野球の神は,決して努力を見捨てない。
序盤だけを見れば,いつ試合の流れがドラゴンズに傾くかという危惧感を持ってみていた。事実,ワンアウト2,3塁で荒木というピンチもあったのだ。しかし,いまや赤ヘルの絶対的エースと呼んでも過言ではない神様仏様バリントン様が,そう簡単に先に点を許すわけもなく,結果としてじりじりとした展開になるんだろうなと思っていた。それを,13年目の苦労人,3年間ファームで塩漬けにされていた男の意地の一振りで,流れを一気に引き寄せた。井生崇光。実にプロ13年目のプロ初ホームランというセントラルではプロ初本塁打のスロー記録を打ち立て,その一打が川井を,ドラゴンズを,狂わせたのである。そして,その次の回には今度は食らいついてライト線に飛ばした2点タイムリー2塁打。第1打席にもヒットを打っているので猛打賞,これもプロ入り初との由。野球の神は決してファームでの雌伏の時,一生懸命若手と混じって努力していた姿をお見捨てにはならなかったのである。惜しむらくは,なぜ3打席で引っ込めてしまったのかである。いうまでもなく3塁打が出ればサイクルヒットだったのであって,しかもナゴヤドームということを考えれば井生が三塁打を打つ可能性も十分考えられただけに,何か使い捨てのようにぽいとその機会すら与えられず天谷に替えた野村謙二郎の判断は,間違っていると思う。いや,そんな人の使い方しか出来ないからいつまでたっても人の上に立ってまともな仕事が出来ないんだ。まあそれはともかく,今日はまさに井生がヒーローになるための試合であるといってよいだろう。そういえば6回の大量点のきっかけになったのは東出の2塁打。井生と同期同学年でドラフトの1巡目2巡目である。きっと井生の打ったホームランに刺激を受けての一打だったに違いない。バリントンについては,もはや何もいうことはない。3回裏に1度だけピンチを作った以外は完璧だった。ドラゴンズのバッターを寄せ付けなかった。これで前回のジャイアンツ戦のモヤモヤとした敗戦の胸のつかえが取れたことだろう。おそらく中4日で投げるであろう対西宮戦の3戦目も,ぜひ今日のようなピッチングをお願いしたいものである。ところで,弊ブログでは一昨日昨日と,チーム本塁打16本という現状を憂え,赤ヘル打線にホームランが出ることを祈願すべく記事を書いたところであるが,どうやらその効果がようやく出たといったら,自惚れにもほどがあるだろうか。井生の値千金の本塁打に続いて,もはや右方向の流し打ちタイムリー職人と化していた栗原が,ドンピシャ引っ張って左中間スタンドに放り込んだのである。もちろん,投げていたピッチャーが二線級だったからこれで完全に復活とはとても言えないけれども,自己暗示でも自己催眠でもいいから自分はホームランを打てるんだとこの一打で思い込んでほしいところである。とにかく,今日はいろんな意味で何もかもよかった。こういう野球が出来るんだったらもっと早くからやらんかいと思いたくもなるが,とにかく過去は戻ってこないから,これからである。どうも元気がなさそうなドラゴンズを一気に飲み込んで,上位争いを混沌とさせるくらいの結果を出して見ろ,いや,出せなきゃだめだと,あえて赤ヘル坊や(これまで手ひどく裏切られたからまだ「戦士」とは言ってやらない)達にはハッパをかけておきたい。明日もまたびしっとした勝利を!BlogPeople