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テーマ:洋楽(3357)
カテゴリ:ビートルズ
と聞かれたら、大抵の人は『Yellow Submarine』と答えるのではないだろうか。 いや、ワタシのことなんですがね ビートルズのアニメ・キャラクターを主人公とした同名映画のサウンド・トラック('69年)である。 全米2位、全英4位と、現役活動中のオリジナル・アルバムでは唯一英米ともに1位にならなかった作品でもある。 もっとも、制作過程やその内容(新曲は四つしかない)からして、事実上の企画アルバム以外なにものでもない事は明白。 そのため、本盤をビートルズの正式なディスコグラフィーから外して考える向きもある、あるいは存在自体が忘れられている事も少なくないようだ では、このアルバムに提供された四曲のオリジナルがどれも聴くに値しないかというとそうでもない。 特にジョン作である「Hey Bulldog」は、企画ものとして片付けられるには惜しい一曲。 個人的には、後期ビートルズの代表作のひとつに入れたい隠れた名曲だ。 レコーディングは'68年の2月11日。 もともと映画のために作られた曲ではなく、「Lady Madonna」のプロモ・フィルムを撮影するために押さえてあったスタジオで即興的に録音されたものらしい。 曲作り、演奏、ミックス・ダウンまで一日で終えてしまっている。 その際、ジョージ・マーティン(プロデューサー)がいった言葉は「いいのが録れたら言ってくれ」だったという。 それでこんな佳曲ができあがるのだから、FAB4おそるべし、である。 曲はジョンの弾くピアノから始まる。 シブくてリズミカル。そこにギターとベースがユニゾンで重なり強い印象を残す。 ハードロック的感触を持ったこのリフが曲のキモだ。 リンゴのタイトなドラムがまたカッコいいのです。 ほどよい中庸さを持ったメロディもイカす。 サビのコード進行はBm→Bm+5→Bm6→Bm7というさりげなく凝った作りで、ジョンの硬派なヴォーカルと絡まることによりメロディアスさと緊張感を出している。 この時期の彼ならでは、といった曲作り。 ポールと仲良く(?)ハモるAメロ部分もいいなぁ。 間奏のギターは高音と低音のパートに分かれているが、低音のリードはおそらくジョンによるものだろう。 荒っぽくネバネバした音色、フレージングはガレージ・バンドにも通じる味があり、曲に合っている。 ヘタウマ風ながらジョンのフィーリングが光る、クセモノ的な演奏ですね(ポールの演奏という説もあるんだけどw) ちなみに、タイトルでもある「ブルドッグ」という歌詞は当初は存在しなかったとのこと。セッション中、ポールがふざけてやった犬の鳴き真似をジョンが気に入り、そのまま曲に取り入れたというのだ。ん~確かに即興だ にも関わらず、哲学的な響きもある歌詞も含め、全体としては鋭い仕上がりになったと思う。 それだけに、エンディングでの犬の鳴き真似はちょっとおちゃらけ過ぎなカンジがして個人的には残念。 ジョンにしてみれば、やはり"お遊び"で録った曲だったのだろうか。 そんな位置づけながらも、この曲のファンは少なくないらしく、アリス・クーパーやエルヴィス・コステロをはじめとして多くの人に歌われている。 その昔放映されたジョンのトリビュート番組ではシンディ・ローパーがこの曲を歌っており、「ほえ~」などと思った記憶もある。 '06年に出た企画アルバム『Love』では、リフの部分が「Lady Madonna」の曲中にサンプリングされた。 なお映画『Yellow Submarine』では、四つ首ブルドッグの登場にあわせてこの曲が流れるのだが、当時の検閲にひっかかったのか、そのシーンだけカットされて上映されたのは有名なハナシ。 ただし、英国オリジナル公開版ではそのシーンも含まれており、'99年のリニューアル版ではめでたく収録されることとなり現在にいたる。 可愛らしくもちょいシュールなそのブルちゃん(色もブルーw)を見て、「ははあ、なるほど」と少しだけ納得したワタシでした。 「Hey Bulldog」を聴くにはここをクリック! わう~、わんわん お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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