ホーチミンでパスタを待っていたのは
ホーチミンのオフィスを訪れてパスタを待っていたのは。。10年前に東京にきて研修を受けたTさんだった。当時おさなかった彼女とはちょっと違ったけれども、顔をみて、すぐ彼女とわかった。10年前、アジアのオフィスの若手の有望な社員を東京に出してもらって研修をした時に、その研修内容の企画や講師の多くを務めたのは、私と、シンガポールへ移住しゅて起業した先輩だった。ベトナムからは、TさんとCさんがやってきた。Tさんは、大学を出たてで英語はうまく、やる気満々の、頑張り屋さんだった。Cさんは、やっぱり大学でたてだけれども、英語はあまりうまくなく、恥ずかしがり屋で、県中中もほとんど発言しなかった。ふたりとも、潜在的には優秀だったが、われわれのべとなビジネスについては経験が浅くて、ほかの国、シンガポール、マレーシア、バンコクなどからやってきた社員とはどうしても、知識も経験も足りなかった。しかし、それでもTさんは堂々と、分からないことはどんどん質問して、目を輝かせて積極的に取り組んでくれた。そんなTさん、今や結婚して2人の子供がいるそうだが、子供はベビーシッターと、義理の両親にまかせて、今では、営業部長として頑張っている。英語も当時よりももっとうまくなっていて、ロジカルだし、今回ホーチミンのあっちこっちのマーケットを見て回ったが、交替でアテンドしてくれたベトナム社員の中では、一番、ヒントになること、重要なことを教えてくれた。なんか、一緒に市場視察をして、話をしているときに笑ったりするときのツボがぼくとぴったりあっていた。不思議なものだけれども、あの時の研修生がこんなに立派になって、ホーチミンのオフィスをささえる存在になっているのがとてもうれしかった。もうひとりのCさんは、今回は一緒に仕事はできなかったが、10年前は、ほんとうにはずかしがり屋で、たよりなくて、おんとうに大丈夫だろうか、というような存在だった。実際、10年前の研修期間中の自由な時間(夜、週末は自由)、誰かと食事をしてホテルに戻ろうとしたが、JRの品川駅で、まよってしまって2時間も外に出られなかった。親切な日本人が、最後に改札口まで案内してくれたそうだが、そもそも駅の中で迷って外に出られない、というのは、ぼくの想定外の出来事だった。そんなCさんは、今では、ばりばり大きな声をはりあげて、周りを引っ張っていく、もうひとりの営業部長に成長していた。Tさんは、10年前、みんなで撮った写真を今でも大切に持っていて、その時、各国の研修生と僕が写っている2枚の写真をみせてくれた。Tさんも、Cさんも、ベトナムの大学を出たてで、初々しかったが、10年前の私は、別人かというほど今とは雰囲気が違っていた。だいたい、なに人か分からなかったし、今よりもずっとスリムで、まるで、存在しないぼくの弟のようだった。なんか、とてもうれしかった。彼女たちがベトナムのオフィスを支える存在になっていた、ということも嬉しかったが、10年前のあの研修が、彼女たちにとっては、忘れられない出来事だったということを。ベトナムでは、ほかの国でもそうだが、数年して転職する人が多い中、よく今まで、ひとつの会社で頑張ってきてくれたと思う。ちょっと、ぐっとくる話だった。シンガポールへ行ってしまった先輩にも、教えてあげなければ。