2017ドラフト指名選手スカウティングリポート
まずは,ドラゴンズの横やりにもめげず,まさに相思相愛というべき広陵高校・中村奨成選手の交渉権を獲得できたことを喜ばなければならない。正直,彼を外したら今年のドラフト戦線はどうなることかと思っていたので,ひとまずほっとしたというのが正直なところだ。まあ,横やりを入れてきたのがドラゴンズだけでよかったとも言える。私の予想では,清宮1位指名を明言しているチームからいくらか脱落者が出る,それが田嶋ではなく中村に来る可能性もあると睨んでいた。しかし,ふたを開けてみたら清宮に7球団。これが今年のドラフトの性格を表しているのではなかろうか。蓋し,「即戦力投手」と言われていても,清宮という超A級のスター選手を差し置いて名前を挙げるような投手はほとんどいなかったということである。そういうこともあってか,今年のカープの立ち回り方は,実に明確だった。とにかく素材重視。詳細は個別の選手の紹介の際に触れるが,現有戦力を脅かせないような「即戦力」選手は取らないという意図にあふれていた。久し振りに育成ドラフトで3人指名したことも,それとは無関係ではなかろう。それはそれでいいのではないかと思う。と,いうことで,今年も現段階では敢えて採点せず,恒例の指名選手の一口寸評から入りたいと思う。1巡目指名 中村 奨成 捕手 右投げ右打ち 広陵高校 182cm73kg いわずとしれた今年夏の選手権のヒーロー。遠くへ飛ばす力もさることながら俊足,強肩,攻守で鳴らす。ひと言で言えば規格外のアスリートタイプであって,それこそが魅力。2巡目指名 山口 翔 投手 右投げ右打ち 熊本工業高校 182cm72kg MAX151kmの快速右腕。センバツではその力を十分に発揮できなかったものの,春から夏にかけてより評価を高めた。荒削りながらストレートの威力は十分。3巡目指名 ケムナ ブラッド 誠 右投げ右打ち 日南高校→日本文理大 192cm91kg 荒削りながら恵まれた体格からMAX151kmのストレートを繰り出す。地区大学リーグでは無双。伸びしろという点では今年最大の大物かもしれない。4巡目指名 永井 敦士 右投げ右打ち 二松学舎大学附属高校 177cm89kg 1年生から4番を打つ。高校通算47本塁打。いかにもというがっちり体型だが50m5秒8の俊足も持ち合わせる。打撃も懐深く柔らかそう。5巡目指名 遠藤 淳志 右投げ右打ち 霞ヶ浦高校 184cm73kg ストレートの速さと言うよりは打たせて取るタイプ。確度のある速球と変化球が武器。いかにもピッチャーらしいピッチャーという感じ。6巡目指名 平岡 敬人 右投げ右打ち 育英高校→中部学院大 186cm92kg 中央球界での実績は少ないがMAX152kmのストレートをたたき出して注目される。3年秋に肩の手術をしたのが響きさえしなければ案外即戦力になるかも。育成1巡目指名 岡林 飛翔 右投げ右打ち 菰野高校 181cm81kg 荒削りではあるがしっかりとした体からMAX151kmのストレートを投げ込む。フォーム固めから始めなければなるまいがそれができたらおもしろそう。育成2巡目指名 藤井 黎來 右投げ右打ち 大曲工業高校 181cm87kg 上体投げのパワー系ではあるが,ストレートと変化球を織り交ぜて抑え込む。今夏の県予選でノーヒットノーラン達成,昨年夏の選手権でも好投。育成3巡目指名 佐々木 健 右投げ右打ち 小笠高校 189cm68kg まだまだ線は細いが角度のあるよい球を投げる。おそらく鍛え込んだらスピードがもっと出るタイプと思われる。こうしてみると,なかなか面白い指名になったのではないかと思われる。もちろん,これで補強の論点はすべて終了ではない。これを踏まえて,国内移籍市場をも念頭に置いて編成に動かなければならないだろう。その点は,これからじっくりと書いていくことにしたい。果たして目利きの皆様の判定やいかに。BlogPeopleSIGMA People(告知)姉妹サイト「ろー・ふぁーむ・かるぴおANNEX」もよろしくお願いします。