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カテゴリ:言語・文化・コミュニケーション
昔、一応通訳という名のもとに、
実際には「ジェスチャー通訳」というのをやったことがある。 英語が母語でない人達に通訳していた。 英語ができるとされている外国人エリート集団相手だったのだが、 実際には、「We are heading for....」 (=今私達は・・・に向かっているのよ/・・・に行く途中なんだけど)などと言うと、 「頭がどうかしたのか?」という質問が速攻で飛んできた・・・・ (参考:「head for….」=「・・・に向かう、行く」) それで実際に役に立ったのが、言葉ではなくジェスチャー。 そう、あれはジェスチャー通訳だった。笑。 時には一瞬の勝負が必要で気が張る通訳より、 お茶を飲みながら自分のペースでできる翻訳の方が気が楽なので、 今は翻訳だけやっている。 翻訳は後から直せるが、 通訳は後から訂正するのが難しい。 普通は訂正できる時間的余裕がない。 特に同時通訳の場合、即座に訳していかなければならないのに、 日本語と英語では語順が違う。 同時通訳の人は本当に凄いと思う。 ある通訳さんから聞いた話だが、 ドイツ語や韓国語や日本語から、英語に同時通訳する場合、 他の言語から英語に同時通訳するよりも、通訳速度が一歩遅れるそうだ。 この3言語(もちろん他にも、このような言語は多数あるだろうが)では、 「・・・ではない(ドイツ語ではnicht)」などの否定語が、 文章の最後に来るからだとか。 現代英語では文末に否定語が来ることは稀である。 文章の最初の方で、否定か肯定かを示さなければならない。 しかし、文末に否定語が来る日本語から、 文の始めの方に否定語が来る英語に同時通訳をしていて、 日本語で文章の最後に否定語を言われても、 英語の文末に否定語を付けるのは難しい。 否定語が最後に来る言語同士の同時通訳なら、同時に訳していても、 最後に否定語を付ければ良いので、大丈夫なのかもしれないが。 それで、日英の場合など、 日本語の文章をしゃべり終えるまで、通訳を待つ人が多いのだそうだ。 とは言っても、延々と長い日本語の文章が続いた場合、 通訳しないで文章が終わるのを待っていると 細かな内容を忘れるし(?)、時間も足りなくなるので、 待たずに同時に訳すことが多い。 しかし、日本語に沿って英語に延々と訳した後、 最後に「・・・・ではないと思われます」などと日本語で言われると、 死に物狂いで論旨を整えながら、英語で否定形に持っていくのだそうだ。 これぞ通訳テクニックが必要だろう。 ところで、ある著名な同時通訳の方から聞いた話だが 国際会議の英日通訳で、あるフランス人の人に、 「このアンヴィロモンについては」と英語で連発され、 「アンヴィロモン」が何なのか、さっぱりわからなかったそうだ。 最後の結論部分まで、 「ええ~~、このアンヴィロモンというものは・・・」と訳していらっしゃったとか。 結論部分の文脈でやっと気づいて 「このアンヴィロモン、すなわち環境というものは・・・」と挽回なさったそうである。 environment(環境:エンヴァイロンメント)をフランス語読みすると、 アンヴィロモンとなるらしい。 基本的に、スペイン語やイタリア語など ラテン語族の言語の方が話す英語は、 まず耳で聞いた発音を頭の中でローマ字書きして、 それを英語読みすると意味がわかることが多いが、 「アンヴィロモン」では、さすがに無理・・・と思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.09.11 23:08:09
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