またしても,アーチで決めた。
これだから,ホームランの威力は絶大なものがあるのだ。前田健太をたてながら,しかも前田健太が7回まで1失点で抑えながら,渡辺俊介にに翻弄されて点がなかなか入らない展開。しかも先頭打者を出しながら,チャンスを作りながら点にならない,辛うじてトレーシーにタイムリーが出てやっとこさ同点という重苦しい流れ。しかもあまりにも試合がさくさくと進んだものだから延長戦に入ると12回を念頭にいれなければならず,継投音痴の首脳陣の繰り出す投手並べに非常に不安が残った,かもしれなかった。それを,栗原がまさに一撃で打ち砕いた。ここまでホームランがなく,しかもとてもじゃないがホームランになりそうな打球すらお目にかかれなかった栗原が,ロサのストレートを,まさにこれしかないというスイングでスタンドに放り込んだのである。しかもスリーラン。この一本で,試合の流れを一変させた。いや,サファテが不運な当たりもあったとはいえワンアウト2・3塁という展開を作ってしまったから,栗原のスリーランはまさにカープが絡め取られていた桎梏を切り裂き,連敗中のマリーンズにとってはこれ以上もない重しとなったのである。だからこそ,問答無用でスタンドに打ち込むことができるバッターを揃えておくことは,ペナントレースを勝ち抜くための必要条件なのである。ホームランは試合展開を一撃で変え,敵を一発で仕留めることすら可能なのである。だからこそ,昨年オフ,打力不足,得点力不足を解消するための補強としては中途半端なものに終わったことが,あまりにも悔やまれるのである。まあ,今日の試合の感想を正直にいうならば,確かに栗原の仕事は中軸打者として最高の結果を残したのだが,その前にチャンスでヒットの一本でも出ていればもっと楽な展開になったはずなのである。ホームランと言えば,トレーシーが打った同点の二塁打も,あのくらいスタンドに運んでくれないかなあという思いがないといったら嘘になる。要するに,もっと楽に勝てただろうというところなのだが,それがカープの現状の調子というか力量というか,まあなんちゅうか本中華なのだろう。廣瀬という打線の核がいなくなって,トレーシーは打率が急降下し,岩本もとてもじゃないが本来の調子にはほど遠い中で,相当苦しい試合を強いられるのは覚悟せねばならぬ。だからこそ,このチームには,機動力の精度を上げることよりはむしろ,中軸打者に長打,早い話がもっとホームランがたくさん出ることが必要なのである。なに,機動力野球と言ったって,最近はカープが誇るヘボトロイカも相当頭の中が混乱してきたのか,ランナーを置いたら判を押したように送りバントで,足を使って揺さ振るという姿すらお目にかかれないから,なおさら一撃で決められる打力こそが必要なのである。とにかく,勝ってよかったと思う。もし最悪負けたり,双方とも決定力を欠いたまま引き分けなどという結果であったならば,昨日の白星によって得たものがまたしてもあああがらがらどんどんどんと崩れ去って,またしても垂直落下を始めかねなかったのである。今日勝ったことで,まあ本当のことを言えば前田健太に白星が付くことが理想的ではあったのだが,少しは踏みとどまることが出来ただろう。しかも,上からはつば九郎が失速して落ちて来始めているし,下からはドアラとウサギが一気に調子を上げて,というところまで来ていないから,なおさら今立て直しておかねばならないのである。そのためには,連敗中のマリーンズからは,きっちりもうひとつ勝っておきたい。明日は50年以上勝っていない三次での試合で,しかも雨模様が予想されることもあって非常に心配なのだが,それでも勝たねばならぬ。とにかく今は,試合内容は不問である。いかに白星を積み上げることが出来るか。カープの課題はそれだけである。惜しい引き分けや黒星はいらない。下手くそな野球だろうが美しい野球でなかろうが,勝てばよいのだ。いや,それしかカープが生き残る道はないのだ。とにかくもっと勝たねばならぬ。BlogPeople