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カテゴリ:言語・文化・コミュニケーション
プロの翻訳者は、自分がどの分野のどんなファイルを
1日または1時間どのくらい訳せるか、大体訳す前に予想できる。 ところが時々原稿ファイルが原因で、予想外の波乱が生じる・・・ たとえば、英=>日で訳す場合、 英語が母語の人が書いた英語と、そうではない人が書いた英語では、 大きな差が出ることがある。 つまり、学校で習う「通常の英語のルール」で書かれていないことがある。 英語の文章が、全く別の言語のルールで書かれている。 (←つまり、文法が英語以外の外国語で、単語だけ英語!笑) 遥か昔、チェコ語が母語の人の英語を日本語に訳したが、 読んでいるだけでチェコ語の文法がわかる英語であった。 仕方ないので、使われている単語だけで想像力を駆使して、独創的に訳すしかなかった。 (←執筆者が英単語の意味も違う意味で使っていたら、もうお手上げ!) ドイツ語は英語と構造が似ているので、ドイツ人の人は英語ができる人が多い。 が、それでもできる分、油断するのであろう。 ドイツ語の「名詞創造ルール」を英語でも見事なまでに発揮して、 9単語や6単語の名詞を並べて、1つの名詞を創造していたケースもあった。 ドイツ語では、名詞を並べて新しい名詞を作れる。 英語でもできないことはないが、せいぜい3単語か、多くても4単語である。 この9単語や6単語でできた英語の名詞を そのまま前から順々に日本語に置き換えても、意味が通らない。 しかも、この9単語は、並べ方によっては、どんな意味にもなるではないか・・・ 単純計算すれば、 9 x 8 x 7 x 6 x 5 x 4 x 3 x 2 x 1=362880通り の意味がある。 ドイツ人の方々は、この362880通りの意味から、 瞬時にして1つの意味を選び出す・・・ 天才である。 翻訳者の方は、この362880通りの中から、 それこそ死に物狂いで、予定より遥かに時間をかけて、文脈からその意味を推察する。 もちろん、専門分野の背景知識と想像力と創造力も、半泣きになりながら駆使する。 (←下手すると、締め切りに遅れる・・・) こうなると、翻訳はまさにクリエイティブなお仕事である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.05.06 22:28:35
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