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テーマ:洋楽(3394)
カテゴリ:ビートルズ
たしかに突貫工事で作ったという印象は払えないし、アルバム後半が尻すぼみなのも寂しい。 が、もちろん本盤にも、忘れられない曲は含まれている。 「No Reply」は間違いなくそのひとつだろう。 アルバム冒頭を飾る、ジョンの作品である。 内省的な色合いを持った、シブくて切ないナンバーだ。 自分を相手にしてくれない女の子に対して、淡々とではあるが愚痴っぽく愛を綴るという歌である。 今の時代だったら、プチ・ストーカー認定されそうな内容にも思えるが この曲に前奏はない。 アカペラによる、物憂げな歌い出しからして心を惹かれる。 サウンドの中心となるのは、柔らかなアコースティック・ギターである。 リズムは何げにパーカッシヴだ。落ち着いた雰囲気にもシミジミ。 そして(単に練る時間がなかったんだろうが)シンプルなアレンジゆえに、ジョンの声と楽曲のよさが引き立つ結果となっている。 「I Saw The Light」とシャウトする部分には、グッとくるねえ。 「返事がない」というタイトルを持ったこの曲は、それまでひたすらポップにアグレッシヴに突っ走ってきた彼らとはどこか趣が異なる。 6thやメジャー7thを多用したコード進行も、曲にそれまでとは違う深みを与えている。 そのテーマは、「メールを送ったのに返事がこない」というストレスを持つ、われわれ現代人にこそ共感できるものでは? ウソをつく女に対して未練がましく想いを告げる、というサビの歌詞も、情けなくてヒジョーにヨロしい。 恋なんて所詮惚れたモノ負けだしね。不~二子ちゃん、待ってよ~(←ルパン風 サビで明るく転調するというメロディ展開(手拍子つき)、ポールの力強いコーラスが、また切なさを強調するのさ ちなみに、ジョンのヴォーカルにもうひとつ元気が感じられないのは、曲調に合わせたのではなく、単に声が出なくなっていたのだとか(この日は一日中歌いづめだった) ともあれ、"ジョン裏名曲"の筆頭に位置する佳品に仕上がっていると思う。 極論するなら、僕にとっての『For Sale』といったらコレだ。 この曲がなかったら、アルバムの印象、評価はまた違ったものになっていたんじゃないだろうか? にも関わらず、ライヴ演奏がほとんどされていなかったようなのは残念。 これといったカバー・バージョンも今のところ見当たらず。 コレが好きなのはオレだけかぁ~? 「No Reply」を聴くにはここをクリック。 返事がないぞなもし~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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