ロバート・キャパの真実
ちょっと衝撃的でしたね。今夜のNHK特集。沢木耕太郎さんの推理ではありますが、戦場写真の決定版とでも言うべき「崩れ落ちる兵士」が、実は撃たれてもいないし、もちろん死んでもいない上に、撮ったのがキャパではない…!あの写真は、ピカソの「ゲルニカ」とともにスペイン内乱の象徴的な写真でもあるし、世界的に最も著名な写真でもあるので、かなりのインパクトです。ただ、キャパ自身も、最初に出版した写真集が、テーマがスペイン内乱がテーマであるにもかかわらず、この写真を用いていないことや、この写真について多くを語らないままなくなったことからも自覚があったように見受けられます。いわば「やらせ」の写真で有名になったことがトラウマになり、またこの写真を実際に撮ったと思われる恋人の死もあって、キャパ自身はその後のほとんど全ての戦場において最前線でシャッターを切り続けました。「崩れ落ちる兵士」を超える真実の戦場写真を撮ることで、心の傷を癒すかのように。