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先日みた『美の巨人』の高島野十郎。
一年前の谷中安規以来の衝撃だ。 優しい光を受けた風景画は、私の好みではない。 印象派よりもアングルなど、闇の中に対象物が浮き上がってくるものが好きだ。 なのにナゼかその画は訴えかけてくる。 高島野十郎は裕福な家庭に育ち東京帝国大学の水産学科を首席で卒業したそう。 故郷も学歴もある彼は全てを捨て生活し、最後は畑の一角に小屋を建て藁のベッドで寝起きし、 七輪で煮炊きし、静かに絵を描いたそう。 電気も水道もガスもない、たった一間で生活。普段は粗末な服装にひげも伸び放題。 それが外出となるとステッキ片手に、黒のマントに山高帽子の老紳士に大変身する。 『謎の老人』の正体に、“やっぱりただ者じゃなかった”と地元では噂されている。 彼を知っていると思われる画家の方が『究極の孤独の後の爽やかさ』みたいな事を 言っていたけれど素敵な言葉だ。 画を習ったことも、画壇との交流もまるで無かったそうだ。 ネットで調べてみると『何でも鑑定団』に以前出品された時に感銘を受けた人も多いよう。 庭掃除などの御礼に作品を人にあげている。貰った方もその価値が分かっていなかった。 蝋燭の絵は、御灯明代わりに仏壇に飾られたりしていたそうだ。 生々しい傷を負った学生時代の自画像、ある作品に対してボロボロ泣いたというエピソード。 孤高の人は仙人のように心の乱れの無い人のように思えるが、 その奥底には熱いものがひそんでいるのだろう。 没後30年 高島野十郎展が三鷹市美術ギャラリーで6月10日~7月17日まで開かれるとの事。 是非実物をこの目で観てみたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/05/23 09:14:44 AM
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