スティングJapan Tour 2005!
武道館でスティング のライブを観た。ひさしぶりの生スティングは、実にこうごうしかった!武道館、西側2階スタンド、もうほとんどステージを真横から、真上から見下ろすような遠い席だ。先行予約でゲットしたはずなのに、なんでこんな遠い席。でも、おかげで、ミュージシャンのステージ上の動き、楽器演奏、特に2人のキーボードの演奏が良く見えた。時々、誰がこの音を出しているんだ、というのがよくわかった。ライブには、いろんな楽しみ方があるものだ。開演予定時間を10分くらい過ぎた頃だろうか。突然、場内の照明が落ちて暗くなった。バンドの演奏が始まる。多分、最新アルバムのSacred Loveからの1曲(たぶん「Send Your Love」だと思うが、不覚にもぼくはスティングの最新CDをまだ買っていない。と、2曲目に、ポリス時代の名曲「Message in A Bottle」 だ。場内がはやくも、うゎ~わとなる。♪ I’ll send an S.O.S to the worldI’ll send an S.O.S to the worldI hope that someone gets my,I hope that someone gets my,I hope that someone gets my,Message in A Bottle.(中略)Message in a bottle,Message in a bottle,Sending out an S.O.S.Sending out an S.O.S.Sending out an S.O.S.Sending out an S.O.S.Sending out an S.O.S. ♪のっけから、大声で一緒に歌っている自分。あほかとも思わず。ドラムスとパーカッションのリズムはタイトでずしりと来る。スティングが流暢な日本語で挨拶する。「元気ですか?」ジャケットを脱ぎ捨て、黒のシャツに白い襟と袖を出している。多分、襟と袖だけがついたシャツだと思う。少し、胸がはだけている。黒のストライプのパンツ。濃い茶色のブーツをさりげなくはいている。今に始まったことではないが、髪の毛がちょっと後退している。なんか、としちゃん (田原俊彦)みたいだなぁ、と、今度はバカな感想を持つ。次に、最近、スティングがよくステージで持っている映像をみかける小さなギター(おそらくブラジルのギター:名前忘れちゃった。詳しい人、誰か教えて)を弾く。アルバム「Brand New Day」から「A Thousand Years」 だ。パーカッションの音が中南米している。バンド・メンバーはスティングを含めて8名。スティング(vo. Bassなど)ドミニク・ミラー(g)ドラムスパーカッションバック・ボーカル・コーラス 女性2名キーボード 2名(そのうち1名は共同プロデューサーでもあるKipper )メンバー紹介と時、いつもKipperに最大限の賛辞をつけて紹介していた。曲の順序は後先になるが、「Brand New day」からは表題曲のほか、「Desert Rose」が演奏された。真横の真上のほうの席から見ていたので、ライブの途中まで全然気が付かなかったが、ステージの真後ろに、巨大な映像が写されていて、この曲の時には、緑豊かな山々の大自然のなかで、女性がなぜかフラフープをしながらなまめかしく踊っていた。 スティングは、はやくから南米の熱帯雨林の環境破壊を食い止め保護することを訴え、またそういう活動も行っている。最近の大自然の災害のいくつかは、あきらかに地球温暖化が進んでいることに関係していると思う。熱帯雨林が破壊され、地球上のCO2を吸収して酸素に変える南米の豊かな森林がものすごいスピードで減少し、その結果、温暖化が進行中なのだ。このへんの曲は、スティングのそういったメッセージを発信している曲だと思う。途中、素晴しいドミニク・ミラーのギター・ソロがあり、スティングも、としちゃんではなく、なにかこうごうしく見えてきた。引き締まったカラダ。知的な顔。何か意志を一本、はっきりと持っていると思わせる表情。数曲して、いきなりキーボードのリズミカルな伴奏が始まった。ソロ時代の大ヒット曲「Englishman in New York」 だ。「Message in A Bottle」の時以上の大歓声。うぉ~~~!ぼくのオヤジでさえこの曲を知っていて、大好きなのだ。♪ Wowo wow, I’m an alien I’m a legal alienI’m an Englishman in New York.♪ Wowo ww, I’m an alien I’m a legal alienI’m an Englishman in New York. ♪またもや、ぼくは絶叫しながら歌っている。(ぼくは、合法的なよそ者、とNew Yorkでの孤独をうたっている)「I’m a Legal alien, Iam Jamaican in New York」というカヴァー曲まで出た名作だ。まだか、まだか、と待っているとあの曲が始まった。「Fragile」♪ On and on the rain will fallLike tears from a star like tears from a starOn and on the rain will sayHow fragile we are how fragile we areHow fragile we are how fragile we are♪いかに、はかない、危うさの上に、この地球が、ボクたちが立っているかを歌った曲だと思う。New Yorkの9.11のテロの後、多くのミュージシャンが集まって、犠牲者の追悼ライブをやった時も、スティングが歌ったのはこの曲だった。ぼくも、いつかウクレレで弾き語りしたい曲だが、このはかなさを歌うのはとても難しいと思う。ステージの見せ場はいくつもあったが、ひとつの見せ場は、「Whenever I say your name」 CDでは、メアリー・J・ブライジ とデュエットしている曲。バック・ボーカルの女性のひとりが前に出てきて、スティングに歌の勢いで迫るようにデュエットで歌い、最後にひとりで、ものすごいパワーのある声で、ソウルフルに歌った。ドミニク・ミラーがさまざまなサウンド・エフェクトでギター・ソロを聴かせる。アレ、アレと思っているうちに、ポリス時代の名曲「ロクサーヌ」 だ。スティングのボディがぼろぼろになったベースから繰り出す音も強力だ。♪ Roxanne, put on the red light…♪スティングが一瞬、室伏広治選手に見えた。背筋がピンとのびて、きりっとして凛とした、たたずまい。ありゃ、スティングが、ベースギターを片手に高く差し出しながらステージから去っていった。まだ、あの曲とあの曲をやっていないじゃないか。アンコールの大歓声と拍手で、バンド・メンバーがステージに戻ってくる。アンコール曲を続けて3曲。3曲目が、「Every Breath You Take」 (邦題:見つめていたい)。もちろん、もう感情をカラダいっぱいにあらわして一緒に歌った。実は、この曲を聴くと、友人の死を思い出してしまう。若くしての悲しい死だったのだが、彼は、あの時からみんあの心の中では永遠の少年のままだ。そんな個人的な感情をはいしても、この曲はすごくいいきょくなのっで、ウクレレ・バンドでやろうといったとき、ベースとドラムスのふたりが、即座に答えた。「勘弁してくれよ。これ、ベースとドラムスの負担が大きいんだよ」と。この曲も、いつか何らかの形で演奏したいと思っている。バンドが演奏を続けているあいだに、スティングがステージから消えて、やがてバンド・サウンドも終わった。またしても、アンコールの大歓声と拍手。またしても登場したバンドは南米的な曲を演奏した。そして、大歓声と拍手の中、ステージが真っ暗になって、反転ステージが明るくなった時、メンバー8名が全員、横に並んで、お辞儀をした。ほんとうのエンディングだった。感動にぞくぞくとカラダが震えた。でも、残念ながら僕が好きなあの曲はとうとうやってくれなかった。「If You Love Somebody, Set Them Free」 アルバム、「The Dream of the Blue Turtles」(ブルータートルの夢)の1曲目。バンド・メンバーがブランフォード・マルサリス(sax)兄ウィントン(tp)とともに、当時からジャズのメインストリームの実力者。ダリル・ジョーンズ(bass)(マイルス・バンドから。後にストーンズのツアーメンバー)ケニー・カークランド(piano)(残念ながら数年前死去)オマー・ハキム(ds)(ウェザー・リポートから)の時の曲。スティングが一番ジャズに近寄っていた時期の曲だ。この曲は聴けなかったけど、ひさしぶりに聴いたスティングの声。はりもあって、ノッてくると、リズムの上を独特の歌いまわしで、メロディをキープしながら、時々たたみかけてしゃべるように歌うスティング。武道館の出口で、ある有名な人権NPOが、協力をよびかけていた。資料をもらいながら、大勢の人波におされながら、駅へ駅へと向かう。ひさしぶりに身が引き締まる思いがした。さあ、これからスティングのDVDでも観るぞ。