紫はうつろいやすい
6時半過ぎに仕事を終えて外に出たら、景色がみんな赤紫色だったので、びっくりした。空を見上げると雲が華やかなサーモンピンク。フォーッ! 白い壁も白い車も赤紫。赤い車はより赤く、草木の緑は補色のせいかより鮮やかな緑だった。もちろん空気は赤紫だ。 久しぶりに、夕焼けにみとれた。 車のキーを部屋に置き忘れたことに気づき、とりに戻る。ちぇっ、めんどうだなあ、と思いそうなところだが、こんな紫の世界を歩くのも楽しいので、プールの水中歩行のように、のんびり紫の空間を歩いた。 キーを持って再び外にでたら、たった1,2分だというのに、紫はすっかり色褪せて普通な夕昏のほの暗さに変っていた。 15分ほど車で走ったろうか、信号待ちでふときづくと、街はすっかり暗くなり色を失っていた。 ブルームーン。ジンとパルフェ・タムールとレモン。 シェイクでつくられるカクテルは、シェイカーからカクテルグラスに注がれた直後は細かな気泡をたくさん含んでいるために色が淡いけれども、泡が消えて落ち着いてくるに従って徐々に色が深みを増してくる。 ブルームーンの青紫は、パルフェ・タムールの種類によって微妙に異なる。このブルームーンはどの会社のパルフェ・タムールか忘れてしまったけど、青が濃い。マリー・ブリザールだったかな。グラスの底にほんの少し紫が見える。