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カテゴリ:言語・文化・コミュニケーション
竹取物語(かぐや姫)は、日本最古のSFとも言われる。
SFとして読んでも面白い。 十五夜の満月の夜に、「月の都」から 宇宙人である「天人」たちが 雲に乗って、かぐや姫を迎えに来る。 「天上」の世界で罪を犯したかぐや姫は、 罰として、この「地上」の竹の中から小さな女の子として生まれ、 地球人である人間のおじいさんとおばあさんに、娘として育てられていた。 竹から生まれてわずか3ヶ月で美しく育ったかぐや姫は、 多数の君達(=公達=きんだち=若い貴公子)に求婚されたが、 仮に人間の姿をしているだけで(注1)、いつか月に帰る身であることから、 無理難題を言って求婚を断っていた。 かぐや姫が月に帰る満月の夜が近づいてくる。 やがて来る別れを悲しみ、物思いに耽って泣くかぐや姫。 しかし、かぐや姫は宇宙服である「天の羽衣」を着た途端、 育ててくれたおじいさんとおばあさんへの思いを忘れてしまう。 そして何の感慨も抱かずに、宇宙船である「天の車」に乗って、 「月の都」に帰って行く。 「今昔物語」によると、 かぐや姫を迎えに来た「空から来た人々」の姿は、 「この世」の人々と全く違っていたそうだ。 「天上」の世界は、宇宙 (神話的には神や天の国)。 「地上」や「この世」は、地球 (神話的には現世)。 「天の羽衣」は宇宙服で、「天の車」は宇宙船。 真夜中に突然、昼間より明るく輝く満月の光は、 地球の兵士達の戦意を挫き、矢を逸れさせる。 これは一種の精神光線か麻痺光線。 「天人」は宇宙人。 そう、かぐや姫は宇宙人だった・・・ 注1: 『変化(へんげ)の人』という古典の仏教用語は、ここでは「姿を変えて (=化して)人間になっているが、本来は人間ではない神秘的で尊い者」のこと。 現代語訳では、「神仏の生まれ変わり」や「仮に人間の形に生まれてきた方」などと 訳されている。ドナルド・キーン(Donald Keene)の英訳では、 「a divinity in human form」または「a transformed being」になっている。現代語訳としては、純文学の 川端康成の訳やSF作家の星新一の訳などがある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.09.26 11:58:18
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