テーマ:懐かしい昔の話(548)
カテゴリ:父の麦わら帽子
私の母は、歌の好きな人だった。
家は貧しかったけれど、母の大らかで陽気な歌声に、どれだけ家が明るかったのかと最近よく思う。 私が子どもの頃、今から60年以上前は、テレビもない時代。 自分で歌うのが唯一の楽しみとあって、歌の好きな母は、地域のコーラスグループに入っていて、月に何回か、夜になると練習に出かけた。 場所は、小学校の音楽教室。(小学校(1)の左端にあった。) 先生は、中学校の音楽の先生。 コーラス部員は、小学生や中学生の親たちだった。 田舎の夜は暗く 「暗ろーてきょてーから、(暗くて怖いから)はるなちゃん、ついて来て」と私に頼む母。 私は、母について小学校に行った。 子どもの帰った夜の小学校は、がらんとした寂しい建物だった。 私は、音楽室の隅っこに座り、歌う大人たちを時々見ながら持って来た本を読んだ。 いろんな歌を聞いたが、特に耳に残っている歌がある。 ♪あわれ白拍子~ 花の命~・・・という出だしの歌だ。 がらんとした教室の中で聞く歌は寂しく、60年以上経ったた今も、耳に残っている。 ♪あわれ白拍子(しらびょうし)~ 花の命~ 過ぎし日の明け暮れは露に似て 今宵別れの舞い衣 しずやしず~ 静(しずか)の小袖は露に濡れ、かざす扇の重たさよ。 ああ、今に残る~ よしや 吉野の舞い塚あわれ~ 先日、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で捕らわれた静御前が舞い踊ったのは有名な下の曲。 ♪しづやしづ しづの苧環(をだまき)繰り返し むかしを今に なすよしもがな♪ 吉野山 嶺の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき いつも私を、静、静、 苧環(をだまき)の花のように美しい静 そう呼んでくださった義経様 幸せだったあのときに戻りたい 吉野山で雪を踏み分け 山に去って行かれた愛する義経様 残されたあのときの義経様の足跡が、 いまも愛しくてたまらない。 放送されるテレビの歌番組の多い昨今だが、昔は何もなかったから、自分たちが歌うしかなかった。 何も知らずに聞いていた、あの歌には深い意味があったのだなとしみじみ思う。 にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.05.26 00:01:29
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