せっかくのめでたさが台無しだ。
本来は,本当にすべてめでたしめでたしで大団円の予定だった。野村祐輔は8回無失点。プロ入り初勝利なんて小さい小さい,もはや立派なローテーション投手,いやエース格のピッチングを見せた。攻撃陣は,相変わらずしょぼかったし,はっきり言って栗原健太にはもうお引き取り願いたいくらいだったが,ブランドンからもらったチャンスを3回表に梵に恥も外聞もないフルベーススクイズをさせてまで先制点を取りに行き,そのまま膠着状態だった8回表,倉の四球からつかんだチャンスで東出がようやくヒットを打ち,ラミレスのお約束のエラーで追加点。そして9回表。明らかにやる気の見られなかった山口俊からフルベースのチャンスを作り,野村俊輔に出した代打の千両役者前田智徳が自らガッツポーズを見せたほど気合いの入った2点タイムリー。東出のタイムリーも続いて今シーズン初めて1イニングに3点取ったという記念すべきイニング。これで,9回をゼロに抑えれば,カープは球団史上初の4試合連続完封勝利,57イニングス3分の2の間タイムリーヒットを許さない,逆にベイスターズには3連敗というだけではなく3連続完封,47イニングス連続無得点という強烈なパンチを開幕早々食らわせる,はずだったのである。そうなって初めて,カープの歯車はようやくかみ合い始めた,少しは順位争いに名前を載せるんだぞというところを見せることが出来た,はずだったのである。それを,今村が全部ぼろぼろにしてしまった。オープン戦からいいときと悪いときの今村の落差は一つの不安材料だったのだが,それがもろに出てしまった。切れもなければ球も甘い。クリーンアップどころか啓二郎などという軽量にまでタイムリーを打たれる始末である。これでは話にならない。確かに,負けはしなかった。だからよかったじゃないかとみることも出来る。しかし,この9回裏には重いものがいろいろかかっていたのである。まだまだしょぼいとはいえども赤ヘル戦士の熱い魂が宿っていたのである。それを,今村一人のために全部台無しにされてしまったのである。当然打たれた今村は大反省しているだろうが,もっと試合の空気を読め,ただ淡々と投げてるだけじゃセットアッパーやクローザーなんてつとまらないんだということを今村には強く言いたい。そこまで今村に厳しく当たったのは,6連勝したとはいえ決してカープの状態はよくない,特に打撃陣の不振ぶりは目を覆わんばかりのものだからである。なんせ上位打線が全然信用できないという困った状態で,だから早いイニングからフルベースでスクイズをしてまで点を取らなければいけないという状態なのである。そして4番の栗原。全然だめ。何もかもだめ。外野に球が飛ぶ気配すらない。だから,今はピッチャーが頑張っているから勝てているけれども,投手戦で矢尽き刀折れた状態になったら,とたんにカープは定位置に向かってまっしぐらになってしまうのである。だから,結果はもちろん大事だが,失礼だがベイスターズのようないわば苦しんでいるチーム,できれば今シーズン中も貯金をお願いしたいチームには,まず最初にがつんと頭を叩いてしょぼくれさせておかなければいけないのである。今日の9回裏は,そういうものを全部おじゃんにして,まだまだやれるぞという意識付けをさせてしまう結果にもなりかねないのだ。まあ,本拠地未勝利という状態では中畑清監督はそんな思いにはなかなかなれないだろうけど。来週は,ホームで西宮と3連戦,そして1日あいて松山でスワローズと2連戦がある。今のカープの実力が果たして本物であるかどうかというのをはかるには,絶好の査定試合である。連勝街道の勢いそのままに優勝戦線に名乗りを上げるのか,それともここ十数年と同じようにしづこころなくはなのちるらむとばかりに下降線をたどるのか,じっくり見させていただこう。こんなんじゃまだまだ。BlogPeople