白洲次郎について
先日2週連続で白洲次郎についてのドラマをNHKでやっていましたが、ドラマの内容もさることながら、白洲次郎本人についてもがっかりさせられました。曰く「カントリー・ジェントルマン」曰く「従順ならざる唯一の日本人」英国留学、オックスブリッジアクセントの英語を華麗に操る、まさにダンディな紳士。オイリーボーイと呼ばれるほど車が好きで、晩年まで自らポルシェを運転していた。日本の戦後史、特にサンフランシスコ講和会議でも活躍し、吉田茂のブレーンでも会った人物…これが白洲次郎についてのイメージでした。しかし、ドラマ内ではうまく流していましたが、私にとっては白洲次郎のイメージを大きく崩す問題がありました。徴兵拒否です。私はドラマを見るまでは、赤紙が来なかったのだと思ってました。しかし事実は赤紙が来てしまい、陸軍にいる知人を頼って徴兵逃れをしていたわけです。これは絶対に許されないことです。当時の日本の成人男性のほとんどは、白洲次郎のようなコネもなく、赤紙一枚で徴兵され、南方で、あるいは大陸で戦場に向かわねばなりませんでした。そして多くの人がその命を失いました。これが正しいことかどうか、それは別問題ですが、少なくとも当時の日本人の義務を忌避して(あるいは不正な手段を使って逃げた)ことは、同じ日本人である私としては許せない行為です。「私はこの戦争に行くために生まれてきたんじゃない」そんなようなことをドラマ中では言っていましたが、同じことを言いたかった人は何千人、何万人、いやもっともっといたはずです。しかしほとんどの人は国で定めた義務に従うしかなかったわけです。このような人物はある意味、戦争中捕らわれていた共産党員よりも許せないですね。ドラマの三話が夏ごろあるそうですが、私はもう見ないと思います。ちなみに、白洲次郎の詳細はほとんどわかっておらず、断片的なエピソードだけをつぎはぎしたため、3話目にはネタ切れになり、撮影が遅れたという説があるそうです。