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カテゴリ:ザルツブルグ
オーストリアのレストランで、よく注文するスープは、細切りにしたクレープの入った フリタッテンズッペです。 スープ自体はコンソメで、刻んだチャイブが散らしてあります。 チャイブは、オーストリア料理に欠かせない食材の1つ。 スーパーマーケットでも市場でも、品切れということはまずなく、 軽くひとにぎりの束が、当時100円前後でした。 チャイブは市場の八百屋さんが、よくおまけしてくれましたね。 ないと困るでしょ? といった感じで。 スープの具であるクレープは、オーストリアでパラチンケンと言い、 この名前は、ハンガリー語のパラチンキからきています。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ある日、旧侯爵家の若様の家に行った時のことです。 ケラーに連れて行かれると、そこにはクレープの生地が置いてありました。 前の日に仕込んで、涼しいところで一晩寝かせるとよいとのことでしたが、 その量の多いこと。 昼食にいらしたお客様が帰ってからも永遠とクレープを焼いていると、 若様は 自分の相手をしない と不機嫌になるしで・・・ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: さて、素人クレープというのは、フライパンの火加減とか熱のまわり方などで、 最初の数枚は、まずまず位の焼き上がり。 しばらく焼き続けると、満足いくものが焼けるようになり、 但し、途中気を抜くと失敗し、最後の方は雑になりやすいものなんですよね。 このパターンは、ピアノリサイタルのプログラムなどでも起こりやすく、 ですから、どのようにペース配分するかということを考えておく必要があります。 自分がなるべく弾き出しやすい曲で始め、調子よく弾き進め、 集中力が散漫にならないよう工夫し、最後に総仕上げができるように・・・ もっとも理屈ではないところもあって、のっていれば何事も思い通り。 大量のクレープがあっという間に焼きあがってしまうような、そういうのもあります。 ただ、安易な期待とか、のるかそるかの場当たりで、事がうまくいくことは絶無ですし、 それでは、過去の経験から何も学ばず、それを生かさずですから。 本当の意味での成功とか達成感というのは、確実な準備とそれに向う心構え、 そしてそれらに囚われない、無心の心境という辺りがポイントだと思います。 無心で何かに集中できるには、大抵の場合、そこまでの準備が大切であり、 その過程で何が起こるかを嫌というほど学んでおく必要がある、とも言えるでしょう。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: スープのことに話を戻すと、フリタッテンズッペは、私のこれまでを重ね合わせ、 反芻しつつ味わうスープ、ということになっています。 チャイブをおまけしてくれた八百屋さんの人柄とか 貴族家での出来事、その頃の自分が置かれた立場や心理。 歩んできた道のり、うまくいったケース、 そうではなかった場合の数々。 それら全てが懐かしく、まだまだそこに自分の学びが見つけられること。 沢山の事柄が思い浮かんできますね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年01月25日 06時56分48秒
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