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February 14, 2007
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テーマ:お勧めの本(7363)
今回もリンドグレーンの話を書こうと思っていたのですが、漂流していたマグロ漁船の乗員3名が3日ぶりに救出されたニュースをきいて、ちょっと寄り道・・・。


ライフラフト(救命イカダ)で漂流し、乾パンを分け合って食べたという話で、私以上の世代では「たか号」事件を思い出した人も多かったのではないでしょうか。

1992年、ヨットレース中に遭難した「たか号」。
乗員7名のうち、ただ一人が実に27日間の漂流の後に生還したという、まれに見る長期漂流でした。

生還した佐野三治氏はこの事件を『たった一人の生還 「たか号」漂流 二十七日間の闘い』(現在絶版)に著しています。

小さなライフラフトの中で飢えと乾きに苦しみ、一人ずつ仲間の命が消えていく極限状況に、思わず心拍数の上がるような1冊です。



大西洋漂流76日間私はフィクション、ノンフィクションを問わず、漂流ものに興味があってよく読むのですが、実際の漂流の話でもっとも衝撃的で心に残ったのが、スティーヴン・キャラハンの『大西洋漂流76日間』です。

「たか号」よりさらに10年前、1982年に鯨の衝突と思われる事故によって大西洋東部でヨットが沈没し、単独航海中だった著者がライフラフトで漂流、大西洋を横断しカリブ沖で救出されるまでのノンフィクションです。

とりあえずタイトルにもある通り、その日数がすごい!


通常の漂流ものでは、自分でコントロールできない漂流への恐怖、救助への希望、渇望、そして救助がこないことへの絶望が描かれています。

けれども、この『大西洋漂流76日間』は、そういった漂流記とは全く雰囲気が異なります。



著者のスティーヴン・キャラハンは熟達したヨットマンであり、遭難後はその卓抜な知識と経験により、鉛筆で作った六分儀で現在位置を測定し、ものを投げて漂流速度を測定し、漂流航路や救助の可能性のあるエリアを想定していました。

長期に渡って、島影一つ見えない絶海をライフラフトで漂う困難は想像を絶するものがあります。

彼の精神力には敬服するばかりですが、「途中で救助されない最悪のケースでも、最終的には大西洋を横断し陸地に到達することができる」という自信(そしてその測定値は非常に正確なものでした)があったからこそ、心を支えることができたのでしょう。

もちろん彼も恐怖や絶望を感じなかったわけではありませんが、前書きにこのような文章を残しています。

「苦痛と絶望についても、すべては書かなかった。理性的に話を進め、ときには冗談もまじえよう。
(中略)
漂流中の体験は、うんざりするほど悲惨なものだ。しかし、読者の方々には、漂流での経験の多くの部分は、単調で恐怖に満ちたものであると同時に、自ら考え、教えられるところの多いものであったということを心にとめておいていただきたい」

この著者の姿勢のためか、困難な状況は伝わってくるものの、陰惨な感じは全くなく、非常に面白い本として読むことができます。


また、彼には事故に対する十分な備えがありました。
4名用のライフラフトに二人で乗って非常に辛かった経験を持ち、彼のヨットには6名用のラフトが備え付けてありました。
またラフト備え付けの装備袋の他に、自前の緊急バッグを用意していました。
これがなかったら、例え彼でも76日もの間漂流を続けることはできなかったでしょう。



「たか号」の場合は不備もたくさんありました。
まず船自体の欠陥として、水密が保たれていない箇所があり、しかもヨットの命ともいえる復元力(転覆しても起き上がる構造)が転覆の際になかなか働かなかったのです。
また出航前の救難信号発信装置の点検も怠っていたため、遭難時に使用することができませんでした。

亡くなった方を責めるわけではありませんが、そういった意味ではたか号のクルーとスティーヴン・キャラハンの間には、非常に大きな意識の差があったことは否めません。


たか号の佐野さんが救出されたのはまさに「奇蹟」のようなできごとでしたが、キャラハンが生還したのは「奇蹟」ではなく「必然」だったように感じます。



なかなか、彼の境地に達することはできませんが、海や山、川といった自然の中へ出て行くスポーツや仕事をする全ての人にとって、一読する価値のある本だと思います。







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Last updated  February 14, 2007 06:45:02 AM
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