昔語り:やっこめ(焼き米)
「田植えの終わった後の楽しみは、『やっこめ』じゃった」と父がいつものように語り始めた。やっこめとは、焼き米。米を、焙烙(ほうろく)で炒って作る。焙烙(ほうろく)は、素焼きの平たい土鍋で私の子どもの頃は、やっこめ以外にも豆を炒ったりするのにも使われていた。出来上ら、茶碗にやっこめを入れ、上から熱いお茶を注ぎ、塩を適量入れるのが一般的な食べ方。田植え用に使う、種もみを少し残しておいて作る、やっこめは、「種やっこめ」と言って、この季節の楽しみだったと父は言っていた。私は、子どもの頃、やっこめを食べた記憶がある。女たちが、一握りづつ持ち寄って作ったと言われる、昔の種やっこめ。それは、この時期の待ち遠しい味だったことだろう。そして、今ではだれも作らなくなり、その味は、50年以上前に消えてしまった。・・・・・・・・・・・・・ ◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。★2011年5月26日*父の麦わら帽子:目次*・・・・・・・・・・・・・・