|
テーマ:洋楽(3357)
カテゴリ:ビートルズ
後のジョージのコンサートで必ず演奏されている事からも、自身にとっても生涯の名曲だった事は想像に難くない。 通称ホワイト・アルバムに収録。トボけた前曲「The Continuing Story Of Bungalow Bill」からジョンの「Eh Oh!」という掛け声を挟んで、もの悲しいピアノのイントロが流れるという構成が何ともいえない。 この曲が書かれたのは例のインド旅行(修行?)の最中で、最初のテイクはジョージのボーカル、生ギター(とオルガン)だけによるシンプルで美しいバージョンだったが、ジョンもポールも当初はこの曲に興味を示さなかったという。 それに対するあてつけなのか、ジョージがセッションに招いたのが当時親交を深めていたエリック・クラプトンだった。 クラプトンは、当初「ビートルズの曲で弾くなんて…」と、演奏する事を躊躇したみたいだが、それに対してジョージは「だからどうした? これは僕の曲だぞ」と答えたらしい。これによって曲の運命は大きく変わっていく。 クラプトンは、ギブソン・レスポールを使った見事なソロを披露。チョーキング・ビブラートを駆使したそのプレイは、まさに「ギターがむせび泣く」というべきもので、曲のタイトルにふさわしい名演となった。 テクニカルと言うのかどうかは知らないが、「Play With Heart」(By スティーヴ・レイボーン)とは、こういうのを言うんだろうなあ。 今でこそ"クラプトンのギター"が売りになっているこの曲だが、発表当初はその事が公表されておらず、彼の演奏によるものである事が明らかにされたのは、後のジョージ自らの発言からだったという。 「本当にクラプトンのギターなのか?」と、疑う声もあるみたいだが、ジョージ本人がそう言っているんだから、まあ間違いないんじゃないかと。。。 泣いているのはクラプトンのギターだけではない。Amを軸としたマイナー調のメロディに弱々しいジョージの歌声がピタリとハマッており、特にエンディングにおける「Oh,Oh,Oh……」というバースにはグッとくる。 それ以外の部分も見逃せない。 シンバルを効果的に使ったリンゴのドラム・プレイ、馬の足音を模したリズム・アレンジも曲を引き締めている。 バック・ボーカル、ピアノ、6弦ベースなどを担当したポールも素晴らしい仕事ぶり。 ジョージ自らが弾くハモンド・オルガンの音色も、曲を味わい深いものにしている。淡々としたアコギの音色もグー。 ちなみに、この曲のプロデューサーは一応ジョージ・マーティンという事になっているが、このセッションで彼が何をやったのかは未だ謎のままだ。 この時期になると、マーティンは良くも悪くも放置プレイにしておく事が多かったらしく、この曲にしても事実上は、ハリスンのセルフ・プロデュースと考えた方がいいかもしれない。 ハリスンの本格的な出世作は、同時に彼のソロ・デビュー作であった……といったら言い過ぎか。何にしても"ハリスン印"と呼ぶにふさわしい名曲である事に違いはない。 彼は、後のソロ・アルバム「ジョージ・ハリスン帝国」('75年)でも、この曲の続編ともいうべき「This Guitar(Can't Keep From Crying)」を書いている。 カバー・バージョンはトッド・ラングレンからケニー・ランキンまで数多く、意外な所ではプリンスがライヴでこの曲を演奏している。 個人的なベストは、盲目のギタリスト、ジェフ・ヒーリーによるバージョン(ジェフ・リン参加)か。 ジョージ主催による「バングラディッシュ・コンサート」('71年)では、クラプトン自らがリード・ギターでこの曲を演奏。ミス・トーンによる、どこか危なっかしい演奏は別の意味でスリリングだったりする(笑 ジョージにとって最後のコンサートになった'91年の日本公演でも、クラプトンをバックに従えてこの曲が演奏された。 また、'02年に開かれた「Concert For George」では、クラプトン、ポールの他、リンゴ・スター、ジェフ・リン、ジョージの息子であるダニー・ハリスン、ゲイリー・ブッカー、ジム・キャパルディ…etcなど、錚々たるメンツでこの曲が演奏されている。 「While My Guitar Gently Weeps」を聴くにはここをクリック! 『Anthology 3』収録の美しい初期バージョンはこちら。 '06年に発売された「Love」に収録のオーケストラ・バージョンはこちら。 ※ポム・スフレのメインHPはこちら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ビートルズ] カテゴリの最新記事
|