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2023.05.26
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カテゴリ:父の麦わら帽子
 私の子ども時代、今から65年以上前、醤油は今のようにプラスティックに入ってはいなかった。
全て、一升瓶に入って売られていた。
もっとも、岡山の田舎なので、あれこれ銘柄は選べなくて、
「とら醤油」という一升瓶に入った商品、一択だった。
 瓶に入って重くて、割れる危険性があるので、醤油は、うちの近くの人が取り扱っていた。
どういう繋がりから委託されたのか知らないが、その家は、醤油のみをそれも、虎醤油のみを扱っていた。
私も一度、母に頼まれて買いに行ったことがあるが、土間の隅に6つに分かれた木の枠に入った虎醤油が入っていた。
買いに行くときは、空になった瓶を持って行った。

プラスティックか瓶かは選べないし、一升瓶か五合瓶かなど選べなかったが、選ぶということを考えたことがなかった。
 当時、調味料といえば、塩、砂糖、味噌、酢、そして醤油・・・。
ウースターソースは小学4年生頃に初めてカレーが家で作るようになるまで買ったことがなかった。

調味料は、圧倒的に醤油が多いので、一升瓶でも多すぎるということはなかった。
持って帰った醤油は、片口に入れて、片口から醤油さしに入れた。

その醤油さしを、明治45年生まれの父は「きびしょう」と言っていた。

今回のブログを書くにあたって、「きびしょう」を調べてみた。
 小型の土瓶ともいうべきもので,おもに陶磁器であるが金属製のものもある。
急焼,急備焼とも書き,〈きびしょう〉〈きびしょ〉とも呼ぶ。
もと中国で酒を暖める具とされていたが,江戸時代に日本に伝えられ,煎茶に用いられるようになったとされる。

とあった。
 今でこそ、醤油は当たり前に使っているけれど、江戸時代などは、味付けは味噌が多かったという。
 また、手許には、塩が置いてあって、その塩を入れる小さな皿を、手しょうと言った。
「手塩」が語源だという。

だから、食事の際に使う醤油さしなどなかったのだろう。
明治時代以降に、醤油をよく使うようになってから、急須にいれて、卓上に置いていたのではないだろうか。
 なにせ、父は明治45年生まれの父、私の祖父は明治9年生まれだ。
祖父は江戸時代の暮らしを色濃く残した暮らしをしていたのだろう。
その暮らしを引き継いだ父は、皿に醤油が残っていると怒った。

醤油をかけすぎて残したりしてはならないという、父の教えを私は今も守っている。

また、今回、「とら醤油」を調べてみたら、150年の歴史を持つ老舗で今も醤油や酒を造っているというのを知り、懐かしく嬉しかった。
とら醤油
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Last updated  2023.05.28 11:52:40
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