、何かあるもので手早くできる料理を生放送で紹介している。放送回数も数多く、先日ギネスブックに載ったそうである。週末、北見市で行われた先生の講演会『食べて味出す健康と人生』を聞きに出かけた。秋晴れの穏やかな日。先生はグレーのスーツにピンク色の可愛らしいジャケットを着て登場した。とても美しい笑顔。そして聞き手をぐいぐい引き込むユーモア溢れるおしゃべり。しかし、先生ほど北海道の行く末を心配している人はどれほどいるだろうか、と思うくらい、深刻な話のオンパレードだったのである。先生はテレビの中で「皆さん、北海道のものを食べてくださいね」と何度も何度も伝える。それは、広い意味での地元の産物の消費拡大が目的ではない。先生が『北海道』にこだわるのはそれ相当の理由があるのだ。北海道は比較的低温の土地のため、害虫の発生が少ない。そのため農薬があまり使われていない。それから、寒い時期が多いので二毛作などできず、１つの作物を作るのがやっとだが、その分、作物にたくわえられるエネルギーはとても大きい。たとえば玉ねぎなどは煮込んでもすぐに溶けたりはせず、繊維がしっかり残っているのである。大地では野菜や肉、それから海では魚介類がとれる。山の幸も海の幸も豊富にとれる北海道はバランスが取れた地域である。そして、『北海道は世界一』なのだ。日本の自給率は４０パーセントといわれる。しかし、北海道の生産量は日本全体の約５分の１を占め、北海道だけをみると自給率１７３パーセントなのだ。世界中、どこを見てもそれほど自給率が高い国は皆無である。潜在自給率がほぼ２００パーセントだというのに、道民たちはそのことの意識やプライドがない。市場からはずれた作物を畑にどんどん捨てている。北海道から安い品物を売り、逆に農薬だらけの高い品物が入ってきても平気な顔をしている。先生はそのことをとても嘆いていらっしゃった。われわれは知恵やコミュニケーションで、そういった資源をもっともっと活用しなければならないのだ。宇宙開発事業団に協力し『宇宙食』も開発している先生は、毛利さんがスペースシャトルから撮影した地球の立体写真をご覧になった時、北海道もくっきり写っていたので驚いたそうだ。撮影されたのは２月。全体が雪で覆われていたのだが、それでも「この土地はどれくらいの作物が生産されていて」などという細かいデータが全世界に広まっているにちがいない。「北海道は全世界から注目されているのです。そのうちみんな攻めてきますよ。」冗談に聞こえてしまいそうだが、一番大切な食糧が世界では足りておらず、２１世紀は飢餓の時代がやってくる、と考えると、道民である私自身も慌てふためいてしまう。講演を聞き、知らないことばかりだった私は愕然としてしまった。長い旅をしてやってくる野菜たちは、成長する過程でヘリコプターや飛行機で農薬を散布され、収穫された後も農薬をかけられ（ポストハーベスト）、なおかつガスで消毒されるくん蒸というのもあるそうだ。船で来るものは船積みして１回、陸揚げして１回消毒がある。農薬を浴びたものは成長が止まり、呼吸さえしていないそうである。消毒されてないものには作物独特のにおいがあり、細胞が生きている。たとえば、ブロッコリーは置いておくと黄色くなってくる。しかし、消毒されたものはいつまでたっても青いまま。こういったものを人間が食べて、体に良いことはないのである。人が健康であるためには、食についてもっとこだわる必要がある。『食』は「人を良くする」と書く。人を良くしないものを口に入れてはいけないのだ。体力と気力と知恵で安全なものを食べ、自分の体は自分で守らなければならない。まだまだ聞きたかったが、先生のお話は残念ながら時間切れとなった。自宅に帰ってから、わが家の台所の野菜をいろいろと見た。大根は新しい大根葉を上に向かって伸ばしていた。キャベツは切ったところの芯が盛り上がり、再び大きくなろうとしていた。古いジャガイモは芽を生やしていた。そしてみんな“におい”があった。安心した。手元の野菜たちは生きていた。これからも命のあるものを食べたいと思った。

  2006/04/04

• 心の交流もあったロシア民族舞踊

  （２００３．９．２１執筆）１９日に行われた『ロシアフォークアンサンブル“ベェチェ＆ロシアーニ”』の公演で、私はロシア連邦文化交流事業実行委員会の一員として少しだけお手伝いさせていただきました。先月行われたロシア料理講習会同様、ふだんあまり触れ合うことがないロシアの皆さんとの交流が楽しかったですし、生の民族舞踊も大いに堪能することができ、今後の貴重な経験となりました。ウラジオストックの団員の皆さんは本州や道内各地で公演続き。どんなに疲れていらっしゃるだろうと思いましたが、大型バスが到着し、降りてきた姿はキリッとしてたくましく美しい方ばかり。“プロ根性”を感じました。そして、おとぎ話の箱の中から飛び出したような若く愛らしい女性も多く、すっかり見とれてしまいました。団員の皆さんはあまり休憩を取れぬまま、小中学生の鑑賞会の準備へ。私たちは「皆さん、何を食べるのだろう？」と軽食など用意し始めました。そして、小中学生が集まり、鑑賞会がスタート。最初はシーンとしていた会場が、ロシア民族舞踊の魔法にかけられ、徐々に子どもたちの大歓声に変わってゆくのを調理室から聞いていました。「私も早く見たいなぁ。」休憩があって、そしてお待ちかねの本番。会場は満員でした。公演は同行している日本人の方の解説付きでとてもわかりやすく、衣装も踊りもとても華やか。今まで聞いたこともないような声量の歌声がいくつもいくつも飛び出しました。昔どこかで聞いた歌もあり、会場内では一緒に歌っているご年配の方も。それから、生の“コサックダンス”を見ることができたのは、友人に自慢したい程です。公演は大盛況のうちに終了。実行委員は夕食交流会に参加しました。言葉がわからない不安はなんのその。雰囲気作りがとても上手な団員さんばかりで、身振り手振りのほかにできるだけ日本語を交えて話してきたり、『カチューシャ』の歌詞説明などもしてくださいました。そしていつしか“合唱会”となりました。団員さんの日本語の『母さん』『荒城の月』、そして沖縄の『花』は、目をつぶって聞くと日本人だと思ってしまうような、美しくしみわたるものでした。日本の方からも、実行委員の１人が昔の合唱団の経験を生かし、ロシア語で『バイカル湖のほとり』を可憐な歌声で披露。すると、それに負けじとロシアの男性団員の方が朗々と響き渡る声で熱唱。その場はたちまち大合唱の嵐。私は、まだ一度も行ったことがないバイカル湖へいきなり連れ出されたようでした。それから、印象的だったことがあります。実行委員の中に、小学４年まで樺太に住んでいたという方がいらっしゃいました。その方は団員さんに「“わたし”はこう、“あなた”はこう言うんだよね？」とひとつひとつ確認していらっしゃいましたが、話すうちにいろんなロシア語が思い出されてきたようで、ご自身で感激していらっしゃいました。私事ですが、私の母は国後島で生まれ育ちました。戦後、ソビエト兵が島に上陸してきて、“生きるため”にロシア語を覚えなければならない時期があったそうです。それから５０年あまり。私の叔父は４年程前に墓参団に参加し国後島を訪れましたが、ロシア人の家庭にホームステイして、昔覚えたロシア語で交流をしたそうです。過去の歴史は消せるものではありません。しかし、今の若い世代はあらためて、日露のより良い関係を築いてゆかなければと思います。ひとりひとり、同じ人間だから、わかり合えるところがあるのではないでしょうか。「スパシーバ」「アリガトウ」大きな愛のこもった大きな握手。ひとりひとりの団員さんと交わしているうちに、心の交流は可能だと実感しました。きっといつか、また会いましょう。

  2006/04/03

• ロシア家庭料理講習会に参加して

  （２００３．８．２４執筆）私にとって外国人の方々と触れ合える機会というのはめったにないので、それだけでも面白いと思ったのに、料理を作ったあと、その料理を味わいながらの交流会が２時間ほどありました。料理を通してのロシア人の日常生活の話などを聞いたり、とても贅沢な時間を過ごせて本当に良かったと思います。料理を作る時は４班に分かれましたが、４種の料理の調理進行は班によって様々。私の班は年配の“お母さん”というイメージの方が担当してくださったので、料理下手の私などは一つ一つ指示をあおぎながら（息子さんの通訳を通して）なんとか調理をすることができました。他の班で主婦歴が長い人たちが集まっていたところは、言葉がわからないなりに「これはこうするんだな」「次はこうなんだな」と想像しながらさっさと進めていたので、“さすが主婦力！”と感心しました。近隣都市にお住まいのロシア人の方々がご好意で来てくださり、言葉でうまく伝えられない中での調理指導は本当にご苦労だったと思います。深く感謝すると同時に、「なぜ、こんな近くに住んでいる方々のことを私たちはよく知らないんだろう？」ととても不思議な感じを持ちました。そして、この地域の私たちは英語よりもロシア語を学ぶべきなのでは？と本気で思ったり・・・・。

  2006/04/02

• 七面鳥ってどんな鳥？

  （２００３．７．１３執筆）クリスマスにはまだまだ早いが、この町では約２０年前から七面鳥の生産に力を入れており、クリスマス以外でも加工品などとして七面鳥が数多く販売されている。世間では、七面鳥は鶏よりもなじみが少ないかもしれない。七面鳥ってどんな鳥？『食の安全』と『環境の保全』を基にして生産を続ける会社の七面鳥の飼育小屋におじゃました。飼育担当の女性は、孵卵機（ふらん・き）の管理やひなへの餌やりなどで大忙し。３月から種鳥の人工授精を始めて、定期的に続けられているのだが、種鳥から生産された卵を孵卵機であたため始めてちょうど２８日でひなに孵る。この日はちょうど２８日目。孵卵機を開けて見せていただくと、たくさんの卵がのったトレイには、殻を破って出てきたばかりのひな達がピヨピヨと元気な声を上げていた。体長は１５センチくらい。見ためはひよことそれほど変わらない感じである。まだ卵のものもひなに孵るのは間近で、翌日までに約３００羽が孵るという話だった。この会社では、ひな達の餌は鶏と同じではなく、町内で生産された小麦などを自家配合で与えている。成長過程によって配合も変えるそうだ。生後３週めまではひな用、３週め～４週めはひな用（育成用に変わる前の段階の餌）、５週め～９週めは育成用、１０週めからは肥育用でいよいよ出荷されてゆく。別棟の小屋では、ひなが成長過程ごとに別々の部屋に分けられている。窓は強い日差しが入り込まないようにプラスチックで覆われており、室内は寒い時のためにブルダーというガスストーブが部屋の真ん中に設置され、ひな達にとっては快適な環境のようだ。部屋をのぞきこむと、部屋ごとに体の大きさが違うのは明らか。４週めは体長２５センチほどで体重が４５０グラムほどだが、６週めとなると体長５０センチほどで体重が９００グラムほど。約２倍となる。牛は８キロ、豚は５キロ、鳥は２キロの餌で１キロ太るので、鳥は牛や豚に比べて非常に生産効率の良い蓄種といわれるが、「ここでは１日４００キロの餌を運んでいるよ」とのこと。それだけ、ここは規模の大きい飼育小屋なのである。七面鳥には鶏のような鶏冠（とさか）が無いようだが、親鳥になると、鼻のような真っ赤な鶏冠が顔の下の方にだらんと垂れ下がっている。親鳥は雄、雌別々の部屋に入れられ、雄は体長７０、８０センチで体重も１０キロ以上と大きく、羽を広げるようにして威嚇することも多い。今回孵っていたひな達が成鳥として出荷されるのは、今年の９月頃の予定。まさに“食欲の秋”である。安全な環境、安全な飼料で育っている七面鳥を、他の市町村の皆さんにもぜひ食べていただきたいと思った。

  2006/04/01

• 悪徳商法には毅然とした態度で

  （２００４．１０．１３執筆）１０年ほど前、横浜市の公団住宅に住んでいた頃のことである。夫がひとりで家にいた時、公団とよく似た名前の会社のセールスマンがやってきた。そして半ば強制的に、レンジフードフィルター１セットと取付ワク２個を、品物代の振替用紙とともに置いていった。合計で１万１千円だという。「これ、高すぎるよ～。どうしてこんなの買っちゃったの？」と夫にたずねると、公団住宅ではみんな使っている、というような話をされ、そういうものがあるんだ、と夫は思ったらしい。私は、公団の事務所にフィルターの販売について問い合わせた。すると、「うちとは関係ありません」と即答されてしまった。私の中で怒りの炎がメラメラと燃え始めた。勝手に押しかけてきて売りつけるなんて！こんなもの、買いたくない！『クーリングオフ』というのをするぞ、と思いたち、横浜市内の消費生活センターに電話したのである。センターの人はとても親切で、「落ち着いてくださいね。次のことをやっていただきますから」と、クーリングオフのためのハガキの書き方を丁寧に説明してくれた。冷静さを取り戻した私は、教えられたとおりに解除通知のハガキを書き、表と裏の両面のコピーを取り、郵便局に持っていって配達記録郵便で送った。その数日後、前と同じセールスマンが品物を引き取りに来たのだった。私が遭った悪徳商法は金額が少ないほうだと思うが、昨今のオレオレ詐欺をはじめ、布団やリフォーム、浄水器などの悪徳商法セールスはどんどん高額になってきている。町内でも被害者がいらっしゃるようで、連続で被害に遭って何百万円も失っているケースもあるらしい。とても気の毒に思った。勝手に部屋に上がりこんでくる。すぐ買わないと大変なことになる、と脅す。このような悪徳商法に引っかからないようにするにはどうしたらよいのか。１３日に町内で『高齢者に多い悪徳商法の手口とその対策について』という講演会があり、北海道消費者協会の先生が札幌からいらっしゃった。会場には７０、８０人もの町民が集まり、参加者の多さに私はびっくりした。先生のお話によると、札幌の消費生活センターでは、今年に入って悪徳商法の相談電話が２万件を超えたそうだ。それでも、電話をかけてくるのはほんの数パーセント。実際に被害に遭っているのはそれよりもはるかに多いらしい。先生は悪徳商法の種類をいろいろと説明していった。点検商法、マルチ商法、悪徳通信サービス…そのたびに会場のあちこちでザワザワした。みんな、隣に座っている人と「うちにはこんなの来たんだよ」「そうそう、こういうのもあったんだよ」と話していたのだ。ほとんどの人たちの所に悪徳セールスがやってきて、一歩間違えば引っかかっていた。引っかからずに済んだのは…毅然とした態度で「いりません」と断ったからだった。この講演会の参加者はもともと、悪徳商法についてはとても敏感な人ばかりだったのだ。参加者の中には、知り合いを集めて高額な品物販売をする人に直接、「こういうことはやめるべきだ」と強く説教をした人もいたようだ。私も体験した『クーリングオフ』は、契約日を含め、ほとんどが８日間の間に書面を郵送することで成立する。しかし、品物の種類によっては２０日間というのもあるし、逆に、インターネットでの購入のようにクーリングオフできないものもあるという。オレオレ詐欺が子どもや孫を装うだけでなく、電話口に警察官が登場するなど、最近は巧妙になってきている。悪徳商法も、今後どのような新しい手口でやってくるかわからない。やはり、ひとりひとりが冷静に対応をし、「何かおかしいな？」と思ったら、早いうちに隣近所の人や友人、そして、消費生活相談窓口に問い合わせることが大切である。何でもそうだが、ひとりで抱え込んでいては解決できるものもできなくなってしまうのだ。

  2006/03/03

• 未来をこの手で決めること

  （２００４．２．１７執筆）バブル景気の頃、私は大学生だった。好景気といわれ、先輩や友達は有名企業の採用通知を次々と手にしてきた。複数の採用通知を受け取った知り合いは、国内ランキング上位の会社をあっさりと捨てていた。多くの会社は何百人という数の新入社員を入れるような、信じられないほどの求人難だったのだ。「こんな好景気はいつまでも続くはずがない。」みんなは心の中でうっすらと感じていたが、あの時代にはほとんど実感できなかった。この国はいつまでも繁栄するように思われた。案の定、バブルが崩壊し、今は平成大不況のど真ん中。あの時代に入社したわれわれの世代が、人件費の面で会社のお荷物になってしまっているそうだ。あんなにちやほやされて入社したのに、今はひとりずつリストラ対象らしい。先日、町役場から『市町村合併に関する住民アンケート』が届いた。「合併問題は町の存続に関わる大きな問題であります。今回のアンケートは行政と議会が合併の是非を判断材料にする重要なものです」などという案内があり、封筒の中には印刷されたばかりの真新しいハガキが入っていた。ハガキの左下には町章が浮き上がっていて、粗末には扱えない雰囲気である。住民投票ではないが、いざ自分の意見というとなかなか記入できない。私は町からの資料ばかりでなく、自分が通信員をやっている新聞の紙面やインターネットなど、けっこう広範囲で合併に関する情報を得ている。しかし・・・未来となるとわからない。今の大不況を、バブル景気の頃には予想できなかったように。実家に帰る用事があったので、このアンケートハガキをカバンに入れ、出かけた。どこかで「えいや！」とひらめいた答えを記入し、投函しようと思ったのである。実家で、親や兄弟に「こういうハガキが町から来たんだよ」と見せると、とても興味深そうだった。実家のある都市は、隣の観光都市との合併の話があった。『合併協議会設置を求める市民の会』というのが設立され、それぞれの都市で署名活動の後、両市の市長に合併協議会設置の請求が提出されたそうだ。そして、実家の都市では可決されたが、観光都市側で否決された。つまり、相手にフラれてしまったのだ。「こんな貧乏な都市は相手にしてもらえないんだ」と親たちはつぶやいていた。似たような状況の市町村はあちこちに存在するだろう。しかし、結局単独のままで良かった、と後々になって思うのかもしれない。知り合いの主婦の人が、このたび学校の受験をし、高倍率の中、合格した。学業を終えて何年も経ってから人知れず勉強に励み、合格を手にしたことは本当にあっぱれだ。私も心からうれしいと思った。人間は「こうなりたい。そうだ、こうしよう」と自分自身の将来をある程度、自分で決めることができる。しかし、自分が乗っかっている町の未来、そして、この国の未来は、当事者であるはずの私たちにはわからないのだ。だから「あなたはこう判断したんだから、あとで大変なことになっても文句は言わないでね！」と言われても、困ってしまう。町民たちは今、大きなギャンブルをしようとしている。私のハガキは・・・けっきょく、そのまま持ち帰ったが、昨日の仕事の帰り、ポストを見つけたので投函してしまった。あの判断が正しかったかどうかは、未来の町民、あるいは市民のみぞ知る。そんな無責任な、といわれても・・・。

  2006/03/02

• 除雪４年め

  （２００４．１．１４執筆）根室沖に台風なみの低気圧が発達しているそうで、降雪が止まらない。除雪しようと外に出ても、まるで粉ふるい器の下にいるように、上から上から雪が降り続く。私はオホーツクに来て４年めである。室蘭の実家は市営アパートの３階、そしてそれほど雪が多い土地ではなかった。学生時代過ごした仙台もそれほどではなく、首都圏にいた時は数年に一度の大雪にびっくりする程度。道産子だが、オホーツクのような雪の量は生まれて初めてだった。アパート、マンション住まいしか知らなかった私は、一軒家のまわりの雪かきももちろん初めて。夫は朝６時過ぎに出勤。となると、除雪作業をするのは、どこを見回しても私しかいないのである。目を離すと３０センチは積もっている雪。玄関前もほうっておくと、新聞配達や郵便、宅配の皆さんが戸口にたどりつくのに苦労してしまう。表通りは既に人の通る道は存在せず、雪をよけて車道を歩いている人ばかり。やっぱり私が作業しなければならない。ご近所には親切な方が多く、「ついでに」という感じで除雪機を私の家の前まで走らせてくださる。しかし・・・自分のことはできるだけ自分でやらなければ。今朝のテレビの占いで、てんびん座の幸運の鍵は「スポーツジムに行くこと」と出ていた。ここにはスポーツセンターはあるがジムはない。でも、除雪に出れば汗をかくから同じでしょ。と気合を入れていざ出発！玄関から出ていきなりつまずいた。長靴は雪にうまった。雪は私の足のつけねほどの高さまで積もっていた。スコップでちょっと雪をすくいあげてみる。シーズン最初あるいは春先に降る雪のように、水分を含んだ重たい雪だ。１月なのに、なぜ台風なみの低気圧なんだ！？とても腹立たしいがとにかくやらなければ。私の雪かき歴はほんの４年ぽっちだが、これまでに学んだ『雪はねのポイント』がある。１．まず、表通りの雪をよける。　　できるだけ通る人たちの邪魔にならないように。２．ライフラインを確保する。　　私が“ライフライン”と言っているのは　　ガスや灯油タンクの前の所。　　とにかく、この季節は燃料命だから。３．自家用車の前。　　何をするにもクルマは必需品。　　用事があって出かける時も　　スムーズに出られるように。４．玄関の前。　　できればいちばん最初にやりたいが、　　どうしても後回しになる。午前中、雪かきを３時間近く続け、足元がヨタヨタしてきた。思いっきり雪を高くはね上げ、まわりには２メートルを超える山々ができた。しかし、さきほど長靴に入り込んだ雪が徐々に解けてきて、足のつま先が冷えて痛くなってきた。うう、ガマンできない。玄関前は全然片付かず、残念ながら退散。ご近所の方々も「今日はもう、だめだわぁ」と言いながら家の中に戻っていったようである。日本全国いろんな暮らしがあるが、雪が多い地方はこの季節、確実に仕事がひとつ増える。それは除雪である。オフィスづとめの人だって、自営の人だって、ご隠居さんだって、毎日の仕事が忙しいのに、こんな重労働を何時間もこなしているんだものなぁ。エライよなぁ。さきほどの除雪から３時間以上過ぎた。そろそろまた外に出てみるか。この荒天が明日まで続くという天気予報、はずれてくれないかね。

  2006/03/01

• クリスマス　イン　シブヤ

  私が上京した年のクリスマスは、それまで経験したことがない、とても賑やかなものだった。青山のスクールに週１回通い始め、夢に向かって一歩前進だったが、都合により仕事の方は失職…。新しい仕事は年が明けてからきちんと探そう、と考え、とりあえず、今できるバイトはないだろうかと求人を見てみると、歳末バイトがすぐに見つかった。それは、渋谷の大型店の販売員だった。時代はバブルのど真ん中。年末のかきいれ時、私の入った店は山ほどのバイトであふれかえっていた。更衣室は別棟のビルの中に設置されたが、そろいのエプロンをつけるだけなのに部屋は人でごった返した。私の担当したゲームコーナーには、私がそれまでお目にかかったことがない様々な種類の品物が、所狭しと並べられていた。忘年会やクリスマスパーティー準備の客が大勢訪れ、皆、カゴをいっぱいにしてレジに行列を作る。商品が売れたあとの棚には空きができ、急いで奥の倉庫から品物を補充していった。すごろく形式のカードゲームや場所を取らない手のひらサイズの電子ゲーム、そして、パーティー変装グッズなど。特に、ビンゴはカード式やルーレット式、大きな電光掲示板式など、種類や大きさに関係なく売れた。いちおう、商品の大ざっぱな説明もすることになっていたが、説明どころではない。ラッピング作業が次から次へとまわってきて、あっというまに終業時刻だった。店内も、シブヤの街も、見るもの１つ１つがどれも新鮮だった。上京１年めの私はそれらを目でしっかりと咀嚼し、心の中に飲み込む作業を続けた。忙しいクリスマス。雪もなく、お金もなく、彼氏もいなかったが、寂しいとは思わなかった。唯一、自分のためのクリスマスになったのは、仕事帰りのコージーコーナーだった。クリスマスイブの夜、ショーケースには売れ残ったケーキが数個あった。どのケーキも千円以下だった。「これにしよう。」私は、直径１５センチほどの梨のコンポートのムースを箱に入れてもらい、ウキウキしながら駅に向かっていった。小さなムースだったけれど、それはショーケースの中で、いちばんきらめいているように見えた。シブヤの宝石たちがキラキラと反射していたのだった。（２００３．１２執筆）

  2004/10/31

• 基本は同じだった♪

  町内の図書館まつりが近づいている。中高生を含めた実行委員たちは、ただいま準備の真っ最中。ことわざ食堂で提供する食事の材料調達や、敷き物に使用することわざいっぱいのランチョンマット、プレゼント盛りだくさんのことわざクイズなど…アイディア満載で、当日は皆さんをお迎えする予定である。そして、今回のゲストの声優さんは、子どもたちの発声練習や親子朗読教室を指導してくださるのだが、私はチラッと、その声優さんがお送りくださった資料のＦＡＸを見せていただいた…。私は驚いた。そこには、アナウンスの基本の発声練習がつづられていたのである。私は高校で放送部に入り、卒業後も本州でアナウンス教室に通っていた。それで『発声練習』をする機会はこれまで何度もあり、今でも自分なりに発声練習することがある。声優さんの資料には、基本的な口の形、「あえいうえおあお」という発声の文、「かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ」といった早口言葉などがいくつもいくつも並べられていて、どんなに著名な声優さんであっても、発声の基本はいつまでも忘れないのだな、と私はしきりに感動したのである。いろいろな声優さんが、さまざまな役を演じる。しかし、基本的な所は、「口を正しく開き、正しく発音する」ということであり、それを土台にして、多くの声優さんたちが活躍しているのであろう。私が子どもだったら必ず参加するのに。。。。と思った発声練習。体験はすでに定員に達しているようだが、見学は自由。発声練習の資料のコピーは、見学者に配布されるそうである。将来は声を使う仕事をやりたい…と考える皆さんに、ぜひとも見学をしてみては、と呼びかけたい。（２００４．１０執筆）

  2004/10/29

• パワフルな５０代になりたい

  私の中高生の頃はフォーク・ニューミュージックの全盛期。ラジオではいつも、アーティストの曲が次々と流れた。そして、ギターブックを見ながらギター練習する人がいたり、自分で作詞作曲してコンテストを目指す人が大勢いた時代だった。中１の冬。美術の時間に「新入生歓迎のポスターを作る」という課題が出たが、その時私は、当時８０万枚を記録した『夢想花』の円広志さんをポスターに描いた。なぜか円さんが両手を広げ、「入学おめでとう」。私の頭の中でも、フォーク・ニューミュージックが絶えず飛んで飛んで回って回っていたのだ。私がいちばん好きだったシンガーＳは、繊細な詩を書く人だった。『ネクラ』の部類に入れられてしまい、私は当時、彼のファンだということを大きな声で言えなかった。しかし、最近、彼が執筆した半自叙伝がドラマ化され、その主役に坂口憲二さんが抜擢されると、私はいきなり勝ち組に登りつめた気分になり、自慢したい気持ちでいっぱいだった。昔から言いたいことはズバズバ言うシンガーＭ。今も変わらず、いよいよ政界入りか？という話がいつもある。そして、硬派だがちょっとスケベェなイメージのシンガーＴは、中国での『昴』の大人気からだろうか、中国の音楽大学の教授に就任となった。最近は懐かしいフォーク・ニューミュージックが流れる機会が多い。若いミュージシャンのカバー曲が増えたし、懐かしの～というＣＤ全集の販売広告もあちこちで見かける。しかも、当時のシンガーたちが再結成して活動を開始したり、新しい分野に才能を際立たせることが増えている。その方々はたいてい、現在５０代。ブレイク当時と変わらず、パワフルなのである。昔、北海道のある民放ラジオ局でなかなか聴取率が上がらず、頭を痛めていたそうだ。もうひとつの民放局にどうしても勝てなかったらしい。「全国からシンガーソングライターを呼び、活動してもらってはどうか？」さっそくラジオ局は、全国のシンガーソングライターに呼びかけた。その結果、日曜の昼にシンガーが自分の曲を発表する公開生番組ができ、シンガー自身がＤＪをする深夜放送がかなり増えた。高校を卒業した私は北海道を離れ、その後実家には年に１、２回しか帰らなくなってしまった。ちょうど１５年経って北海道に戻り、驚いたことは、聴取率に悩んでいたラジオ局が道内一の人気局となっていたことだ。あのフォーク・ニューミュージックの時代のエネルギーをしっかり吸収し、大きく成長していたのだ。番組のいくつかは、当時のシンガーたちがそのままＤＪを続け、地元にしっかり根を下ろしていた。そして、最近入った若いレポーターたちも中継先を飛び回り、イキイキとしている。みんな、あの時代のエネルギーのおかげなのかもしれない。若手のバックには、５０代の先駆者たちがニコニコして見守っているようだ。今の私には、まわりを輝かせるようなものが何もない。しかし、あの時代の方々からしっかりとエネルギーをいただき、パワフルな５０代を目指したい。あと十数年だ。（２００３．１２執筆）

  2004/10/21

• 自我

  私は結婚しても仕事を続けていたので、世間でよく聞く「“奥さん”としか呼ばれない」という経験はなかったが、田舎に移住して初めてそれを味わった時には、やはり、自分が失われたような気持ちだった。呼ぶ方は来たばかりの私のことをよく知らないので、『奥さん』と言っておけば都合が良いのだろう。しかし、かなり日数が経っても『奥さん』には参った。たしかに奥さんだが、バイトもするし、集会にも参加するし、私は『奥さん』だけではない。名字で呼んでくれる人たちはまだ許せた。お葬式もそうだ。町内は『班』で構成され、班内での冠婚葬祭一切は全員で手伝うのが常識。男性は会場設営、ご遺体の運搬、香典の処理。女性はご遺族らの食事など炊事全般。その時、壁に貼り出された手伝い人の名前は、男性はフルネームなのに女性はすべて○○夫人。「わたしは夫人だったんだ。」奥さん以外の呼び名を初めて知った。こんな土地だから、子どもの親は当然、○○ちゃんのお父さん、お母さんだが、私の学習塾に提出された書類は、明らかに母親が書いたのに記入者名は父親。やはり女性はない。しかし、珍しく母親自身の名前を書く女性がいた。子どもの入会申込書から察すると、私より２歳ほど年上だった。母子家庭ではないが、提出書類、すべて女性の名。ここまで堂々と書くのは素晴らしい、と私は尊敬した。「環境を変えようと思っているんです。」個人懇談の時、その女性は、近いうちに大都市へ引越すると伝えてきた。受験が近い子どもたちの教育のことを考え、田舎よりも都会で生活させたいとのことだった。数ヵ月後、申し出どおり、家族は出発した。しばらくして私の元に、塾の転入が無事済んだという御礼のハガキが届いた。差出人の女性の名前がおどっていた。環境を最も変えたかったのは、おそらくその女性自身だったのだろう。（２００３．１１執筆）

  2004/10/14

• 旅立ち

  先日、夫の同僚だった人がこの町から旅立った。国家公務員試験に一発合格し、新しい職を得たのである。４年前、私の夫は北海道の林業会社に就職した。同期入社だったその人は夫よりもひとまわり以上も若く、大学を卒業したばかり。憧れの林業ができることを心から喜んでいた。彼は、本州からＲＶ車を何日も運転し、北海道の大地へやって来たと言った。ＲＶ車には日用品を積み込み、車体の上には大型冷蔵庫を縛りつけ、そして助手席には、のちに結婚する彼女を乗せて。そして、それまで北海道を何度も旅行していたらしく、多くの観光地をよく知っており、既にあちこちに友達がいた。社交的な性格はこの町でも友達を増やし、私たちよりもここの生活を楽しんでいたようだった。しかし、彼の中には他のことがあった。実際に林業の仕事をしているうちに、想像していたのとは何か違う、という気持ち。そして、ある場所の演習林を見に行った時、決断した。「もっと広範囲な視野で、林業を考えたい。」彼は突然「公務員試験を受ける」と言って会社を辞め、実家に帰り、受験予備校に通い始めた。既に結婚し、お子さんが生まれたばかりだというのに。難しい試験、うまくゆくのだろうか。ここの誰もがみな心配した。しかし数か月後、前と変わらぬ笑顔で、朗報をかかえてここに戻ってきたのだった。勤め先が決定し、出発の日、彼の一家はなかなか町から出られなかった。車を走らせると道端で友達に出くわし、１人１人と別れを惜しんでいたからである。新天地で幸あれ。（２００４．１０執筆）

  2004/10/09

• 顔

  「顔が良いとちやほやされる。」小さい頃からそんな場面をテレビで多く見ていたし、学校でもキレイな子はちょっと違った。私は特に美人ではなく、これといって特徴のない顔立ちだった。美しい子に嫉妬をしたことももちろんあったが、そのうちどうとも思わなくなった。人間は中味で勝負、と早くから納得したお利口さんだったのかもしれない。そんな私が、顔のことで嫉妬しかけたことがあった。大学３年から４年にかけて、大学の近くのラジオ局でリポーターのアルバイトをしていた。バイト仲間は１０人いて、月曜から土曜まで交代で出演していた。当然、仲間たちは皆『アナウンサー』に興味があった。バイトの先輩で、放送局に入社した人も何人かいたのだ。私は当時、マスコミとは全然違う会社を考えていたが、自分の“しゃべり手”としての力を知りたいと思い、ある日、仲間数人と某テレビ局のアナウンスセミナーに参加した。『セミナー』といえども、この世界では採用試験の場である。会場には百人を超える美男美女。アナウンサーを目指し、全国の局を回りセミナーを受けている学生が大多数だった。セミナーではたしか、最初に担当者がアナウンサーの心得のようなことを話していた。その時、もともと美しい上に厚めの化粧をし、アイラインを濃く入れていた女性が、自分がこの放送局にどれだけ必要なのかを訴えるように、躍起になって発言していた。私はその異常な熱心さに驚かされた。私はこの日、流通会社の説明会があったので、早退しようとして担当者に挨拶に行った。すると担当者は私の顔を見るなり、ぞんざいに「はい、ありがとうございました」とおじぎをした。あまりにもそっけなかった。「やられた。」帰りのバスの中でふつふつと何かが沸き上がってきた。明らかに顔が基準なのだ。マスコミが顔で選ぶというのはこうなんだ。これは俗に言う“侮辱”というものではないか…。私の中で、怒りとともに苦々しい笑いがこみ上げてきたのだった。翌年、私が他の業種に就職を決めたのはいうまでもない。（２００３．１０執筆）

  2004/09/23

• 今年もスゴイ！　図書館まつり

  毎年趣向をこらした町内の図書館まつり。今年もその準備が少しずつ始まっています。期日は１１月３日（水）の文化の日、朝１０時から。今年は、なななんと、現役の声優さんがいらっしゃるそうです！この声優さんを講師に、午前中は小中高生を対象にした発声練習、午後は親子朗読教室を開催！ オホーツクでこんな企画はめったにありません。高校生の時に放送部に在籍していた私ですが、残念ながら、プロに教わる発声練習は経験できませんでした。当日は私も高校生になって参加したいくらいです。「将来は声を使う仕事に…」と考えている皆さん、夢の実現の一歩になるかもしれませんね。親子朗読教室も、幼児向けの読み聞かせの良い話があふれてきますよ。おうちで楽しく本を読むきっかけになるのではないでしょうか。そして、今年は“言葉”というものにこだわった企画がそろっています。今年のカフェのメニューはことわざ特集！ 『豚に真珠』セット→「豚汁とおにぎり」、『青菜に塩』→「漬物」、『棚からぼた餅』→「ぼた餅」、『茶腹も一時』→「お茶」…となっております。名前を考える時、他の人のダジャレにガクッと崩れながら、みんなで一生懸命作ってみました。さて、実物はどんなものでしょうか？そして、漢字クイズやことわざマメ知識など、いたるところに言葉が舞っている１日。クイズに答えると豪華景品もありますよ。もちろん、古本市もありますので、じっくりと本の探求、そして本の思い出探しもできますね。中学生は今、学校祭の準備中。そして、高校生は期末テストの真っ最中だそうですが、近いうちに彼らも合流。中高生と一緒に楽しく盛り上げてゆきます！詳しくは図書館へ。（２００４．９執筆）

  2004/09/19

• たったひとことだけど・・・

  先週土曜日の『週刊こどもニュース』で、ある学校の子どもたちがインターネットで実験をしていました。インターネットは、自分の意見を自由に書き込める『掲示板』や、自分で入力した文字がすぐに画面に浮き上がり、実際に会話をしているような感覚の『チャット』があります。実験の時は、チャットで仲間どうしがおしゃべりしていました。その最中に、ある子どもが（あらかじめ先生に頼まれていたようですが）「うるっせえんだよ！」という乱暴なことばを入力しました。すると、ほかの子どもからもきたないことばが飛び出し、「そんなこと言うのはやめようよ」という一部の子どもが止めるのも聞かず、画面上では言い合いがエスカレートして、ケンカのようになっていったのです。インターネット上では画面の向こうの人の姿が見えないので、ひどいことばをついつい入力してしまいます。「こんなこと書いたらなんて思うかな？」と、相手のことを考える"思いやり"はやはり大切だと思います。インターネットばかりでなく、これは実際に毎日会うような人たちとの付き合いでも大切です。ことばは、ときには"魔物"になってしまうのです。「あの人って○○だよね！」と、ふざけて言ったひとこと。それに対し、まわりの子もいっしょに笑った→それ以降、あの人は○○だ、というのがおきまりになってしまい→みんなも同じ意見だから、あの人を○○だとからかってもよい雰囲気になり→いつのまにかイジメになっていた・・・・。こんなこと、ありませんか？（２００４．７執筆）

  2004/09/13

• おれたちの伝説を作るぞ

  ♪行儀よくまじめなんて　出来やしなかった夜の校舎　窓ガラス壊してまわった逆らい続け　あがき続けた　早く自由になりたかった・・・。これは尾崎豊（１９６５－１９９２）の『卒業』という歌です。子どもから大人へと成長してゆく時に、大人との衝突から生まれる悩み、苦しみ。中学校を卒業することで、その呪縛（じゅばく）から解き放たれてゆく。ほかにも『１５の夜』など、若者の気持ちを代弁する歌を多く作ったオザキは、たくさんの若者から支持を得ました。しかし、残念ながら２６歳で急逝。彼は伝説となったのです。今年の春、卒業式の少し前にとんでもないことをした東京の中学生１０人がいたそうです。授業時間に放送室に立てこもり、激しく音楽をかけて放送を続け、止めに来た先生たちを殴りつけたとか。これは映画『バトルロワイヤル』に出てくるシーンを真似たものだったようです。「伝説を作りたかった」という１０人。これがカッコいいんだ、と思ったのかな。けっきょく、威力業務妨害や建造物侵入、傷害などの罪となり、みんな逮捕されてしまいました。希望通りの"伝説"にはなったようですが…。伝説を残すなら、犯罪にならない、もっとすばらしいことを考えましょう。ちなみに・・・学校のガラスを壊してまわるのは　♪犯罪になってしまうよ～～（２００４．５執筆）

  2004/09/12

• 精神鑑定とは

  先日の小６生の殺人事件はとても残念なものでしたが、このたび、この事件をおこした女の子が『精神鑑定』を受けることになりそうです。女の子は、弁護士さんに事件のことを聞かれると、「もっと考えて行動すれば良かった」と涙を流すそうです。それから、事件をおこした時の女の子の様子、女の子のホームページで暴力的な内容をたくさん載せていたことなどから、「普通の精神状態では説明できない」らしいのです。人間の体がケガをしたり、病気になったりするのと同じように、人間の心も病気になることがあります。何か危ないことばかり考えたり、人に害を与えてやろうと思ったり、あるいは自分自身で死んでしまう（自殺）ことがあったり・・・。心が病気になると、それによって普通では考えられないような行動に出ることがあるのです。心の病気にかかっているかどうかを詳しく調べるのが『精神鑑定』です。心理テストや面接、脳を調べたりする医学的検査があります。そして、家族を面接することもあるそうです。心の病気も体の病気と同じく、直すために入院をしたり、おくすりを飲んだり、リラックスできる環境で過ごしたりします。そして、「そんな病気が原因で、事件をおこした」という判断をすれば、その人は罪をつぐなわなくてもよい場合があります。「ひどい！　心の病気だったからって、罪を犯したのは同じだ！　死んだ人間は戻ってこないんだ！」と訴える人たちがいます。これまでも心が病気の人の事件が数多くあり、同じように賛成反対の意見が出てきました。今回の事件は、こんなひどい事件をおこすはずがないと思われていた子どもの犯罪です。罪に問えるのかどうかを最終的に決めるのにたくさんの調査が必要なため、とても長い時間がかかるのでしょう。（２００４．６執筆）

  2004/09/11

• 説明せずに申しわけない

  ここから２時間くらいかけて行く場所といえば、旭川あたりでしょうか。東京の羽田空港から２時間ほどで、北朝鮮の平壌（ピョンヤン）空港に行けるなんて、先日初めて知りました。近いのに遠い国、北朝鮮は日帰りができる国だったのですね。先週の土曜日、小泉総理大臣が北朝鮮を訪問しました。"話し合い"に行ったはずなのに、国のトップの人との会談はほんの１時間半。北朝鮮に拉致（らち）されたらしい人たちの情報も出ず、「再調査してね」というお話で終わり。それなのに、お米や経済援助はするなんて。家族会や日本国内のいろいろな人たちから批判が出ていますね。２年前に帰国した人たちのお子さんが（残念ながら全員ではありませんが）日本に帰国できたのは良かったと思います。離れ離れになっていた両親と会うことができました。しかし、お子さんたちは「仲が良かった友達に、何も説明もせずに自分がいなくなってしまって、申しわけない」と思っているそうです。どんな国の中にも、仲良しの友達どうしはいます。大事な友達に事情を話したかった、と心残りなのです。こんなに近い国なのだから、飛行機ですぐに行けたり、電話やメールが気軽にできれば良いのにと思います。しかし、国と国との間のいろいろな問題があって、せっかくのつながりが断ち切られてしまうのです。できるだけ早く、あの国には心を開いてほしいです。知りたいことがたくさんあります。そして、あの国の中にも「他の国ともっと仲良くしたい」と願う人々がいると思うのです。（２００４．５執筆）

  2004/09/07

• 図書館の風景

  横浜に住んでいた頃、日曜日に大きな図書館に出かけた。駅から出て横断歩道を渡ろうとした時、まわりは汚れた作業着姿の男性ばかりだった。なかには酔った人がいる。何かをつぶやいている人もいた。あきらかに、日雇いで働いている人々だろうと思われた。図書館の近くなのに。私はこの集団に異様な雰囲気を感じた。私は集団と共にしばらく歩いた。目的地は同じだろうか。やがて、彼らは途中のビルの中に吸い込まれていった。そこにあったのは馬券の券売所だった。そして、少し離れた所に図書館の荘厳な建物があり、カラーン、コローンという、視覚障害者向けの信号音を聞きながら、私は幅広い玄関に入っていった。広い図書館には学生らしい姿もあったが、ここでも先ほどの集団のような人が多くいた。視聴コーナーで居眠りする、よれよれの服装の人。しかし私が驚いたのは、手にする本を真剣なまなざしで読む姿を数多く見かけたことだ。私は、偏見を持っていた自分が恥ずかしくなった。人の暮らしはそれぞれだが、それぞれ、自分に真剣に向き合いたいのだ。（２００４．４執筆）

  2004/09/04

• 週末の停電（ボツ原稿放出キャンペーン）

  当地は停電が多い。急にバチッと音がしたと思ったら、家中の電化製品の電気が切れている。停電のあいだに中の設定が消えたらイヤだな、と思っていると、２、３分して電気がつき、ホッとする。聞いた話によると、停電の原因の多くは落雷、あるいは隣の村から引いている送電線に木が倒れかかるというものらしい。こういった山間部に住んでいると仕方ないのかもしれないが、たびたび、それも長時間だとしたら、日常生活に大きな影響が出てしまうだろう。９月３日の夕方、私は車を運転して郵便局に向かっていたが、中心部の交差点にさしかかった時、急にどうしていいかわからず、車を止めた。信号機がどの色も点灯していなかった。それなのに、あまりスピードを落とさずに目の前を通り過ぎる車があり、怖くなった。横断歩道の前には、信号待ちの女性が２人、おしゃべりをしていた。歩行者側の信号もついてないが、それに気づいてない様子。私はあわてて車の窓を開け、「信号、ついてないですよね！」と、声をかけた。女性たちは驚いたが、すぐに、車の方や信号をチラチラ見ながら横断歩道を渡っていった。気がつけば信号ばかりではなく、建物という建物から電気が消えていた。外に出て、様子を気にしている人たちも多かった。役場の庁舎も、やはりついていない。いくつかの窓で、外を見ている職員さんの姿があった。郵便局の表の自動ドアは開け放たれ、中はとても薄暗い。まるで休日のようだ。しかし、普段どおり大勢の局員さんが動いていて、事務の作業や郵便物や荷物の仕分けに追われていた。局員さんの中には、デスクに火をついた大きなロウソクを立てて仕事を続ける人もいた。５時を過ぎ、外は徐々に暗くなる。停電から何十分も経っているのに電気は復旧しそうにない。手元が暗くなって作業しづらくなり、他の人からキャンプ用のランプを借りて、その灯りで荷物チェックをする局員さん。郵便局を出ると、まちは異様な静けさだった。とくに、電器屋さんはとても困った様子で辺りを見回していた。店のショーウィンドウに並んでいる商品からはすべて明かりが消え、スピーカーからの音楽も止まっている。これから週末を迎える、というウキウキした雰囲気のラジオも流せない。ちょっと気の毒だった。その後、私はスーパーに立ち寄った。広い店内は闇の世界。おそるおそる入っていくと、中には何人かお客さんがいた。私のあとから、「いいかい？」と店員さんにことわって入ってくるお客さんもいた。店内の奥の方の冷凍食品・アイスクリームのボックスは、全体がふたで覆われていた。商品が解けては大変なのだ。冷凍ボックスをずっと見ていたら、「アイス、まだ解けてないから、どう？」と店員さんに声をかけられ、ちょっと恥ずかしかった。レジでは懐中電灯の灯りの下で、電卓を計算。かたわらにはメモ用紙。そういえば、レジも電気だった。店員さんはおつりを間違えないように数えるのに必死だった。家に戻っても相変わらず電気がこない。昔、ここで真冬に十時間以上停電があったそうだ。この様子ではしばらく復旧しないかもしれない。ああ、金曜日なのにテレビも観られない。この周辺はラジオの電波は入りにくく、ＮＨＫ－ＦＭ、あるいはロシアや韓国のラジオくらいしか聴けない。ＣＤを聴くにもＣＤプレーヤーも電気。パソコンも電気。今では、家庭の電話も電気が使われている。電話線を差し替えたら使えそうだがちょっと面倒だ。携帯電話はバッテリーが減りつつあり、いずれは外部との連絡が取れなくなってしまう。これが“陸の孤島”なのだろうか。炊飯器でご飯も炊けないので、夕飯は具のないラーメンとなった。６時を過ぎ、家の中も闇だ。懐中電灯はひとつしかない。ガスレンジの炎は明るかったが、炎を頼りにあれこれ調理するのはとても危なっかしい。外は真っ暗になった。しかし、ときどきパーッと明るくなった。走行中の車のライトがとてもまぶしい。しかし、車が通り過ぎると急に室内はよけいに暗くなり、寂しさがつのるのだった。７時過ぎ。「こちらは北海道電力です～」と放送をかけた車が巡回し始めた。ただいま停電中、しばらくお待ちください、と言う。えっ、もうすぐ復旧するの？　暗闇にもだいぶ慣れ、もうすっかりあきらめていた頃だった。だが、やっぱり電気はつきそうもない。夕飯がすみ、食器の片付けもする気になれず、本や雑誌も読めず、私はラジオを聴きながら次第にうとうとしていった。そして…ガックンというような音がして、目が覚めた。室内の電化製品にいっせいに命が吹き込まれた瞬間だった。午後９時頃、停電になって約５時間。部屋が急に明るくなったのだった。翌日は何事もなかったように朝から電気がきて、みんな、普段どおりの生活だった。ただ、前日の仕事が終了できなかった人たちは、会社へ休日出勤したようだが…。電化製品に囲まれている日常生活で、電気のない状態は考えられない。知り合いは昔、３日間の停電を経験したそうだが、３日間も停電になっては、もう私は生きていられない。どなたか、自宅でも簡単にできる自家発電の方法、ご存じないですか…？（２００４．９執筆）

  2004/09/03

• 悲しさの海をさまよっていた

  ある夏の日。お盆の準備で、母と娘はちょっと買いものに出かけました。准看護師として学びながら働いている娘さん。お母さんとは仲良し親子でした。その時、見知らぬ男たちが急に目の前に現れ、２人は連れ去られました。日が暮れようとしている時間。歩いている人もおらず、２人の叫び声は誰にも届きませんでした。そして、２４年の歳月が流れ、当時娘さんだった曽我ひとみさんは北朝鮮で暮らしていることがわかり、日本に帰国できました。お母さんはゆくえがわかりませんでした。曽我さんは拉致されて北朝鮮に連れて行かれ、そこで大変な経験をしていました。しかし、そこでアメリカ人と出会って結婚し、娘さんを２人育て、曽我さんにとって大事な大事な家庭を築いていたのです。曽我さんの願いはただ、だんなさんとむすめさんと４人で、日本で幸せに暮らしたいということです。やはり、北朝鮮とは違い、日本は自由な発言、自由な行動が許されるすばらしい国なのです。ところが、だんなさんはもと米軍の脱走兵でいくつかの罪があり、日本に来た場合、アメリカの役人が捕まえに来てしまうそうです。そして、娘さんたちは日本に行きたいとは言わず、「お母さん、早く北朝鮮に戻ってきて！」と言うばかりなのです。日本で毎日、平凡な暮らしをすることは、とても貴重なことだと思います。曽我さんの手記を読み、同じ日本人なのにこんなに生き方が違っていいのだろうか、と思いました。早く、曽我さんの願いがかないますように。（２００４．６執筆）

  2004/08/16

• キンボールは楽しいスポーツだ！（ボツ原稿放出キャンペーン）

  　町内のスポーツセンターは今年３月に整備され、新しいレクリエーションスポーツ道具（イベント道具）が１１種類入った。すでに中学校や高校には貸し出しが始まっているが、もっと町民に道具を知ってもらいたいということで、３０日の土曜日、『レクリエーションスポーツクラブ』という説明会が行われた。体育指導員らの熱い指導のもと、訪れた町民たちは初めて体験する道具で大いに汗を流した。　新しい１１種類の道具は、直径９メートルのシートを使う『パラシュット』や４チームが同時に競技ができる『４コートネット』など、巨大なものが多い。そういう中でも利用しやすくおすすめなのは、直径１メートルほどの『キンボール』や、テレビでおなじみの９つの枠をボールで開けてゆく『ヒットだ！ターゲット』、吹き矢ゲームの一種の『フリーブロー』だと、教育委員会の方が紹介してくださった。そして、目の前にあったのは、たった今ふとん乾燥機でふくらませたピンク色のキンボール。「さっそくやってみましょう」と体育指導員の皆さんがボールを動かし始めた。　キンボールはカナダで生まれた新しいボールゲームで、国際連盟もある。４人で１チーム。１試合に３チームが同じコートに入って戦う。各チームはそれぞれ、ピンク、ブラック、グレーのゼッケンをつけるのだが、ボールを打ち上げるときには３人が下からボールを支え、あとの１人が打つ。その時、「オムニキン、○○」と色の名前を叫び、呼ばれた色のチームがボールを拾いに行く。ボールが拾えずに床に落としてしまうとそのチームはマイナスで、他の２チームが得点する。「オムニキン」という用語は、「オムニ」がすべて、「キン」が運動感覚。子どもから大人まで楽しめるスポーツ、という意味の言葉らしい。　説明会の最初の時はまだそれほど人数が集まっていなかったため、なぜか、新聞通信員の私が体育指導員の皆さんに混じってキンボールをするはめになった。ボールには空気が入っているのでそれほど重くないのだが、巨大なボールを下から中腰で支える体勢はやはり大変。そして、他チームが打ち上げたボールはどこへ飛んでゆくかわからず、「オムニキン、ピンク！」と自分のチームの色が言われると走って拾いにゆかなければならない。　体育館の半分の広さを使っているので、ボールを落とさないように追いかけているうちに、私はひざがガクガク、ひどい息切れがしてきた。落ちないようにボールを支えようとしたら、手の上で弾み、他の所へ飛んでいってしまう。いざ、打ち上げる番が回ってくると、打ち上げるのではなく、床に叩きつけてしまった。「・・・交代したいんですけど」と言おうとしても人数がちょうどなので抜けるわけにもいかず、同じチームの皆さんにひどく迷惑をかけたようだった。　少し休憩してから再び、というところで、隣の球場で野球観戦をしていた女の子たちなど、小中学生が集まってきた。私はめでたくチームから抜け、キンボールのゲームは本格的になった。　打ち上げ方もさまざま。いろいろと作戦を練り、人がいない方向へめがけて打ち上げたり、わざと数メートルしか打ち上げずに他チームを焦らせたり。小中学生はやはり運動神経がすばらしく、走っていってボールを支える動作をいち早く覚え、短時間でとても上手になった。　年配の方々はちょっと大変かもしれないが、キンボールは幅広い年齢層が一緒になってできる。「町民キンボール大会を開いてもいいんじゃないか？」という意見も出た。　キンボールはもちろん、こういった新しい道具はスポーツセンターで誰でも利用ができ、利用のしかたを教えてほしい場合は、教育委員会に連絡すれば体育指導員が来てくださるとのこと。この秋はひと味違った“スポーツの秋”になりそうだ。（２００３．８執筆）

  2004/08/13

• 雪が青いひみつ（ボツ原稿放出キャンペーン）

  　文章に関しては私はまだまだ修行中ですが、最近、とあるライター集団に入れていただきました。さすがに北のはずれの参加者は珍しいらしく、その関連でお友達になった方々から、冬のこと、気温のこと、流氷のことなど聞かれることがあります。　東京在住の方のダンナさんが北海道に出張でおいでになり、ちょうど５日に開幕したばかりのさっぽろ雪まつりをご覧になって、「雪が青い」とびっくりされたそうです。すぐさま彼女から「なぜ雪は青いの？」と質問がきました。　そういえば私も、青い雪を何度か見たことがあります。雪のかたまりがじわーっと青くなっていました。しかし、いつもそうではありません。どんな時に青かったんだっけ…。天気の良い時に太陽の光を反射していたの？　自分で納得できる答えが見つからなかったので、とりあえず、今日は自分で答えを探しに行ってみようと家を出ました。　出かけた先は…町内のスキー場でした。一面雪。どんな場合に雪が青くなっているか一目瞭然だろう、という単純な発想からでした。　曇天でしたが雪はほとんど降っていません。ゲレンデはとても穏やかでしたが、まったく青い部分が見つかりませんでした。私は困りました。　平日の金曜日。しかし、さすがにシーズンらしく、スキー愛好家の大人やスキー授業中の生徒たちなど、ざっと５０人近くいたようです。そして、下の方でソリすべりに興じている保育所の子どもたちが歓声を上げていました。「子どもたちなら、何か知っているかもしれない。」とっさに私は思いました。しかし、みんな遊ぶのに夢中になり、ソリの無い子は自分でゴロゴロ転がったりしている状況です。とても質問できるような雰囲気ではありませんでした。　　何も見つけられず、私は家路につきました。途中、道路ぶちに降り積もっている雪がとても気になり、われながら運転が危なっかしくてしかたありませんでした。　　帰ってからインターネットで調べてみると、いくつか“青い雪”に関する情報が出てきました。水分を多く含んだ雪は、青い光をより多く反射し、青く光る。雪の中には青く感じる成分が微妙に入っているため、雪の降ったあとのよく晴れた日に日陰を見ると、青く色づく姿がわかる、など。特にわかりやすく書かれていたのは、『愛媛県総合科学博物館』の「学芸員のちょっといい話」でした。北海道の人間が、四国の方から“青い雪”について教わってしまいました。とほほ。　しかし、さっぽろ雪まつりの雪像にはヤンキースの松井さんもあると聞きます。青白い松井さんの顔を想像するたび、私は笑いが止まりません。（２００４．２執筆）

  2004/08/12

• ここにも来るか？韓流ブーム（ボツ原稿放出キャンペーン）

  　私の東京の友人が、ペ・ヨンジュンこと、ヨン様に夢中だ。ヨン様出演のドラマや映画を観たり、ヨン様の記事を集めたり、写真展に出かけたり。今度、ハングル語を習うかもしれないという。　ワイドショーや週刊誌、コマーシャルも、この頃は“ヨン様”だらけ。私は、あんなに歯のキレイな人が世の中にいるなんて信じられない、と思い、このブームを少し遠くから眺めていたが、いつのまにか私の夫が、ヨン様…いや、韓国ドラマや韓国映画ばかり観るようになっていた。　夫は、ＮＨＫの冬ソナはもちろん、そのほかの韓国ドラマなど。ビデオレンタルは韓国映画、そしてアジア映画も増えた。読書は冬ソナの小説やシナリオ本、イ・ヒョンボンの『美しい日々』の小説など、日本語訳だが韓国ものばかりだ。ついでに日曜朝の教育テレビ『ハングル語講座』。ドラマや映画のセリフを取り上げてくれるのだ。　韓国で日本文化の受け入れが徐々に進み、逆に、韓国の文化も日本に猛スピードで入り込んでいる。韓国のドラマや映画は“韓流”といわれ、作品内容はなかなかだし、俳優さんたちはステキな人が多い。ファンが激増しているようだ。　私は昨年、地元でロシア料理の講習会や民族舞踊がおこなわれたときに感じたのが、「なぜ私たちは、隣国の人たちについてこんなに無知なのだろう」ということだった。このオホーツク地区は欧米人よりもロシア人との関わりの方が大きいのに、私を含め、ロシアの人たちのことをほとんど知らないように思えた。“韓流”ブームで、韓国をもっと知りたいという日本人が増えたが、それまでは「隣国だけど知らない」のが当たり前だった。残念ながら、これまでの歴史的背景が難しくしていた部分も大きいが。　先日、公開されたばかりの映画『ブラザーフッド』（カン・ジェギュ監督）を、車で数時間かけて観に行った。テレビで“韓流は『三角関係』『交通事故』『記憶喪失』が特徴だ”と言っていたことがあった。まさしくその通り、という作品もいくつかあるのだが（単純に感動させてくれる作品）、最も新しい韓国映画はどうなのだろう、と思った。『ブラザーフッド』は、幸せに暮らしていたはずの兄弟が朝鮮戦争によって引き裂かれてしまう。その兄弟愛と葛藤を、ものの見事に描いていた。　朝鮮戦争が始まったのは昭和２５年。まさに、日本が敗戦から立ち上がり、明るい未来が少しずつ見えてきた頃。そして、日本にとって朝鮮戦争は“軍需景気”という幸運の訪れだった。この時、朝鮮半島では、同じ民族どうしが悲惨な戦いを繰り広げていたなどとは考えてもしなかっただろう。隣国のことなのに、朝鮮戦争について知らなさすぎた自分も恥ずかしい気持ちだ。　ただいま公開中なので、あらすじについて詳しくここでは語らない。この映画でいちばんビックリしたのは、最新のコンピュータ・グラフィックス（ＣＧ）やセット、２，０００人ものエキストラを使い、戦闘シーンをよりリアルに表現してしまったことである。目を覆いたくなるような悲惨な映像を、これでもかこれでもかと見せつけてくる。私は「もう見たくない！」と何度も思ってしまった。怖くなって、映画館を後にした観客もいたようだ。　心が通じ合っていた兄弟が、戦場でそのような場面をいくつも体験し、兄の方が徐々に狂気じみてくる。弟のためを思い、兄が次々とやってきたことが、いつのまにか、戦友を死なせ、かつての仕事仲間まで殺してしまう。そして、悲惨な状況での数々のすれ違いで、ついに、兄弟が北と南に分かれて争うことになってしまった。　映像があまりにも現実味を帯びているので、登場人物それぞれの感情や心の溝がよりムキ出しにされたようだった。おそらく、実際の戦争で、ひとりひとりの心に深い傷を残したのだろう。朝鮮半島の問題は今も残るが、今後の行く末をしっかりと隣国の人間として見守ってゆくべきと思った。　毎日、ニュースで伝えられる中東などでの紛争。あの中でも似たようなことが日々繰り返されているのであれば、どうでもいいから争いを早く止めてほしい、と願うしかなくなるだろう。　映画館から遠いのだが、できれば『ブラザーフッド』をより多くの人々に観てほしい。遠紋地区で上映会が開かれるのならば、ぜひとも実現してほしい。そして、武器を持つことの愚かさを、多くの人たちに感じてほしいと思う。　映画のパンフレットを見ていて思ったのだが…、出演俳優さんの作品で、これまで日本で未公開のものがまだまだ多い。こんなに素晴らしい俳優さんばかりなのに。　どなたか、オホーツクに“韓流”専門の映画館、お作りになりませんか？（２００４．７執筆）

  2004/08/11

• ボツ原稿放出キャンペーン

  Ｍｙ師匠が『リサイクル・セックス』という本を出版されるから・・・というわけではございませんが、私がこれまで書いた文章で“ボツ”に輝いたものを加筆修正し、楽天で公開してゆこうと思いました。これもいわゆる“リサイクル”ですね？私はある新聞社の通信員というのをさせていただいて、１年あまりになります。通信員は、町の話題を写真に撮ったり文章にして新聞社に送ったり、または、開催予定の催しの案内チラシを新聞社にＦＡＸ送信したりする役割です。私はこれまで、文章にしたものを新聞に載せていただいたことが何度かあります。それから、『投稿』としてエッセイのように書いた文章も何度か載りました。しかし、『投稿』に関しては、けっこう長々と文を書いてしまうため、紙面の都合あるいは内容的に「あちゃー！」というものはボツになっております。ボツ原稿って勉強になるんだよね？　あとから読んでみると、自分の書き方の悪い部分がいろいろと見えてきて・・・。それで、これまでの自分を振り返るためにも、ボツ原稿を放出してみます。これまでも、楽天ですごく過去の日付で日記を書いたりして、私は皆さんを混乱させておりました。今後も、どんな日付で出てくるかわかりません。乞うご期待。ひょっとすると、新聞投稿以外にもボツの掘り出しがあるかもわかりません・・・・。

  2004/08/01

• 人と人とのつながりってすごい！

  この町で美しい日本の名曲や楽しいアフリカの歌が聞けるなんて、思ってもみませんでした。きのう行われた『夕焼けミニコンサート』はとても美しい歌声とみんなとの合唱を楽しむことができました。外は雨降りでしたが、参加した皆さんはとてもあったかな気持ちになれましたね。このコンサートの案内を見た時、「なぜ？」と思いました。それは、東京からわざわざ、学校の先生方、それも三多摩青年合唱団という団体に所属している方々がいらっしゃるからです。でも、コンサートに行って、なぞが解けました。町の小６生が『オホーツクの詩』の作詞をし、すばらしい歌ができあがった→ここの出身で、現在は東京にお住まいの方が、お知り合いにそのＣＤをお渡しする→合唱団に所属している方々が歌に感動してくださり、「ぜひ、歌で交流したい！」→コンサートが決まり、わざわざここまで足を運んでくださった・・・というわけなのですね。『オホーツクの詩』を宇崎竜童さんが作曲してくださったこともかなりびっくりでしたが・・・・人と人とのつながりでこのように感動が伝わり、ステキなコンサートが実現したのですね。それから、合唱団の方のご親せきが沖縄にいらっしゃるので、もしかすると沖縄でも『オホーツクの詩』を歌ってもらえるかも？？？　なんてワクワクしてしまいます。いっしょにおいでになられたピアノ伴奏の女性は、青年海外協力隊でアフリカのジンバブエで音楽の先生をやっていらしたとか。外国人どうしは最初からことばが通じないかもしれないけれど、音楽で世界中の人々が楽しく交流できるのはいいなぁと思いました。今回のコンサートのような交流、これからもたくさんあったらいいですね。（２００４．５執筆）

  2004/07/30

• きっと帰る

  　高校時代、「蒸発したい」と思うことがたびたびあった。　家に帰るといつもいる老いた父。ケガをしてからずっと仕事を休んでいる。私が気になるのは、今日は飲んでいるかどうか。飲んでいればうんざりだった。　学校の勉強にもだんだんついてゆけなくなった。猛勉強し、出身中学でナンバー３くらいの成績で入学した高校。教科が多くなり、教科書も厚くなった。いたずらとしか思えないような汚い文字を書く教諭たち。雑談は聞けても、授業内容がさっぱりわからない。　気に入ったクラスメートと友達になろうとしたが、彼女は他の子と仲良くなってしまい、チャンスを逃した。私が行動をともにするようになった子と雑談してもつまらない。受験に夢中になりすぎたせいか、面白い話ができない。　中学でも、それほど仲が良かった友人はいなかった。勉強と生徒会活動に一生懸命のうさんくさい奴だと思われていたのだ。　授業が終わっても家にまっすぐ帰りたくない。私はずっとずっと歩き続けた。どこに行っても、自分自身が浮いた感じだった。この世に自分なんかいてもいなくても同じだ。　それから約２０年後。テレビは、私が歩き回った場所をあちこち映し出していた。　同じ高校の女子生徒が行方不明になったという。公立高校の入試日、在校生は休校となる。彼女は高校近くのショッピングセンターで買い物をし、近くのバス停からバスに乗り、アルバイト先のパン屋の本店に向かった。そして、地元では有名な繁華街でバスを降りたあと、パン屋には行かず、その後の足取りがつかめていないという。「すべてに飽き飽きして、蒸発してしまったのかな」　この子は、私が結局実行できなかったことをやらかしてしまったのか、と一瞬思った。　しかし、彼女には失踪する理由が見つからなかった。高校生活や家庭で問題があった感じではない。写真ではとても美人だが、お高くとまっておらず、人付き合いは良かった。　ストーカーの被害に遭っていたという話はあったようだが、真相ははっきりしない。　そして、彼女にはたくさんの友人がいた。友人たちは『Ａちゃんはこんな人です』という、彼女の特徴をたくさん書いたポスターやチラシを必死で何枚も作り、街中で配り歩いていた。私が帰省した時も、手製のポスターがバス停の前で揺れていた。　うらやましい、と思った。私が蒸発していたら、こんなに思われただろうか。むしろ、自分の人間関係の乏しさを痛感し、どこかで野垂れ死にしたかもしれない。　失踪から丸３年。彼女は高校２年に在籍のままだ。同級生はすでに卒業してしまった。　それでも、忘れられてはいない。新たにチラシが作られ、バス停前の看板は新調された。看板は傷みにくく強度の高い特殊なビニールだ。彼女の大きな顔写真が２枚入っている。　おおぜいの人々が、その笑顔の写真を見るたび思うのだろう。きっと帰る、と。　（２００４．３執筆）

  2004/07/19

• テキリーズィー！

  「ひとり暮らしの女性のみなさん、本当に気いつけてくださいね」　インターネットラジオで、浜村淳さんが心配している。また、女性が襲われる事件があったのだ。　私は独身のひとり暮らしが長かったが、今考えればよくもまあ、ひとりで大都会の安っぽいアパートに暮らしていたものだと思う。仕事の帰りに寄り道して遅く帰ったり、お菓子や酎ハイを買いに深夜にコンビニに出かけることもしばしばだった。　何度か怖い思いはした。しかしそれは、新宿駅で不思議な男に追いかけられたり、田園都市線の車内で男が股間を突きつけようとしたり、自宅から離れた、混雑する場所ばかりだった。　ただ一度だけ、アパートの近くでこんなことがあった。　ある夜、駅から歩いて帰って来た時、ひとりの中東系の男が、「お付き合いしてくれませんか？」と声をかけてきたのだ。驚いたが、とても軟弱そうな雰囲気だったので、私は、「テキリーズィー！」と大声で叫び、アパートに向かっていちもくさんに走った。男はその声にビックリして逃げたようだった。　テキリーズィー＝永久にサヨナラ、という意味でもあるらしい。誰に習ったんだっけ。（２００４．７執筆）

  2004/07/18

• 私の通院先

  『お知らせ　今日、冠を装着しました。正しいブラッシングと食生活を～。』　今も手元に残る注意書き。平成１１年春に受け取ったものだ。　私は奥歯数本でひどい虫歯になり、歯茎すれすれまですり減った状態だった。しかし、偶然タウンページで見つけたこの歯科医院では、治療前には必ずカウンセラーと相談し、毎回の治療も先生とじっくり話し合いながらだった。　治療には時間がかかった。奥歯は銀色のかぶせ物にすっかり覆われ、自分の歯が残っているのかどうかわからないが、“話し合い”の治療には満足できた。　６か月ごとの定期検診にはきちんと行った。しかし、平成１２年、オホーツクに引っ越し、通えなくなった。東京・中目黒の医院はあまりにも遠すぎたのだ。　最後のカウンセリングで、「環境が変わると、歯の方にも影響が出てくるから、友達の家を訪ねた時でも検診にはできるだけ来てください」と言われたが、やはりムリだった。忙しかったりして、地元の歯科医院にも行ったことがない。「そのままほおっておくと、大変なことになりますよ。」　たけちゃんがテレビ番組で脅かす。やっぱり行った方がいいよなあ。（２００４．６執筆）

  2004/07/04

• モモンガるる

  　６月のある日、夫が山仕事から帰ってきた時、手に鳥かごを持っていた。見ると、かごの中のえさ箱に、うずくまっていた灰色のものがいた。それはモモンガだった。　この日、山で伐採作業中、モモンガが住んでいた所があったらしい。作業の音で親が逃げてしまい、子どもが１匹取り残されたようだった。　当時、知らない土地に移ったばかりで沈んでいた私を心配したのだろう。会社の人が「連れていったら」とうながしてくれたという。　やがて、室内でモモンガは目を覚ました。直径１センチほどありそうな黒々とした目。そして、外の異変に気づき、かごの中で飛び回って暴れ始めた。緊張が高まり、かごの外に向かってオシッコを飛ばす。その姿を見て、私は辛くなった。「ねえ、あした山に返してきてよ。ダメだよ、こんな野生のもの」と、夫に訴えた。しかし、夫も、あとから見に来た会社の同僚の人も、親が逃げてしまったんだから自分では食べてゆくことができない、ムリだ、と言うばかりだった。　そのうち、やっぱり飼えないと思ったら山に返す、という約束のまま、月日が過ぎて行った。モモンガは次第にここでの生活に慣れてきたようだった。人の指からヒマワリの種を受け取ってパリパリ食べる姿は、とても可愛らしかった。　モモンガはいつのまにか“るる”という名まえになった。私は旭川西武で高さ１メートルほどの鳥かごを見つけた。その中にるるを放すと、喜んで飛びまわった。それから、籐で編んだ丸いねぐらがホームセンターにあったので、るるの好きな白綿をたくさんつめ、かごの中に入れた。夜行性のるるはそこで昼間寝るようになった。　ペット専門誌を見ていると、その中にるると同じ種類のモモンガが『ペット自慢コーナー』で写真が掲載されていた。写真集もあった。野生の動物ではあるが、飼っている人が多いようだし、山に行くとあちこちで見られるのだろう。人間が野生の生きものを台無しにしている、という罪悪感は、私の中から少しずつ薄れていった。　しかし、あれから４年。るるは元気に過ごしている。「そのうち手乗りになる」という話だったが、警戒心はそのままで、るるはえさと水を要求する以外は自分から人間にすり寄ってこない。　深夜、玄関の横の部屋で、るるの姿が闇の中にぼうっと浮かび上がる。止まり木の上にちょこんと座り、黙っている。昔の、山の記憶をたどっているのだろうか。　私を含めた人間が、るるの山の生活を奪った。それはまぎれもない事実なのだ。　これからどうしたい？　暗い中でひとみを開けているるるに、私は聞いた。（２００４．５執筆）

  2004/05/30

• 鹿肉って、どうする？

  先日、ある場所で偶然、こんな会話を耳にしました。ひとりは、調理関係のお仕事の女性。もうひとりは、鹿などを駆除するハンターさんのようでした。「ねえねえ、鹿肉ってどのように調理します？　かたまりでもらったのが今、冷蔵庫にあるんだけど。」「ボクだったらね、ちょっとお湯でゆでて、あくを抜いて、それをお湯からあげたら、市販の焼肉のたれで漬け込んで、冷蔵庫にしばらくおくかな。」さすがハンターさん。鹿に関わっている方はいろいろとご存じのようでした。鹿肉はにおいが強いものですが、あくを何度も取ったり、香辛料などでうまく味付けすると、美味しく食べられるのだそうです。北海道の人は、素材をそのままドドーンと大きなかたまりのまま調理し、「においが強くて食べられない」と思うとすぐに苦手意識を持ちますが、その点、道外の人たちはさまざまな香辛料をうまく使うので、そういった臭みのある肉でもうまく調理するのだそうです。それから、こういった肉は、厚く小さく切るよりも、うすく大きく切った方が食べやすいのだとか。過去、エゾシカは絶滅の危機にあった時代がありましたが、今は動物愛護の面から大切にしているので、いつのまにか激増してしまい、農作物などに被害が出たり、道路に飛び出してくるシカで交通事故が起こったりしています。人間とエゾシカ。うまく付き合いたいものですね。北海道内のレストランで、鹿肉料理を出すところがけっこう増えているのですよ。いかがですか？（２００４．５執筆）

  2004/05/29

• 子どもたちの目が死んでいる

  先日、室蘭で『室蘭港立市民大学』が開校となり、その記念講演として、あの『ニュース２３』の筑紫哲也さんがいらっしゃいました。筑紫さんは、各地でおこなっている市民大学活動の話や、月～金のニュース番組の体験など、２時間以上もお話しになり、とても興味深く聞くことができましたが、ちょっと笑えない話もありました。海外で仕事などで暮らし、日本に戻ってきた日本人はみな、「今の日本ほど、子どもたちの目が死んでいる国はほかにない」と感じるそうです。他の国は、どんなに貧しくても子どもたちは希望いっぱいのキラキラした目をしているのです。筑紫さんは、なぜ日本の子どもの目が・・・と考え、ここ数年のニュースで扱った内容をちょっと振り返ったそうです。そうすると、あるシーンがとても多いことに気づいたとか。それは、数人の幹部社員たちが横に並び、いっせいに頭を下げる、陳謝（ちんしゃ）の場面だったのです。良い学校、良い会社、そして出世をして偉くなっても、ああやって頭を下げるのなら、努力なんかしなくていいんだ、と子どもは感じてしまうのです。大人も今の子どもたちに対し、夢を持たせてあげるのが難しいようです。大人たちは不景気社会にあえいでいます。それでも、夢や希望は大事ですよね。子どもたちの目は輝いていてほしいですよね。（２００４．４執筆）

  2004/05/28

• ひとり

  一年保育で幼稚園に入園したばかりだった私は、５月になり、急に幼稚園を休むことになった。出席日に可愛らしい判を押してもらっていた手帳は、途中でとぎれてしまった。とにかく体が弱く、ご飯をあまり食べようとしない。病院通いもさんざんしていた親泣かせな子どもだった。ある日、風邪か何かで診てもらった時に小児結核が見つかった。なんらかの原因で結核菌を吸い込むと、通常、人間の体内では結核菌を閉じ込めて眠らせてしまうが、抵抗力が弱い子どもは菌が活発に増殖してしまうらしい。子どもは進行が早く、場合によると、全身に菌が広まって髄膜炎を引き起こすこともある。「結核菌は叩いて叩いて殺してやりますよ。」発見は早かった。そこの小児科医がとても心強かったという。私は母に連れられ、毎週火曜日と木曜日に病院に行き、おしりの左右交互に注射をした。そして、朝昼晩に飲むことになった薬はけっこう多く、こな薬はその頃出始めた『オブラート』という紙状のゼリーに包み、いちにのさんで飲んだ。病気を治すのだ。いつのまにか私は、家族の強い意志が叩き込まれていった。感染症のため、園長先生に事情を話して幼稚園は欠席。近所の子と遊ぶのも禁じられた。しかし、菌を殺すために太陽の下で過ごすように病院で言われ、私はひとりで公園にいるようになった。同じ幼稚園の子が「幼稚園をお休みしているのに、どうして外で遊んでいるの」と不思議がって聞いてきた。その時私は、「お母さんが太陽の下で遊ぶように言ったから」と説明した。理由はわからなかった。ただ、そう言うように言われていたのだ。病気のことは自分から言ってはいけなかった。しかし、まわりは次第に「あの子と一緒にいてはいけない」という雰囲気になってしまった。そして、夏になった。まぶしい日差しの中で、私はひとりでブランコに乗ったり、砂場で砂をいじったりしていた。公園で大半の時間が過ぎていった。ひとりでも私はしかたない。そう思っていた。やがて秋になり、通院がほぼ終了して１０月中旬から再び幼稚園に通えることになった。外で過ごせるシーズンが短いこの土地で、遠足や運動会などという大きな行事はすでに終了していたが、幼稚園に行けることが素直にうれしかった。久しぶりの幼稚園は照れくさかった。みんなが私を大歓迎してくれたのだ。あとから私は先生に呼ばれ、「はい」と手渡されたものがあった。それは、誕生日プレゼントだった。誕生月の園児はプレゼントがもらえるが、それは毎月違ったおもちゃになっていた。その時、私がもらったプレゼントはなんと、９月生まれのものだった。私の誕生日を覚えていてくれた。まわりにいた子たちも、お休みしていたから今もらったんだね、とうれしそうだった。私はここで忘れられてはいなかった。ひとりではなかったのだ。（２００４．３執筆）

  2004/05/27

• うっかりミスです。ごめんね。

  笑い話のような話が続くと、本当にあきれてしまいます。先日、「国民年金を払おう！」というコマーシャルでメッセージを送った女優さんが、実は本人が年金を払っていないということで批判されましたが、今度は、その時に批判していた現在の大臣が３人も、国民年金を長期間納めていないことがわかりました。短い人では５年くらい払っていませんが、北海道出身の大臣が、政治家になってからまるまる２１年間、払っていなかったということです。これにはびっくりしてしまいました。道民として、ちょっと恥ずかしいと感じてしまいます。ふだん、とても大切な政治の仕事をしているのかもしれませんが、『国民の義務』と自分たちで言っていることは、しっかり果たしてほしいですよね。と言いながら、私自身は大丈夫かなぁ、とまた心配してしまいました。払っていなかった大臣のひとりは「うっかりミスでした」と釈明しています。私は思わずふきだしてしまいました。"うっかりミス"ということば。私はふだん、数学の計算間違いや英語のつづりの間違いのことを言う時によく使うのですが、"うっかりミス"で国民の信頼を裏切ることは困ってしまいます。"うっかりミス"は『自分自身で注意していれば防ぐことができる、しょうもないミス』です。"うっかりミス"ということばがいろいろな所で使われるようになり、「うっかりミスで税金払い忘れ」「うっかりミスで交通事故」「うっかりミスで飛行機墜落」など、こわいことにならないでほしいですね。（２００４．４執筆）

  2004/05/26

• 知らない人・・・・・

  ある地域の小学校に女性の警察官とぬいぐるみが来て、たくさんの児童の前でお話をしていました。「知らない人にはついていかない。」「あぶないと思ったらキャーッとさけぼう。」私が小学校の頃は、こういう時は交通安全の話をしてくれたものですが（腹話術の人形もいっしょに来ましたね）、今では交通事故の心配ばかりでなく、"知らない人"のことも考えなくてはいけないようです。小学校にいきなり侵入して児童を殺傷した事件がありました。誰かが子どもを車に引きずり込もうとする話もよく聞きます。時代が変わり、今では、人に対して警戒するのは仕方のないことかもしれません。私が以前、塾のパンフレットを配っていたときのこと。家の人に直接手渡しをする、留守であればポストに入れる、という感じで歩き回っていましたが、在宅だと思うのにドアホンを何度鳴らしても出てもらえなかったり、犬にほえられたり、くさりでつながれていない犬にどこまでも追いかけられたり・・・・。ちょっといやだなぁという思いをしました。しかし逆に、自分が訪ねて来られる立場だったら、警戒して自分からは表に出なかったり、番犬におまかせしたり（？）したかもしれません。最近の"知らない人"というのは、『何を考えているかわからない人』という意味もあると思います。犯罪者がその犯罪を起こした理由が理解できない場合が多いですが、それとは別に、現在は多くの情報がはんらんするようになり、いろいろな情報に関して『専門家』が存在するようになりました。他の分野の人に「あなたはどんな人ですか？」とたずねてもあまりにも専門的でよくわからず、結局相手を理解することをやめてしまいます。そして「何かだまされてしまいそうだな」と危険を感じ、話しかけなくなるかもしれません。警戒ばかりの世の中は、あまりにもさびしすぎます。自分はこういう人なんだ、ということを相手にわかってもらう努力を、ひとりひとりするべきなのではないでしょうか。（２００４．４執筆）

  2004/05/25

• 長生きするカラダをつくる

  女優の桃井かおりさんは、１２０歳になっても現役で女優をやっているのが目標だそうです。足腰が弱ってはいけない、とジムに通ったり、毎晩、雨でも雪でも、お酒を飲んでいる日でも、犬と散歩に出るそうです。そして、自宅でサウナに入り、サウナから上がったらパックをしながら酸素ボンベの酸素を吸います。しかし、１日５箱のタバコ、お酒、夜遊びはやめられないとか。こちらの方をやめた方が健康的ではないかなぁ・・・と思ってしまいます。それから、ニュースステーションにもよく出演していた、わかりやすい経済解説で人気の経済アナリスト、森永卓郎さんは、仕事の時間が惜しくて、昼食は牛丼やハンバーガー、夜食にはコーラを飲みながらカップめん、アイスクリームを食べる生活なのだそうです。会社の健康診断を受けると『成人病のデパート』と言われることもあるとか。それでも、夜食のコーラ、カップめん、アイスクリームはなかなかやめられないそうです。大人になるまでは、カラダをつくるために必要な栄養素をきちんと摂り、じゅうぶんな運動が大切ですが、大人になったからといって「これからは何にも考えなくていいんだ」と思うのはまちがいです。人間が生活するのに必要な栄養素がいくつかあるし、できるだけ規則正しい生活を送り、カラダに悪い影響を与えることはしないのが大切です。（私も反省・・・・。）カラダは何十年も使っているとガタついてきます。健康診断に行くと、少しずつ「ここが悪いですね」というのが出てくるでしょう。悪くなったところは治療をしながら、完全に治りきらないものは大事にいたわりながら、残りの人生を生きてゆくのです。（２００４．４執筆）

  2004/05/24

• 紋別観光はもてなし最悪？？？

  先日、ある新聞のコラムで、紋別市の観光について、「観光客に対する"もてなし"は史上最悪」などというびっくりするような言葉が並んでいたそうです。「宿泊施設の電話応対最悪」「観光施設はお粗末きわまりない展示ばかり」「流氷が来るのも、流氷めあての観光客が来るのも自然の恩恵なのに、自分たちの営業努力で流氷や観光客が来ているとかん違いしてはいけない」など。多くの人が読む新聞でそんなことを書かれては困ってしまいますが、実際のところはどうなのか。私は観光業界の人間ではないので、それはよくわかりません。かつて全国各地で、観光施設などの建物がジャンジャン建てられた時代がありました。いくらでもお金をかけて良いという雰囲気の中、いろいろなものが作られてゆきましたが、今もそういった施設が観光客を呼んでいるのか、今も利用されているのかは疑問です。ある地方では、金ぱくがはりめぐらされたような大きくて立派なトイレが作られ、「こんなトイレ、誰が使うの？ 税金のムダだよ」とあれこれ言われたこともありました。やっぱり観光というのは、「そこに何があるか」ではなくて、「そこでどんな人に出会えるか」ですよね？ 旅が終わって振り返った時、また会いに行きたいなぁという人々にめぐりあえたら、とてもラッキーな旅だったのでしょう。（２００４．４執筆）

  2004/05/23

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