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2022.04.26
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カテゴリ:父の麦わら帽子
 65年以上前の岡山の田舎の話。
当時、村には、薬局などなくて薬は、置き薬とよばれる富山の薬売りが持ってくるものが家にあった。

いつも知っている村の人の顔を見て暮らしていたので知らない人が来るのは新鮮だった。
薬売りは、土間に入って、靴は脱がないで、土間の上り框(かまち)に腰掛け、吊り下げていた、紙袋を点検していた。

熱さまし、腹痛など、使った薬があれば、補充していたのだ。
私は、それをじぃーっと見ていた。
 すると、薬売りのおじさんは、笑いながら、
「お嬢ちゃん・・・」と私に呼びかけた。
そして、紙風船を出してきて、私にくれた。

紙風船など滅多に手にすることがないので私は、夢中で息を吹き込んで遊んだ。

今から、2~3年前、富山市に行った。
夫が、具合が悪くなった時、ガイドさんの女性が、
「うちに来て、薬があるから・・・」と言ってくれた。

遠慮していると、
「ここをどこだと思っているの?
ここは、薬の町、富山ですよ。」と冗談めかして言って、薬をくれた。
 私は、小さな子どもだったので、年に一回の薬売りは、いつ頃来るのか覚えていない。
ただ、夏は暑いし、冬は寒いので徒歩で家々を廻る薬売りにとって、今の季節が一番いいのではないかと思う。
いや、来月の麦秋が済んでからの方がお金が払えるから、麦秋後だったのだろうか?

何軒くらい廻ったのか?
どこで泊まったのか?
昼食はどうしたのか・・・?
今なら気になることがいっぱいある。
こんな時、父に聞いておけばよかったと思う。
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Last updated  2022.04.27 17:46:46
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