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テーマ:洋楽(3396)
カテゴリ:ビートルズ
演奏時間はわずか1分45秒。 インド滞在中に書かれた曲らしく、'64年の「I'll Follow The Sun」を発展させたような作風となっている。 ホワイト・アルバムは"小粒な名曲"の宝庫であり、ポールの作品で有名なものといったら「Blackbird」になるのだろうが、本作も決してヒケをとらないチャーミングな一曲だ。 ジョンとリンゴが録音に参加しているものの(ジョージは不参加)、プロデュース的な部分も含めてほとんどはポールひとりで仕上げており、そうした意味では彼のソロに近い。 のちの愛妻リンダに捧げた最初のラヴ・ソング、という内容がよけいそんな印象を強くしている。 非常にシンプルな演奏ながら完成までに67テイクを経ているという、なかなかの労作でもある。 あざとさのない美メロ、マイルドで淡々とした歌唱がとても味わい深い。 アコースティック・ギターの演奏もポール本人によるもの。 やわらかな響きを持ったコード・カッティング、オブリガートのフレーズひとつとっても彼の素晴らしいセンスが堪能できる。 ポール、ギターうまいです(ビートルズの中でのハナシね笑)。 ちなみに、The Carsのヒット曲「My Best Friend Girl」('78年)には、「I Will」のギター・フレーズによく似たリフが出てくるのが面白い(偶然だろうけど)。 そして、なんといっても最高なのはそのベース音だ。 これは彼の"口"から発せられている音(つまりマウス・ベース)で、洒落っ気と人間最古の楽器である「声」の魅力を感じさせてくれるアイデアである。 かといって、それが特別な効果をあげているとも思えない(笑)のだが、まあこういう発想がポールらしいというコトで ジョンによる軽めのパーカッションも個人的にはツボ。ポンポコした音色がお気楽さを強調していてナゴみますね。 後半から出てくるハーモニーは、ポールの多重録音ヴォーカルによるもの。 エンディングでの、ちょっぴりもの悲しいスキャットにホロリ。 「もうワン・フレーズ聴きたい」と思わせる所であっさり終わるという作りもウマいなぁ。 「Yesterday」や「Hey Jude」などは確かに名曲だが、むしろこういう"ひと筆書き"風な作品にこそ彼の天才性が表れていると思う。 何度聴いても飽きない味わいを持ったこの曲は、まさにポールの裏名曲と呼ぶにふさわしい。 近年のライヴでも歌ってくれているのは嬉しいかぎりだ。 なおホワイト・アルバムには、ジョンのアコースティックな名曲『Julia』も入っているのだが、ディスク一枚目の最後にその二曲が肩を寄せ合うように並べられているという構成がなんとも泣かせてくれる。 また、『Beatles Anthology』のTVドキュメンタリーでは、ポール、ジョージ、リンゴの三人が一緒にインタビューを受けるパートがあり、その中でジョージが「I Will」をウクレレで演奏し、ポールと一緒に歌うという忘れがたい場面もあった。 「I Will」を聴くにはここをクリック! Who knows how long I've loved you... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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